661 つのだじろう「うしろの百太郎」 [May 24,2007]

1973年から少年マガジン連載。ちなみにつのだじろうはこの連載の直前まで、極真空手の創始者である大山倍達が主人公の「空手バカ一代」を連載していたが(原作はもちろん梶原一騎)、この連載をやめて「百太郎」と「恐怖新聞」(少年チャンピオン)に取り組んだ。そのため「空手バカ一代」は影丸穣也・画で連載を続けることとなった。

心霊研究者の父を持つ後一太郎(うしろ・いちたろう)は、さまざまの超常現象に遭い毎度のようにピンチに陥るが、そのたびに守護霊である「百太郎」(ひゃくたろう、と読む。山口百恵の全盛期には、ももたろうと読んだ人がいるとか)が現れてそのピンチを救う。当時のオカルトブームに乗って大人気を博した作品で、いまだに「うしろの百太郎」「恐怖新聞」はオカルトの代名詞といて用いられている。

私が一番よく覚えているのは、一太郎が急死してしまい(じつは仮死状態)火葬されようとするその時に、心霊研究者の父が「一太郎は必ずよみがえるから土葬に」と主張して棺桶のまま墓地に埋葬される。しかしそのままでは窒息してしまうので、地上から棺桶まで空気穴を通し、さらに連絡が取れるように胸元にひもを置いてそれを引くと鈴が鳴って生き返ったことが分かる、という仕掛けを用意しておいて、見事そのとおりに一太郎はよみがえる、という話である。

その後に、実は死亡診断にはかなりいいかげんなところがあって、土葬が一般的なカトリックでは、死後何年かして調べてみると埋葬したときと全く違う姿勢になっている例が少なくない、などと話が続く。本当の話かどうか分からなかったけれど、生き返ったら埋められていてそのまままた死んでしまうのは苦しいだろうなあ、と思ったものである。

「根性」「体育会系」の梶原一騎と「心霊」「超常現象」のつのだじろうが合うはずがなく、この両者の確執は有名で、それが「空手パカ一代」の漫画家変更のひとつの要因とされる。だが、つのだじろう画のときの「三角蹴り」「牛殺し」がどことなく微笑ましかったのに対し、影丸穣也画の全国制覇編はやや殺伐とした印象が否めなかった。そのあたり、つのだじろうの人柄というか、画風によって救われていた面があったのではなかろうか。

ちなみに、「メリー・ジェーン」のつのだ☆ひろとは実の兄弟である。


「うしろの百太郎」「恐怖新聞」には依然としてファンが多いみたいですね。つのだじろうを超える作品が出ていないということでしょうか。

[May 24,2007]