514 ビハインドベット [Jun 17, 2005]

ブラックジャック、牌九、三公百家楽のようにボックスに賭けるカシノゲームにおいては、次にこのボックスにいい手が来そうだ、と思ってもそこにすでに賭けている人がいる場合、基本的にその人に優先権がある。それでもそこに賭けたいという場合、ボックスのこちら側の境目あたりに賭け金を置いて、その人に「乗る」ことができる。これをビハインドベットあるいはバックベットという。”behind”も”back”も、後ろから、という意味である。もちろん、ミニマム、マキシマムベットは同じ基準が適用される。

三公のように意思決定の必要のないゲームにおいては、カードを開く権利だけの違いだからあまり問題にはならないが、BJや牌九では何らかの意思決定が必要となるので、ビハインドベットをされた場合、神経を使うことになる。例えばディーラーが7、自分のカードがピクチャー、5といった場合、BSからするとヒットすべき場面であり、仮にピクチャーでバストしたとしても仕方がないのであるが、ビハインドベットをされていると、自分の手で人のカネを殺したくない、ということがどうしても頭に浮かび、結果的に12以上はすべてステイという選択をしがちである。

私の主戦場であるマカオにおいては、最初から座っている人かビハインドベットした人かにかかわりなく、最高額をベットした人に意思表示の権利がある(カードを開くのは座っている人)。まあ、うるさいのが多い土地柄だから、トラブル回避のためにそうせざるを得なかったのだろう。ただ、「される」側からすると、変なカードが来ていらぬ心配をするよりは、意思決定させた方が気が楽なことも確かである。

マカオ以外の多くのカシノでは、最初から座っている人に権利があるのが普通である。考えてみれば、その人は長い間そのボックスでチャンスを待っていた訳だから、良さそうになったからといって割り込んでくる奴より優先されるというのは理屈の上では当たり前である。ただし、「される」側からすると、あまりに金額の違うビハインドベットは迷惑以外の何者でもない。

以前テニアンの10$ミニマムBJでこんなことがあった。私は例によって15~40$位のチップコントロールで何時間か経過、そろそろいい手になりつつあり2勝1敗のペースでチップを増やしていた。ちょうどその時、背後のバカラ台がシャッフルとなったらしく、何人かの人がBJ台をのぞきにきた。私の手を何手か見ていたそのうちの一人が、なにげにビハインドベットしたのだが、それがブラックチップ2枚なのである。

こちらはグリーン+レッドだから、4、5倍は向こうの方が多い。しかしテニアンだから、ディーラーは私にヒットorステイを聞いてくる。なぜかこういう時に限って、16なのだ。ディーラーのアップカードはハイカードで、サレンダーは使えないテニアンだから、ヒット。案の定ピクチャーが来てバストである。次の手で、彼はさらにブラックチップ3枚。今度は12で、アップカードが3。この組み合わせでは、たいていヒットするのだが、後ろが気になってステイ。するとディーラーは7、ピクチャーと難なく起こして連敗である。

この間、時間にしてわずか1、2分。それで500ドルを失った彼は文句を言うでもなくバカラ台に戻って行った。おそらく、500ドルなど私にとっての50ドルにも満たないくらいの感覚なんだろうと思う。しかし、人のカネを500ドルも殺してしまった私はそれまでの好調がうそのようにチップを減らし、すぐに席を立つこととなったのであった。

ビハインドベットはルール上許されていることなので、ビビるのはこちらが悪いが、ビハインドベットと似て非なるものは、ミニマム以下のチップをひとのチップの上に乗せようとする奴らである。マカオ、特にリスボア系ではこの手がかなりいる。知り合いでもないのにそんなことをさせる義理はないので、みんなダメ出しをする。なんだか、そいつらのしょぼついた運までついてきそうな気がして嫌だからだ。

[Jun 17, 2005]