215 大鳴門橋・渦の道 [Oct 27, 2011]

ロングラン出張の前半8泊9日は、何とか体調をくずさずに乗り切ることができた。さて、東京に戻る日の午前中、飛行機まで若干の空き時間ができたので、鳴門公園まで足を伸ばしてみた。さすがに、遊び人の血が騒いだというか、9日間も仕事だけで過ごす訳にはいかないのである。

宿泊していた徳島市から、バスで徳島阿波おどり空港まで。荷物を預けて、鳴門公園までは時間がないのでタクシーを使う。片道4500円の出費は痛いけれど、今日を逃すとまたいつ来られるか分からない。帰りはちょうど飛行機の時間にバスがある

鳴門のうず潮は、淡路島と四国を隔てる鳴門海峡に発生する。鳴門海峡は幅が狭く、また海底の地形が複雑であるため、潮の満干により複雑な潮の流れが発生し、それが渦をまくのである。大鳴門橋はちょうど鳴門海峡をまたいでかかっているので、車道の下に歩道があってうず潮観覧ができる。

うず潮は一日中できる訳ではなく、満潮時と干潮時を中心に発生する。また、干満の差が大きくなる大潮の時は大きくなる。前日まで夜が明ける前に仕事に出ていた時、東の空に逆さ三日月が出ていたので、そろそろ新月のはずで、そうなると大潮である。NHKのニュースでは干潮が午前11時とのこと。10時頃まではいられるので、何とかぎりぎり見られるかもしれない。

大鳴門橋の下の歩道は「渦の道」といって、徳島県立の施設である。平日の午前中というのに、それなりに人がいる。ただ、歩道は金網が張ってあるだけで海の上の吹き抜けなので、結構風が強い。ほとんど風をよける場所もないので、私以外の人は長居せずに引き上げている。

展望室のベンチに座って、しばし床に開かれたガラス窓から海面を見る。こうやって海を定点観測するのは初めてのことであるが、見ていると潮の流れが非常に速いことがよく分かる。干潮までまだ1時間以上あるのに、まるで川が流れているようだ。この流れは、満潮時には太平洋から瀬戸内海へ、干潮時には瀬戸内海から太平洋に向かう。だから干潮時には、鳴門海峡の太平洋側(水の出口)にうず潮が発生する。

次第に、巨大なうず巻きができつつあった。これは、海底の地形が複雑なためで、ちょうど海が巨大な滝つぼ状態になっているからである。小さな漁船はうず潮を避けて遠くにいるが、大きな観覧船やジャンク船(産廃でも運んでいるのか)はうず潮関係なく海峡に入ってくる。

うず潮といっても時速20km程度の潮流により発生しているものだから、洗濯機の渦のように強力ではない。大型船の軌跡でせっかくの渦が消されてしまった。確かに海は船の通り道だし、観光客のために船を通さない訳にもいかないのだけれど、何とも興ざめしたのであった。

空中50mの高さから、できあがっては消えていくうず潮を見ているうちに時間になった。巨大なうず潮とはいえ、何ともせつなくはかないもののように思えた。それでも、鳴門海峡の雄大な景色を見て、月の引力の影響を目の当たりにできただけでも、来た甲斐はあったというものである。


橋上展望室へ向かう遊歩道。風が吹き抜けるため結構寒く、また上が車道なのでかなりうるさい。入場料は500円。


展望室の床面は、海が見えるようにガラス張りとなっている部分がある。近くのベンチに座って見ていると、潮の流れが非常によく分かる。

[Oct 27, 2011]