062 第2回AJPCシニア(ポーカーの奥深い世界第62話) [May 21, 2008]

沢木耕太郎の「凍」を読んだ。世界的クライマーである沢野井泰史・妙子夫妻のヒマラヤ・ギャチュンカン登頂の物語である。1990年代には「山と渓谷」を毎月買っていたので山野井の名前は知っていたが、2002年のこのアタックのことはあまりよく知らなかった。

この作品は3、4回繰り返し読むほど良かったのだが、本筋とは別に思ったのは、クライミングはポーカートーナメントによく似ているな、ということである。千数百メートルにわたりそびえ立つ垂直な壁の上に、頂上がある。それがいくら高くても、一度に進めるのは手足の届く範囲、ごくわずかである。

その間自らを支えるのは、絶壁の中にわずかに見出した足場のみ。そして、わずかなミス、天候の急変、散発的におこる雪崩などがあれば、即、千メートル下の氷河に落下を余儀なくされる。何千点持っていようと、オールイン一発でゲームセットとなるように。

ミスがあるかどうかは自分の責任としても、雪崩は半分以上が運である(どこで起きそうかという予測は可能)。そして気象状況に至っては、100%運である。ポーカーでも、AAはプリフロップ最強だが、フロップが開いてしまえばその保証はない。相手がどうアクションするかも予測はできるが確実ではない。

今回のAJPC(全日本ポーカー選手権)、頂上ははるかに遠いが、ヒマラヤの氷壁をイメージしてゲームしようと思った。

シニアは25人スタート。同じ卓にはポーカー侍さんとひろちゃんがいる。5000点スタートだから、序盤戦はほとんど様子見。リンプインして幸いにストレートができるボードが続く。クライミングでいうと取り付きの斜面のあたりだろうか。続けてポットを獲得し、6000点、7000点とチップを増やす。順調に高度を稼ぐことができているようだ。

このあたり、アグレッシブな下家が再三レイズしてポットを取られる。行きたい時もあったのだが(クラブA持っていてフラドロとか)、まだ早いと思いとどまる。上家のひろちゃんと困ったことですねぇと話す。途端にハンドQQ。リンブインで入る。フロップ、ターンとスモールカード。下家がベットするのでコーってみると、A3から3ヒットしただけでQQペアの勝ち。

しばらくしてKK。ひろちゃんが500レイズしていたのでオールイン要求のビッグレイズ。下りていただいてポットを獲得。「なんでQQリンブでKKビッグベットなんだ」という声が聞こえる。確かに定石は逆かもしれないが、この人から取ってやろうというケースとこの方とはあまりぶつかりたくないなあというケースでは、対応が違っても仕方がない。

ちょうど10000点を超えたあたりでテーブル合体。上家にはたらくさんが入ってくる。まずい、チップを持っている(後からお聞きしたところ、やまかんさんとぶつかって増やしたということである)。この方が暴れだすと、手がつけられなくなってしまう。なにしろ昨年の第一回大会では、AAvsAKの絶対有利からストレートを作られてやられているのである。

 

すでに第5ラウンドに入っている。アンティ50の150-300。KQリンブで、フロップAKx、ターンと落ちる。テーブル合体で間に2人入ってきたが、さきほどからぶつかっているレイザーと当たる。ターン、リバーとこきざみに400ずつベットする。まあAヒットだろうと見ていたのだが、リバーの2も当たっていて負け。再びチップは10000点を割ってしまった。

第6ラウンド、アンティ75の250-500。4ラウンドまでにKK、QQが来たきり、その後ばったりと手が止まっている。幸い上家のはたらくさんががんがんビッグレイズするので「下りるのは楽」なのだが、差は開く一方である。どこかでなんとか仕掛けたいと思っていたところ、ポーカー侍さんがオールイン。

ばたばたとみんな下りて、BBは私である。ハンドは48。ここで下りていたらジリ貧であるが、ハンドは寒い。500点は出しているので、あと2000点くらい。仮に負けても、まだ原点の5000点以上はある。「ハンドは来ないと思え」が最近のモットーなので、コールしてしまった。

ポーカー侍さんはA3。これなら、ちょっと不利(55:45)なだけである。フロップが出て、ターンで再び、なんと最後はフルになる。侍さんを討ち取って、10000点復活である。

そのしばらく後、SBでまたもや48、コールしたらBBのぬーぼーさんにオールインを食らう。仕方なくコールしたら出て来たのはAQ、今度はかなり不利(60:40)である。しかしここも4ヒットで逃げ切る。結局中盤戦で上がったのはこの48の2度だけであった。

その間、はたらくさんは私と何度もぶつかっていたレイザーとオールイン対決を勝ってさらにチップを増やし、およそ12万点の総チップ量のうち、半分近くを集めていた。そのため第7ラウンド、アンティ100の400-800で、早くもファイナルテーブルである。もう一つのテーブルからは、前回チャンプのakiさんはじめ、かずさん、あんがーさん、せりえさんといった予想通りの面々が合流してきた。席を引きなおして、いよいよスタート。

しばらくして、後から論議を呼ぶゲームとなった。SBでA7をコール参加。そしてフロップがAAQ。何人か参加していたので、誰か来たらチェックレイズするつもりでそのまま回す。チェックが続いたが、ここでボタンがオールイン。チップ量は私よりかなり多い。そして、このボタンの人を私はよく知らないのである。5000点そこそこのポットに対し、1万7千点のオールインはいかにも大きすぎる。

プリフロコールで回ってきたので、AQ、QQはないと思われた。そして残り2枚のAのうち1枚は私が持っている。そこそこ打ち慣れた人であればオールインはAを持っていない証拠なのだが、そうではないような気がした。AT以上はないとしても、A9、A8でコール参加はありうる。そしてフロップキャッチで思わずオールインしたとすると、よくて引分け、悪くすると飛びである。

ここまで現実に出したチップはアンティとブラインドの900点、これで1万点以上のチップを危険にさらすことはできないと判断して下りたのだが、後ろからカードを見ていた方々からは「何で下りるの?」と疑問の声が上がっていた。普段プレイしている相手だったら、おそらくコールしていたと思う。結局その方は私より大分たくさんチップを持っていたのだが、私より早くゲームセットとなってしまった。

そして、akiさんも、あんがーさんもダントツチップリのはたらくさんと当たって引かれ、終了となった。残りは6人、いよいよクライマックスである。

 

 

残った6人は1番シートからはたらくさん、かずさん、せりえさん、私が5番目で両隣はよく知らない人である。上家はさきほどのオールインで、あまり慣れていないかそれとも私より全然上なのかとみていたが、そのすぐ後に下家をよく知らないことが災いを呼んでしまった。

すでに第8ラウンド、アンティ150のブラインド600-1200。私がSB、下家がBBのとき、ショートのかずさんがオールイン。私もコールで参加、ハンドはJ5である。フロップTTx、チェックチェック。ターンで私チェックにBBがベットである。

たぶんAJかKJがヒットしたんだろうけど、なんでこのシチュエーションで打つかなあと思って下りたら、なんとBBはKQ、ストレートドローである。結局KハイでBBが勝ったのだが、かずさんがペアだったら飛ばし損ねているところであった。

その後せりえさん、上家も終了となり、残りは3人。はたらくさん、私、「ストドロでオールインにベットした人」の順である。ボタンでA5、フロップでが落ちる。二人チェックに1200ベットすると、コールで付いてこられる。ポット7000点強。ターンラグでチェック回り、そしてリバーもラグでSBがオールインである。はたらくさんは下りて、私の番。

先ほどの打ち方からして、セットのスロープレイはないだろうと思った。そしておそらくはAもない。問題は、ツーペア引かれたかどうか。しばらく考える。もしツーペア引かれたら私がフロップでちゃんと打たなかったからだし、A持ちでチェックで回したとしたら相手の力量を見誤ったということである。観念して、コール。果たして、SBはA以外のワンペア。逆転して2位に浮上したところで最後の休憩となった。

休憩が終わると第9ラウンド、アンティ200のブラインド1000-2000である。この勝負どころでこれまで以上に手が入らなくなった。そして、チップリのはたらくさんは大量リードをしているのでブラフが利かない。J9レイズをはたらくさんにコールされてフロップが落ちた時、ポジションベットすべきかと考えたがやめた。相手は圧倒的なチップリである。受けられたら目も当てられない、開いて勝つしかないと思ったからである。ここも、はたらくさんのQハイに負けた。

とうとう、チップは再び10000点を割った。再びはたらくさんのビッグレイズに、ハンドはQ9、休憩後のベストハンドである。そしてこのハンドは、昔テニアンで勝った時のウイニングハンドでもある。このハンドに命をかけることに決めてオールイン、そしてはたらくさんのハンドはK9だった。ドミられている。フロップで、そしてリバーで再び、と完敗。3位でのゲームセットとなった。

はたらくさんは最後の一人も討ち取って、見事に二代目の全日本シニアチャンピオンとなった。あれだけ引き離されてしまっては、どうにも抵抗しようがありませんでした。改めて、おめでとうございます。また、祝勝会ごちそうさまでした。

祝勝会が開かれて、みんなでお肉やお魚を食べてがんがん飲んでいるさなかにも東京予選は進んでいた。翌朝AJPCのサイトをみると、この中からちゅーちゃん、さとーさん、ありちゃん、ぽりーさん、それにリゾカジからゆみりんさんが勝ち上がっていた。明日はいよいよAJPCメインイベントの決戦である。

[May 21, 2008]