563 けらえいこ「あたしンち」 [Nov 2, 2005]

先週、宅配の新聞を読売に替えた。前はS新聞を10年以上取っていたのだが、いろいろあって読売に替えた。読売新聞を宅配で読むのは生まれてはじめてであるが、うれしいのは、日曜版に「あたしンち」が載っていることである。

けらえいこに注目したのはかなり前のことである。通勤電車で隣に座ったOLさんが、おもしろそうなマンガを読んでいる。「それはなんというマンガですか?」とはまさか聞けないので、題名を盗み見ようとしたのだが、残念ながら見えない。仕方なく、特徴のある絵柄と装丁を記憶して、あとから本屋でそれらしいジャンルを探した。結局しばらくかかって見つけることができた本は、「たたかうお嫁さま」。けらえいこの出世作である。

それまでマンガというとペンとスクリーントーンというのが相場だったのだが、彼女の作品の多くはコピックという色付きペンが使われているのが特徴である(いまではかなり当たり前)。テーマはほとんどが自分のことなのだが、どちらかというと一般人なので、身近に感じる。女性の作者であるのだが、男が読んでもかなりおもしろい。というわけで、そのシリーズ(セキララ結婚生活とか)を続けて買うことになった。

「あたしンち」でブレークしたのは、それからまもなくである。いってみれば、「サザエさん現代版」とでもいうべき作品で、主人公のみかんとその母、弟のユズヒコと父という四人家族の物語である。登場人物も限られていて、みかんやユズヒコの同級生、母のお友達といったところで、きわめて平和に話が進んでいく。あまり大きな事件とかは起きない。いかにも、新聞の日曜版に掲載されるような作品である。

たまにすごく面白い回があって、そういう時は笑いをこらえるのに苦労するが、たいていは可もなく不可もなく、あまり毒もないので本当に平和に読み進めることができる。きっと昔であれば「PTA推薦」ということになったのかもしれない。いわばマンガ界のイージーリスニングといえるだろうか。その意味では、最初にあげた「たたかうお嫁さま」の方が微妙な毒とスリルがあって楽しい人が多いかもしれない。

ならばなぜ、そちらを主に取り上げなかったのか?それは、次回取り上げる作品との兼ね合いなのでした。(来週をお楽しみに)


これは現代作品なので、表紙だけ。2013年から、読売日曜版のマンガは「猫ピッチャー」になりました。まあ、けらも一生分稼いだろうから。

[Nov 2, 2005]