056 ストラドル杯優勝!(ポーカーの奥深い世界第56話) [Feb 5, 2008]

ストラドル杯(スト杯)は、由緒ある大会である。

その最初の開催は前世紀のことになるというから、長い歴史と伝統を持つ大会ということになる。今でこそ毎日いろいろな場所でポーカートーナメントが開かれているが、当時はポーカー愛好者もそれほど多くはなく、定例的に開催されるトーナメントはストラドル杯がほとんど唯一のものだったということである。

だから、ストラドル杯を勝つというのは大変名誉あることとされる。私がポーカーをするようになったのは2004年9月のリゾカジ・ラスベガスオフからで、上野ルームに行くようになったのは翌年の夏頃からなのだが、当時のスト杯はそれこそ歴戦の猛者達の集まりで、キャリアの浅い私など、いいようにやられたものである。

そして、その対策として編み出したのが「玉砕オールイン作戦」なのだが(このあたりはこのシリーズのバックナンバーを見ていただければ)、そういうことをブログに書くと、「スト杯を勝てるようになってからにしたら」みたいなことを言われてかなり悔しい思いをした。でも懲りずにポーカーのことを書いていたら、いつのまにか56回目になってしまったから早いものである。

勝負は時の運で、いくら勝とうと思ってもそうそう勝てるものではない。確率的には、仮に40人の大会だとすると、40回参加したときの優勝回数の分布は「0回」「1回」「2回以上」でほぼ等しくなるはずである。今回が35回目の参加だから、まだ優勝がないからといって悲観するには及ばない。

とりあえず、今年1~3月の目標はスト杯ポイントの上位で争われるシーズン決勝への出場である。幸い、1月の2回の大会はいずれもファイナルテーブルに残ってポイントを積み上げている。今回が今年3回目、ここもとりあえずポイントを獲得したいところである。

この日も満員盛況で5テーブル。指定されたのは2番テーブルで、周りを見回すと、あまり対戦したことのない人が多い。最近はJPL(ジャパン・ポーカー・リーグ)からの参加者が多いと聞いているので、おそらくその方々だろう。知っているのはⅠさんと、最初バケーションだったRさん、Nさんくらい。序盤でスーパー・アグレッシブの人に巻き込まれるとつらいので、そういう人がいないことを祈る。

1ラウンド、25-50。回ってきた最初のBBで、いきなりQQである。4人コールで回ってきたので、300点レイズする。2人下りて、3人でフロップ。と、あとはばらばらの数札。500点ベットするが、二人ともついてくる。一人はⅠさん、もう一人はマスクをかけた女性である(以下、Mさんとお呼びする)。うーん、手が読めない。

まさかAA、KKでコールで入っているとは考えにくいし、仮にそうだとしてもリレイズして来そうなものである。「QQでしょ?」とか言ってるⅠさんはAKでなければスモールペア。AQ、AJならこちらの思う壺だ。しかしMさんは全く分からない。単にルーズコーラーであることを願うが、もしそうでなかった場合、変に動いて致命傷を受けるのは避けたい。

ターンはラグ。私がの300ベットに、Ⅰさんがレイズメイク600。Mさんコール、私もコール。この時点で、ブラインドは25-50だというのにポットは4000点を超えている。リバーもラグ、ここはチェックしたか端数をベットしたかよく覚えていない。全員コールで私はQQを見せる。「やっぱりね」とⅠさんはマックするが、Mさんの開いたのはJJ、セットである。

オールインしなくて良かったと少しは胸をなでおろしたものの、いきなり1500点以上のマイナスである。そして、この後怒涛のミスマッチが始まった。AQ、AJ、AT、ローカードのペアなどが次々と入ってくるので、コールで入ったり時にはレイズしたりするものの、全くボードとかみ合わない。トップペアで打ってもコールされ、後から大きなカードが出て先に大きく打たれる。チップはあっという間に1500点まで減ってしまった。しかし、まだ開始から30分しか経っていないのである。

その後1回ポットを獲得して2000点まで戻しはしたものの、5000点が原点だからショートスタックもいいところである。ここは一発オールインでダブルアップしなければ、このままではどうにも戦いようがない。しばらく待つと、JJが来る。オールインすると、Ⅰさんがコール。やはり先ほどのビッグポットを逃しショートスタックのⅠさん、考えることが一緒である。

しかし出てきたのは99で、なんとか確率どおり逃げ切る(プリフロップの勝率は81%:19%)。これでチップは4000点に戻り、そんなにあせらなくてすむようになった。できればこの日(2月2日)、22オールインを宣言しているせりかっちや、久々にお会いしたしおなっぱ夫妻(kopa&なっち)やドレちゃんと同じテーブルになるまで粘りたいなあと思った。

そんなことを考えていたら、レイトポジションで22が来た。さすがにオールインはできないが、とりあえずレイズで入ったら、BBがコール。フロップAK2。BBはAヒットだったので、ベット500、1000をコールしてもらえて、7000点まで増やす。しかしこの日初めての原点オーバーで安心したのが良くなかったのか、その後ばったり手が来なくなった。さらにアンティが始まり、飛ぶ人が増えてテーブル整理となり、チップ持ちが集まってきた。逆に手持ちのチップは5000点に近づく。

前にも書いたように、今年は2周以上待たないことに決めている。そして、5000点の原点でがまんできるのは、現在の私の力ではアンティ50のブラインド300-600までである。だから、すでにそのブラインドになっていて、ミドルポジションで前が全員下りて、ハンドがA5sなら行くしかないのだが、SBのBBさんが重々しく「コール」を告げた。そして出てきたのはAK、これでは勝率25%なのである。

実はこの1週間前のトーナメントであるJUMPSで、私が最後飛んだのはA5オールインで、その時の相手もAKでBBさんなのであった。まさにDeja Vuというやつである。2週続けて、「5!5お願い」と叫ぶことになるとは思わなかったが、確率25%でも2回続ければ44%になる(1-0.75×0.75)。そしてなぜかフロップに5が出て、ここを勝ち残ってしまったのである。BBさんには申し訳なかったが、75%をいつも勝てない私なので、大目に見ていただくことにしよう。

ここでチップは10000点を超え、しばらくして気がつくとテーブルのチップリになっていた。この間、特に大きく動くことはなかったのだが、ショートスタックの人がオールインするとなぜかトップペアを持っていたり、フラッシュになったりしたのでやっぱりツイていたということだろう。それと、なぜかべいさんがBBの時にAQとかTTとか入って、スチールさせていただいたことを覚えている。いつも自分のBBが狙われるような気がするのだが、きっとこれもめぐり合わせなのである。

しかし、50人が5000点でスタートしたのだから総チップ量は25万点なければならないのに、残り2テーブルでこちらのテーブルのチップ量はどう数えても7、8万点にしかならない。だから2、3万点でテーブル・チップリなのだが、そうするとファイナルテーブルになった時につらいことになる。そして、隣のテーブルではBさんが一人で総チップ量の半分近くを集めていたのであった。


記念すべきスト杯初優勝のボード

ファイナルテーブルの9人に残った。これで今年に入って3週連続である。チップは30000点と少し。右の席になったRさんが40000点くらい、対面のBさんは1000点ではなく5000点チップがタワーになっており、おそらく15万点近くあるのではないかと思われた。あとの6名はそのあおりを受けて1~2万点未満である。

アンティ400で、1500-3000。1周回ると8000点飛んで行くのでゆっくり構えてはいられない。右のRさんがリンプイン、ハンドはAQs、微妙である。ひとまずコール。後ろのアクションのBさんがメイク40000点くらいのレイズ。オールイン要求である。ショートスタックのBB(BBさんではない)がコール、Rさんは下り、私も下りた。現状3位で9着エンドは悲しいし、1周待てば私よりきつい人が何人か飛び込むはずだからである。

実際、1周待つ間に2人がゲームオーバーになる。そして、Bさんはほとんどすべてのハンドオールイン要求で、ショートスタックと取ったり取られたりしている。このまま待っていては、こちらはチップを減らす一方で、勝負を賭けた人に追いつかれるのは目に見えている。そして再びBさんはレイズたくさん。こちらが手を開くとQQ。この日のベストハンドなのだが、前回はJJにセットを作られて大打撃を受けている。とはいえ、もうこれ以上待ってもこの日はAAもKKも来そうにない。「オールイン!」

Bさんから出てきたのはKJだっただろうか絵札が2枚、しかしペアではない。Kさえ出なければ勝ちというところで、見事に逃げ切りダブルアップ、チップを増やして抜け出した2番手となった。その数ハンド後、今度はATクラブのスーツ。やはりレイズで入っていたBさんにリレイズすると、コール。相手はと何か、クラブのスーツである。よし、フラッシュでの負けはない。

「あっさりエース!」と気合を入れたら、フロップでいきなりが出た。そしてそのまま逃げ切り、2ハンドでBさんを逆転、今度は私が12万点以上持ってチップリーダーになったのである(実は数え切れないくらいチップが来てしまい、しばらく正確な自分の持ちチップが分からなかった)。

いくらチップを持っているとはいえ、慣れない金持ちプレイなどしたら墓穴を掘ることになる。一番優勝できる可能性がありそうなのは、とにかくチップ優位のままヘッズアップに持っていって、オールインの一撃に賭けることである。できればチップ量の3/4を押さえてしまえれば2回のうち1回勝てばいいことになるが、そうはうまくはいかないだろう。

実際、ファイナルテーブルに残ったとき2番目にチップを持っていたRさんとのヘッズアップになったのだが、チップ量は2:1。最初のオールイン対決に負けたとしてももう一度チャンスはあるが、立場が逆になってこちらがショートスタックになる。しばらくはぶつからないが、Rさんは2度オールインをかけてきている。確率的に、上位10%ハンドではなさそうだ。

次のRさんのオールインで手を見ると、Kc2sである。相手がAとローカードなら、不利ではあるが致命的という訳ではない(例えばA9vsK2なら、勝率は65%:35%)。まかり間違ってQJとかJTとかだったら、むしろこちらが有利だ。いつまでも下りていたらいつかは追いつかれる。一度は受けてみるべきだろうと「コール」、ところが出てきたのはAcKsである。うわ、なんでよりによって今回はマジ手なんだ。

フラッシュでの勝ち目もないため、勝率では21%:78%と、圧倒的に不利である。だが、中盤のA5に続いてここでもupsetが起きる。なんとフロップは2h5d8cが落ちたのである。この段階で、勝率は逆転して84%:16%。あと2枚のうちにAが落ちるか、58Kの組合せで2のペアが死んでしまうことがない限り、優勝である。

ターン7h、リバー6h。ハートのフラッシュや9ハイ、8ハイストレート、上目のペアなどいくらでも強い手はあるのに、2のワンペアの勝ちである。そもそも読みどおりなら、A2をはじめA4からA9まですべて負けているのだから、ポーカーは何が起こるか分からない。

Rさんと、応援してくれた3位のべいさん、ミニトーで残っていたドレちゃんと固く握手し、喜びを分かち合う。今年初勝利が、ストラドル杯メインの初優勝である。そして、今年はヘッズアップ1戦1勝である。いつも帰りの電車はヘッドフォンでiPODを聞きながら落ち込んだ気分をまぎらわすのだが、この日は1日の展開を振り返ってうれしい反省会で、あっという間の帰路であった。

この日の勝因を分析してみると、おそらくかなり大きかったのは、Bさんが半分以上のチップを集めてしまい、その中に私が苦手とする人が相当数含まれていただろうということと、逆に私のテーブルはおとなしいテーブルで、苦しい時期に比較的落ち着いた展開に恵まれたということ、そしてジョシュことShadowさんが、満員御礼のため参加できなかったことなどがあげられるだろう。

ところで、私の優勝によほど驚いたらしく、翌朝起きたら雪が積もっており、JRAの府中開催は中止になってしまった。

[Feb 5, 2008]