612 澤井健「表萬家裏萬家」 [Jun 13, 2007]

1989年ビッグコミックスピリッツ連載。これ、実はすごい好きな作品なのだが、作者は引退、作品は絶版でいまとなっては読む手段はない。しかしかぜか「初版第一刷」で前・後編を持っており、なぜかいまだに処分していないのであった。

京都・足利女学園の教師であり日本舞踊家元の次男藤原晴信と、茶道家元表萬家の慈瑠(じる)、裏萬家の寿璃(じゅり)の物語。慈瑠の趣味は即身成仏、寿璃の趣味は「キンカンぬって~またぬって~」と言いながらあそこにキンカンをぬることである。タイトルからして、言うまでもなくお下劣マンガであるが、相当おもしろい。

足利女学園から東京の男子校吉兆学園に転勤(転職)した晴信だが、晴信を追って慈瑠と寿璃が上京、札束を積んで無理やり男女共学にしてしまう。そんな浪費が祟って、表萬家は破産してしまう。家元の鳳瑠(ほうる)、家元の娘で慈瑠の母親、そしてなぜか座敷牢に入っている登瑠(とる)もそれぞれの事情で東京に向かう。ちなみに、苗字は全員「萬」である。

物語のクライマックスは、晴信の実の妹が慈瑠と寿璃のどちらかというところなのだが、表萬家の萬鳳瑠家元や奈良のご神鹿、気持ち悪い上杉先生、吉兆学園の番長館山航(表萬家に婿養子に行ったら変な名前になると悩む)、岸田劉生の「麗子」にそっくりな岸田隆盛など、濃ゆいキャラクターも目白押しである。

この作品の後、ほどなく引退(イラストレーターになったらしい)したのは残念なことであった。


もはや絶版になっているので、雰囲気を味わうためご覧ください。


1980年代末のスピリッツは美味しんぼ全盛時代でした。柳澤きみおが、作風を変えたのもこの頃。

[Jun 13, 2007]