915 幌新温泉ほたる館 [Aug 26, 2013]

明日萌(あしもい)駅から線路を離れ、川に沿って山へと向かう。ここから先、人家はほとんどないけれども道路は広い。ここは昭和30年代までは留萌鉄道という私鉄が通っていて、上流にあるダム湖になっているあたりは炭鉱だった。そこから留萌港まで石炭を運んでいたのであった。

6、7km道なりに進むと急に周囲が開ける。一軒宿の幌新温泉・ほたる館である。宿のホームページによると、ここを経営しているのは沼田町。もともとは小規模なものだったが、町が買収して大きな施設にしたようだ。温泉宿だけではなく、キャンプ場やパターゴルフ場も併設されている。町のシンボルなのか、化石資料館のような建物もある。

「ほたる館」というのは、ちょうどこの施設を拡充する頃に町おこしで蛍の育成を始めたところから名付けられている。どこか蛍の本場で勉強してきて、同様の環境を整備したということである。確かに、自然環境には間違いなく恵まれている。やや課題があるとすれば、蛍だけでなく他の昆虫も集まってくるということだろう。

湧出しているのは鉱泉で、単純硫黄泉。飲用にもできて冷泉がそのまま引かれているが、さすがに硫黄くさい。昭和はじめに見つかった頃は飲用が主だったというが、これを飲むのはさすがに厳しい。浴用には沸かし湯としていて、湧出量は豊富であり、広い浴槽にいっぱいのお湯がはられている。

入ってみると、肌にすべすべして大変気持ちがいい。思うのだけれど、かなりの山奥でも利用者に比べて湧出量が豊富で、きちんとメンテナンスされていれば、基本的に温泉は気持ちいいものなのである。昔は山奥の温泉というと古くて設備も整っていないところが多かったが、最近そうでもないようなのがうれしい。

この宿でもう一つすばらしかったのは料理である。宿泊料金に応じていくつかのコースがあり、わが家がお願いしたのは真ん中あたりのコースだったが、付出しから始まって刺身、揚げ物、焼き物、煮物とひととおり。料理も温かいものは温かく、冷たいものは冷たい。それにおいしい。1泊2食で8千円くらいとは思えないレベルだった。

昔北海道に来た頃は宿の数がそれほど多くなくて、予約を取るのが大変忙しい上に、1泊2食2万円くらい取るのに料理は付出しからデザートまでいっぺんに持ってくるような状況だった。いまは不景気でどこも採算を確保するのが大変厳しいと聞くけれども、利用者にとって料金が安くてサービスがいいのはうれしいことである。

宿の中には、「すずらん」関連の写真だけでなく昔の炭鉱時代の写真も掲示されていて、いまはダム湖に沈んでいる人口数千の街が写っている。また、このあたりでは今から90年くらい前、史上二番目の熊害事件である石狩沼田幌新事件が起こっていて、死者4名、重傷者3名を出している。それでは第一位はというと、この事件もこれから向かう場所の近くなのであった。


幌新温泉ほたる館。2階建ては本館、8階建ては宿泊棟になっていて、一軒宿にしてはなかなか本格的です。沼田町の経営。


宿から歩いてすぐの幌新ダム。街灯が見えるところがダム本体で向こうに水がたまっています。こちら側はキャンプ場とパットパットゴルフ場。

[Aug 26, 2013]