711 鮎を食べに鬼怒川へ[Jun 12,2005]

雨が降ったり止んだりのぐずついた空模様ではあったが、奥さんとふたりで鮎を食べに鬼怒川に行って来た。

鮎を食べるなら、解禁となる6月1日からである。20年前から連載が始まった「美味しんぽ」の単行本第1巻に、京都の億万長者にして美食家の京極さんが料亭に招かれてお膳をひっくり返すシーンがある。そのときのセリフがこうである「鮎やて?いまはまだ5月や!味もそっけもない養殖の鮎なんぞ、わしは死んでも食いたくないわい!」

じつは私は魚というと「トロイカ」のクチで、川魚の良し悪しなどあまりよくわからなかった。それでも、鮎はこれまで千尾以上食べたという川魚専門家の家の奥さんに影響されて、だんだん天然と養殖の違いが分かってきた。天然もののもっとも顕著な特徴はというと、

1.皮と身の間のゼラチン質が余分についていない。皮自体も薄い。
2.身やワタにくさみがない。なんともいえないいい香りがする。

ということだと思う。だから、天然ものだと、頭から全部食べてもおいしい。観光地などでは塩だらけの鮎をよく売っているのだが、あれはたぶんそうした点をごまかすためにしているのであり、ということは養殖鮎であろうという疑いを持たざるをえないのである。

わが家の鮎スポットは、東北道から日光・宇都宮道路に入り、鬼怒川近辺のいくつかの店である。この近辺は観光客の減少が著しく、毎年店が少なくなっているのは残念である。以前は日光口のパーキングエリアでもおいしい鮎を焼いてくれていたし、五十里(いかり)湖にも店があったのだが、なくなってしまった。新緑の中をドライブし、時期的にそろそろ終わりの「こしあぶら」や「ふきのとう」、きのこや漬物を買いながらいろいろ回った。

いま一番おいしい鮎を食べさせてくれるのは、鬼怒川からちょっと矢板方面に入ったところにある「篭岩(かごいわ)観光やな」である。店構えはちょっとびっくりするのだが、鮎は間違いない。頼んでから炭火で焼くので30分近くかかるが、その間水音を聞きながら手足をのばすとリラックスする。

鮎は待っただけのことは十分ある。奥さんはあゆ定食(塩焼き2尾とごはん、味噌汁、おしんこ、1500円)、私は竹定食(あゆ定食+もう一尾の鮎を田楽みそで、2000円)。田楽みその山椒もすばらしく鮎に合い、思わず顔がほころんでしまった。

鮎を食べたあとは、1kmほど離れた「かご岩温泉」で日帰り入浴してさらにリラックスである。源泉かけ流しという訳ではないが、アルカリ泉のしっとりした肌触りはたまらない。また、露天風呂は鬼怒川に面しており、その雄大な景色は日頃の鬱憤を忘れさせてくれる。お風呂に入ったあとは休憩室で寝転がってゆっくりできる。決して最新の設備という訳ではないが、こまめに手入れされており気持ちがいい。こちらもおすすめの温泉である。

[Jun 12,2005]