914 函館居酒屋 いか次郎 [Aug 19, 2016]

函館市内には、他の街ではあまり見ることない飲食店がいくつか見られる。ハンバーガーはマックではなくてラッキーピエロ、回転すしはスシローではなく函太郎、そして居酒屋は笑笑でも和民でもなく「いか太郎」なのである。こうしたチェーンは函館市内でも40年前には目立たなかったから、近年になって成長してきた店ということである。

今回の函館遠征では五稜郭に宿をとったので、近くをちょっと歩いて適当な店で夕飯にしようと思っていた。ホテルから市電通りに出ると、ちょうど正面に「いか次郎」がある。早々に目に入ったのはそういうご縁があるのだろうと思い、さっそくお邪魔する。「時間制限ありますがいいですか?」と聞かれるけれど、ひとりで飲むのにそんなに腰を据えても仕方がない。

「いか次郎」はいか太郎グループの居酒屋であるが、函館限定チェーンだけに、太郎と次郎にどういうコンセプトの差があるかよそ者の私にはよく分からない。それはともかく、かつては函館といえばイカだったのだが、最近はあまり獲れないと聞いた。鰊(にしん)も、昔は肥料にするほどだったのに、いまではロシアの沿岸に行かなければ獲れない。

とりあえず生ビールの中をお願いする。「今日のイカ刺は、1ぱい1,500円になります」とさっそくのご案内。それで刺身盛合せ980円を注文する。「イカは入ってませんが」と言われてしまう。まあ、値段的に仕方がないだろう。盛合せには、イカではなくてタコ、サーモン、鮪、〆鯖、ハマチ、卵焼きが盛合せてある。

市場が近いだけあって、新鮮である。これが千円しないというのだから、なかなかのものである。ビールを空けてしまったので、次は日本酒。本州の定番である八海山や〆張鶴が1杯880円に対して、北海道の地酒が780円。ならばせっかくだから地酒である。説明書きを読んで、よさそうな「まる田」と、イカのゴロ和えを注文する。

茶碗1杯と下の皿に少しこぼれるまで注ぐのを「もっきり酒」と言うようである。1升瓶は冷蔵ケースの中に入っていたようで、キンキンに冷えているのはありがたい。味は上善如水とよく似てコクがあってキレがある。

産地に近くなければ味わえないイカのゴロ和えで一献傾ける。ゴロとはわたのことで、海の味がしてかえって刺身よりも印象が強い。まだ時刻が早いためお客さんは少なく、とても静かなのは好ましい。リタイアしてもこういう時間を過ごせることは何よりである。

もっきり酒が空いたのでもう1杯生ビール。締めにじゃがバターと磯海苔おにぎりを注文。まったりしているうちに2組3組と来店客が増え、店の中はにぎやかになってきた。会計は〆て4, 410円と東京のチェーン店ほど安くはないが、地元の新鮮な食材と地酒を味わったのでこれくらいは仕方がない。昔のように「お勘定は千円、北の家族は心の居酒屋です」という訳にはいかない。

お勘定をすませて店を出ると、なんと通りの向かい側に「いか太郎五稜郭店」があるのに気がついた。同じチェーンなのに、こんなに接近して店を出して採算が取れるのだろうかと余計な心配をしてしまった。


函館市内には、全国チェーンでない飲食店が目立つ。いか次郎は「いか太郎グループ」で、市電通りを挟んで向かいに「いか太郎五稜郭店」もある。


函館ならではの新鮮な魚介類と地酒が売り。この日はいか刺は1杯1,500円と決して安くはない。

[Oct 10, 2016]