121 バカラ [Mar 18, 2005]

「それでもバカラは永遠に不滅です」(ちょっと違うか)と言ったのは狛江市長でありながら数十億円の財産を身ぐるみはがれてしまった石井三雄(いしい・さんゆう)氏だが、やっぱりバカラは面白い。

カシノというとルーレットというのが決まり文句と思う方が多いだろうが、マカオのサンズやギリシャ神話カジノの一面のバカラ卓をみると、まさに壮観。ヨーロッパ貴族の退屈しのぎとして始まったゲームだが、ブラックジャックが主としてカードカウンター対策の点から後退を余儀なくされているのに対し、カードゲームの王者として、さらにカシノ全体の中心的ゲームとして、今後世界中でその比重を高めていくものと思われる。

バカラの基本は非常に単純で、先攻(プレイヤー)と後攻(バンカー)のどちらがより9に近い数字を作るかというそれだけのゲームである。ディーラーがプレイヤー、バンカーの順に2枚ずつ配ったカードのうち、まずプレイヤーの2枚が開かれる[1回表]

次にバンカーの2枚が開かれる[1回裏]。ここまでで勝負がつく場合もある。勝負がつかなかった場合、プレイヤーに3枚目のカードが配られ、それが開かれる[2回表]。ある条件では2回表は行われない。それでも勝負がつかなかった場合、バンカーに3枚目が配られ、それが開かれる[2回裏]。最長ここまでで勝負が決まる。合計が10以上になったら0に戻る(1の桁のみ数える)。

バカラを面白くしているのは、その2回表、2回裏に入るルールが非常に良くできているからである。1回表裏は、2回に進まずに勝つために合計8か9になることを目指す。2回表のプレイヤーは、2回裏に進まずに勝つか、進んだとしても負けないような手を狙う。2回裏のバンカーは、勝っていれば逃げ切りを、負けていれば逆転を狙う。よく初心者向けの解説ではこのあたりは覚えなくていいという記載もあるが、これを知らないとバカラの面白さはほとんど分からない、と言っていい。

さらにバカラの醍醐味であるのは、プレイヤー、バンカーを代表してカードを開くのは、それぞれのサイドに賭けた人のうち賭け金が最大である人ということである。8や9を目指すとか狙うとか言っても、実際にはカードは配られているし、次に配られるカードも決まっている。それでも、自らが希望するカードを念じて、出すのである。

それ以外の人も、自らの望む目が出るよう、声を出して、あるいは息を吹きかけて応援する。勝負卓には賭け金を媒介として年齢、性別、人種を超えた一体感が生じるのである。その意味で、ディーラーがカードを開くミニバカラではバカラの醍醐味は味わうことができない。

カード(トランプ)をお持ちの方は、カードを表にし、その上に厚紙を置いてみてほしい。これを、カードの長辺と平行に少しずつずらしていく。まずカードの種類と数が出てくるか(ハートの6とか)、これは指でつかむところだから見えない。次に見えるのは枠である。これはフレームといい、そのカードは絵札(広東語でコン)である。絵札は10と数えるのでこれは実質0ということになる。

次に見えるのは数字を示すマークであるが、それが2つ(同じくリャンピン)ならばそのカードは4か5、3つ(サンピン)ならば6か7か8、4つ(セイピン)ならば9か10である。縦一列のマーク(モーピン)の場合1か2か3である。実際にはカードを少しずつ折り曲げながら開いて行くが、応援する者は「リャンピン!」「サンピン!」などと声をかけるし、逆側に賭けている者は「コン!」と叫ぶ。

また、例えば9が欲しいときに配られたカードがセイピン(9か10)であるとする。9は最高、0は最低であるから、応援する側は4点ずつのマークの内側が1点であってほしい。そこで、「チョイヤー(点よ消えろ)!」と声をかけ、あるいは点が飛んでいくよう息を吹きかける。逆側に賭けている者は点が付いてほしいので「テンガー(点よ付け)!」と叫ぶ。ああ、書いているうちにまたやりたくなってきた。でも、日本国内ではおカネを賭けてバカラをやってはいけないことになっているからなあ。困ったもんだ。

[Mar 18,2005]