920 民宿浜サロベツ跡・21年振りの訪問 [Sep 30, 2013]

この夏の北海道でメインというべきイベントは、21年ぶりに「民宿・浜サロベツ」を訪れたことであった。

この民宿についてはかつて記事に書いたように強烈な印象が残っていたけれど、当時すでに90歳近い老夫婦の経営する宿であり(年齢はNHKの放送を見て知ったのだが)、その後現地情報を調べてもやっている様子はないので、今どうなっているのかと気になっていたのである。

オロロンラインを北上し羽幌まで着いたのが11時。午後8時までに札幌まで戻りレンタカーを返さなければならない。ここでお昼をとらないで走り続けるとすると、行って戻って3時間、それから4時間で札幌に戻れば何とかなりそうだ。奥さんもせっかくだから行きたいと言うので、さらに北上することにした。

目的地の稚咲内(わかさかない)は、オロロンラインからサロベツ原野への分かれ道にある小さな漁村である。いまひと休みしている羽幌は、天売・焼尻島へのフェリーが出ている町で、約80km先の天塩(てしお)まで国道232号をひたすら北上する。稚咲内は天塩からさらに20km先である。

羽幌から天塩まで、国道沿いに道の駅がいくつかあるが、帰り時間があるため素通り。ほとんど町もなくひと気のない国道なのだが、律儀に一定間隔ごとにバスの停留所がある。しかも冬のバス待ちのため、小さな屋根付きの小屋が付いている。ここは昔、国鉄羽幌線が通っていた(分割民営化直前の1987年廃止)ので、代替路線だから廃止できないのかもしれない。

天塩で国道から道道に入る。天塩川が日本海に注ぐあたり、海岸沿いの何とも雄大な立地である。展望台兼休憩所のような建物があるが、管理できないのか暴走族のたまり場になってしまうためか使用禁止の貼り紙がある。せっかくの景勝地なのに、残念なことである。もっとも、ほとんど人は来ないだろうが。

河口を過ぎると、今度は地平線まで何もないような土地に、風力発電のプロペラがずっと続いている。千葉の銚子近辺、茨城県にかけて同じようなプロペラが並んでいたと思って、帰ってから調べてみたら、どうやら同じ事業者がやっているようだ(ミツウロコグリーンエネルギー、HPこちら)。

風力発電エリアの後、吹雪シェルターのトンネルを過ぎてしばらく行くと稚咲内である。町ともいえない集落のようなところをよく見て進むと、あった。左手の海岸沿い、風の当たる海側はかなり崩壊しているが、玄関の側はほとんどそのままの形で残っている。民宿・浜サロベツの跡であった。もちろん誰も住んでいないが、表札さえ残っている。

下の写真が現在の姿。建物の見た目は二十年前と大して変わらない。昔は家の前は砂利を敷いた車庫になっていたのと、衛星放送のアンテナがなくなったのが違うくらいで、その頃からこのくらいのボロ屋であった。家の中の古さ加減も大変なもので、フロ場にたくさん虫がいたことを、いまでも奥さんが繰り返すほどである。

予想通り廃業して大分と日が経っていた模様だが、建物だけでも残っていたのは何となくうれしかった。あの頃泊まった人達(今でいうところのライダーハウスだった)も、ここを通ってなつかしく思うのだろうか。こうやって、過去の出来事は過ぎ去り、現在の出来事もいずれ過去になるのだなあ、と感慨深いものがあったのでした。

速攻で引き返し、4時過ぎには留萌に戻り高速に入ったので、札幌には7時に悠々と帰ることができました。


天塩から道道に入り海岸沿いを走る。風力発電の風車の他には何もありません。


稚咲内(わかさかない)に残っていた民宿浜サロベツの跡。玄関側はしっかりしているようですが、海岸に向かう裏側はかなり壊れてしまいました。左側の窓のある部屋に泊まったのです。

[Sep 30, 2013]