516 一条ゆかり「デザイナー」 [Jun 25, 2005]

74年2月~12月号にりぼんに連載された作品。りぼんというと、陸奥A子、太刀掛秀子、田渕由美子といったようなほのぼのとした作品のイメージがあるが、一条ゆかり作品はドロドロである。特にこの作品は、30年前の作品ではあるがフジテレビの昼ドラ並の粘っこさである。

主人公の亜美は孤児から売れっ子モデルにまで上り詰めたが、自動車事故でモデル生命を断たれてしまう。デザイナーとして彼女を使ってきたが、モデルができない体となったことを知るや笑いものにした鳳麗香(じつは亜美を捨てた実の母親)に復讐を誓い、謎の財閥御曹司結城朱鷺のもとでデザイナーとしての特訓を受ける。そして麗香のショーにぶつけて亜美のデビューとなるのだが、というあらすじである。

少女マンガの常として、実は父親、実は母親、実は兄弟、事故で再起不能、自殺、記憶喪失、どうみてもHOMOにしか見えない秘書などなどお決まりのパターンが続出し、物語は当然のことのように破局へと向かう。そうしたワンパターンが鼻につく人もいると思うのだが、私は彼女の作品の中ではこれが一番好きである。ドロドロな作風ならば、変に格好をつけないで行くところまで行ってほしいと思うからである。

本筋とはあまり関係がないのだが、結城朱鷺のバックアップのもと、亜美を一流のデザイナーとするため世界的な服飾専門家、色彩専門家、デザイナー、縫製専門家が招かれ、1ヵ月の間に亜美を本物にするための特訓が行われる。世界的というくらいだから、みんなフランス人である。セリフも横書きだから、たぶんフランス語で話しているのだと思う。ろくろく学校に行っていないはずの亜美が、なぜいきなりフランス語の読み書きができるようになるのか、よく分からなかった(いまでもよく分からない)。

今週のWSOP(World Series of Poker)レディースに参戦するYさん、あけみんさんが国内トップクラスのポーカープレイヤーに集中講義を受けているのを見て、この場面を思い出した。原作では、「この本のレポートを明日まで」「デザイン画をもう十枚」「この絵に色をつけてみろ」「○○カットを明日までに覚えて来い」などの宿題を連日出される亜美が寝ずにがんばるのだが、結局デビューにはゴーストライター(というのかどうか)の作品を使われてしまう。抗議に行った亜美に朱鷺はこう言うのだ。「1ヵ月で一流になれって言いましたよ。」

この作品が連載されているまだ若かった頃、こういうドロドロした世界にもあこがれたものだが、年とともにあまりこだわらない生き方に変わってきたような気がする。ときには、このくらいの魂のぶつかり合う世界もいいと思わないでもないが、いまの自分ではたぶん体力も気力も続かないだろうと思う。


一条ゆかりは大御所だけあって代表作が多いのですが、個人的にはこの作品とこいきな奴らでしょうか。なつかしいなあ・・・。

[Jun 25, 2005]