917 谷地頭温泉 [Sep 28, 2015]

函館出張の合間に、谷地頭(やちがしら)温泉に足を伸ばしてみた。函館市内の温泉といえば、競馬場の近く、旅館街の立ち並ぶ湯の川温泉が非常に有名だが、こちら谷地頭温泉も前からガイドブックに載っている。数十年前には小さな地元のお風呂屋さんのようだったが、近年施設を整備して、近代的な建物となっている。

市電の終点である谷地頭で下り右に折れて少し歩き、適当なところで山側に方角を変えるとすぐに見えてくる。谷地の名前に違わず、すぐ後ろまで函館山の稜線が迫っている。建物のネームプレート「谷地頭温泉」の前に二文字「市営」と読めるが、プレートが外れてしまっているのは、すでに民営化されたのだろうか。

この谷地頭温泉、源泉を掘り当てたのは函館市水道局という。 驚くべきはその湧出温度で、成分表によると60度以上ある。本州だとこうした街中の温泉はほとんどが20度以下のものを沸かして使っているのだが、さすがに北海道、すぐ地下にマグマだまりがあるのだろうか。そういえば、東にしばらく行った恵山岬にも、浜から出ている温泉があったはずだ。

入口の自動販売機で入場券を買う。一緒にタオルを買ったため正確な値段は覚えていないが、500円以下であったことは間違いない。まさにお風呂屋さんである。そして、脱衣室から浴室に入ってびっくりしたのは、壁際に並んだカランの数である。その数はおそらく100以上。プールの壁面がすべてカランになっているようなそんな景色である。

浴槽は中央に3つ。それぞれ10人以上は楽に入れるほど大きい。熱め、普通、ぬるめの3段階だが、少し塩分があるためか熱めの風呂にはゆっくり漬かっていられないくらいである。3つとも入ってみて、落ち着けそうなのは一番ぬるめのお湯だった。バイブラ湯になっていて、背中に勢いよく水流が当たるのが心地いい。

泉質は海辺のお湯らしく食塩泉(ナトリウム-塩化物泉)であるが、鉄分がかなり含まれているらしく、浴槽の底が見えないくらいの黄土色をしている。バイブラなのでお湯の飛沫が空中を漂っていて、口に入るとしょっぱい。これだけの大きな浴槽があるということは、湧出量は相当ありそうだ。いいと思ったのは床面のタイルで、新しい上にきれいに掃除されていた。

100以上あるカランが埋まるほどではないが、お客さんは結構入っていて、中には若い外人さんがいたのは興味深かった。しばらく入っていたのだけれど、プール並みに広い浴室は、温泉というよりもお風呂屋さんである。3つの浴槽の他に五稜郭の形をした露天風呂があるのだが、こちらは満員盛況であった。

この温泉に行く時に気を付けなければならないのは、基本的にお風呂屋さんであるので、浴室内には石鹸もシャンプーも、もちろんボディソープも備え付けられていないということである。おそらく地元の人はお風呂セットを持ってくるのだろうが、旅先の場合は難しい。「手ぶらセット」は500円で売っているが、ここで使うだけ分だけの石鹸やシャンプーに500円出すかどうかは考えどころ。

あの壮観のカランを見て、函館市としては、家の風呂なんか入らないで温泉を使って節水してほしいということなのかと思ったが、よく考えたらここは北海道。きれいでおいしい水源はいくらでもあるのであった。だとすれば、あのカランの数は何なのだろうとつくづく考えてしまったのでした。


谷地頭温泉全景。「谷地」の名前にふさわしく、すぐ後ろに函館山の稜線があります。おそらく100以上あるカランは壮観。


温泉は市電終点の谷地頭から徒歩約5分。函館駅から向こうは大分と整理された市電ですが、函館山方向は昔のまま、谷地頭方向と函館ドック方向に走っています。

[Sep 28, 2015]