514 池田理代子「ベルサイユのばら」 [Apr 25, 2005]

いま、上戸彩でリメイクしている「アタックNo.1」は週刊マーガレット連載であったが、それより一世代後に週マで人気連載となったのが「ベルサイユのばら」である。ちょうどその連載当時私は高校生で、女の子たちが大騒ぎで読んでいたので単行本を借りて読んでみたが、初めは大しておもしろくなかった。

昔のことなので細かいところは覚えていないが、男装の近衛兵士オスカルと王妃マリー・アントワネットと北欧貴族フェルゼンと、パリの街で暗躍する「黒の騎士」とかが入り乱れる、ただの少女趣味(少女マンガなのだから当り前だが)の活劇にすぎなかった。

それが、物語の後半に近づくにつれて、異常に盛り上がってきた。単行本全7巻でいうと5巻くらいだったが、多分このとき、作者池田理代子には神が舞い降りたのだと思う。少女趣味の活劇が、フランス革命物語になってしまったのだ。ルイ16世やロベスピエールをはじめとする革命の志士、ちょい役でナポレオン・ボナパルトまで登場する。回し読みにあきたらず、週刊マーガレットを自分で買い始めてしまったくらいだ。

連載終了後も単行本が爆発的に売れ、遂には宝塚で演じられるまでになった後のことは皆さんご存知のとおり。あの連載から、早くも30年が経ったのだから驚く。その後(というよりほぼ同時期に)、少女マンガという異端の分野ながら今日でも通用する作者・作品が相次いで発表されたのだから、リアルタイムで見ることができたのは幸運だったと思う。

特にその当時特徴的だったのは、それまで代表的だったスポーツ根性もの(アタックNo.1は古いが、この時期「エースをねらえ」がやはり週刊マーガレットで連載)や不幸な生立ちや境遇にめげずがんばるもの(少女フレンド系の里中満智子が大御所。たいてい主人公が倒産するか目が見えなくなる)に対し、男装の女性(オスカルだ)や、女装の男性や、中性的登場人物、ホモセクシュアルやらバイセクシュアルが遠慮なく出始めた、ということだろう。その当時マンガの世界で登場したことが、いまのリアルな世の中で実現していることからみても、その先見性は評価すべきだと思う。

その意味で、この作品は先駆的ではないにせよ代表的な作品であるということができる。いまでも、何らかの手段で入手することは可能だと思うが、後ろから7分の3ぐらいのところから読むことをおすすめする。神が舞い降りる前の部分はストーリー的にも今一歩だし、絵柄も後半のものとは大分違っているからだ。

[April 25, 2005]

青い花さんよりのコメント

相当の思い入れの本ですので、ちょっと一言。「ぜひ皆様、始めからお読みください。でないと神が舞い降りたことを感じられません・・・。オスカルの成熟は作者の成熟です。蒼い時にもその魅力があるものです」

尚、テレビアニメとなったものもレンタルビデオ店にありますがあれはベツモノです。


もう、40年も前のことになってしまいました。私が少女マンガにはまるきっかけとなった本。この本と出会わなければ、おそらく違う人生だったのでしょう。