100 それなりに落ち着いた訓練生活~せいうち日記100 [Mar 9, 2017]

せいうち日記もとうとう100話目となった。2005年1月に第1回を掲載して以降、12年と少しかかってここまで来た。幸いに、1回目の時よりも少しは減量できたし、いま現在、精神的なストレスをかなり軽減したリタイア生活を送れているのは、何よりありがたいことである。

さて、1月に職業訓練が始まって早くも3ヵ月目に入った。6ヵ月コースだから、ほぼ半分ということである。毎日が過ぎるのがとても早い。職業訓練の受講中は失業保険が出るので、生活の不安がなく勉強できるのはとてもうれしい。資金が潤沢という訳ではないにせよ、それなりに工夫すれば何とかやっていける。

訓練前半のハイライトである二級ボイラー技士、危険物取扱者乙4の試験は先週までに終わり、来週は3日間のボイラー実務講習がある。免許試験の詳しい内容や感想は改めてお届けする予定であるが、ひとつひとつスケジュールをこなしている最中である。

それにしても思うのは、ボイラーにせよ現在講習中のシーケンス制御にせよ、半世紀前にすでに確立しそれ以降は大きな進歩のない分野である。いまシーケンスで扱っている「電磁リレー」という製品があるが、製造しているオムロンの生産ラインは果たして採算に乗っているのかと思う。

農業にせよ機械工業にせよ、かつて日本の成長を支えてきた基幹分野が、現在は採算に乗るかどうかという瀬戸際にある。正直なところ、JICAで途上国の開発援助とかしない限りは、いま勉強していることを実際に使うことはほとんどないのではないかと思う。でも、それでもいいような気もするのだ。

というのは、日本の近代化以来、もっと大げさに言えば産業革命以来、人類が積み上げてきた工業技術の一端を、現役人生の最後に勉強することは、得難い機会だと思うからである。あのままサラリーマン生活を続けていれば、こうした分野を実地で知ることもなければ、その分野の脳を使うこともなかったのである。

あと半分の訓練期間では、空調とか、給排水とか、消防設備とかを勉強する。最初は、家の電気とかエアコン、水道を自分で手入れできたらいいなと思っていたのだが、実際習ってみるとどの分野も奥が深いし、新たな発見がたくさんある。繰り返しになるが、生活の不安なくこうした勉強ができるのは、得難い機会でありたいへんうれしい。

毎日朝7時半の電車に間に合うように奥さんに車で駅まで送ってもらい、成田で電車を乗り換え、さらに四街道でバスに乗り換えて、午前9時過ぎにポリテクセンターに到着する。30名の同期入所の訓練生は2人が就職して28名となった。9時半から講義が始まり、50分の昼休みをはさんで午後3時40分まで続く。雇用保険との兼ね合いがあるようで、時間までみっちりやる。

社交的にしている訳ではないのだが、毎日同じメンバーが顔を合わせるので、席が近い面々とか、通勤経路が一緒の人と話すこともある。リタイア後はほとんど人と話すことがなかったので、新鮮といえば新鮮である。特に仲良くしようとは思わないけれど、できるだけジェントルに対応できればいいと思っている。目立つ必要もないし、いい成績をとる必要もない。

お昼は大抵は奥さんの作ったお弁当を食べるが、週に2度ほどはこちらで調達する。駅でパンを買って行ったり、センター出入りのお弁当屋さんを使うこともある。お弁当は400円。1時間販売員をはりつけることを勘案すると採算が取れているのか微妙なところで、おかずは寂しいといえば寂しい。だから、おとなのふりかけを持って来てロッカーに置いてある。

講義が始まると、座学にせよ実習にせよ集中しているので時間のたつのが早い。これまで60年間ほとんど経験のない分野なので、これまで使ったことのない部分の脳を使っているという実感がある。実習がうまく行かないとぐったり疲れるし、新しいことを覚えると単純にうれしい。

電車に乗ってから乗り換えて下りるまで約1時間、その間に図書館で借りてきた本を読む。通勤の時よりも短い時間だけれど、午前中の早い時間に本を読むのは、1年振りくらいのことである(会社勤めの最後は電車通勤がなかったし、その後はリタイア生活)。限られた時間に集中して読み、下りる駅が来たら続きは翌日というのは、それなりに落ち着いたリズムである。

それとは別に、村上春樹の新刊「騎士団長殺し」が出た。早速買ったのだが、そちらの方は家に帰って落ち着いた時間、寝る前とかに読む。静かな環境で少しずつ読まないと、もったいないような気がするのである。いまようやく1冊目の最後、「ふかえり」みたいな女の子が出て来るあたりである。いずれ読み返すのだが、電車の中とかで読むのは、その時でいい。


ポリテクセンターのお弁当。1食400円。日替り弁当の他に、から揚げ弁当、エビフライ弁当、カレー弁当などがある。

[Mar 9,2017]