710 ねこぢる「ねこ神さま」 [Oct 24, 2006]

1998年に死去してからも根強い人気を維持し続ける作品。2匹のねこ神さまがいわしを手に人々の願いごとをかなえていく、というと夢のある作品のような気がしてしまうが、とんでもない。中身は毒と不条理が詰まっている。この作者の描いたねこをかわいいという人が多いけれども、私は最初見た時からかわいいと思ったことはない。

ねこ神さまの上司は神様である。神様に「お前たちもシャバの人たちの役にたたないと」と言われて、「なんであんなクズ野郎共に」と下界に行ったねこ神さまが「はーい、並んで並んで」と順番に注射していたのは「シャブの人たち」でした。

ねこ神さまのライバルは犬神さまである。「俺はクラブでDJをやるぜ」「私はアニメの声優」と夢を語る若者たちを、犬神さまは「お前らは国家の奴隷じゃワン」と建設労働者と女工にしてしまう。ねこ神さまがやってきて「なんてことするんだ。みんなの夢がかないますように」と祈ったら、日本は世界の最貧国になってしまいました。

敵軍の空襲に、「なんてことだ。空軍の大編隊が健在であれば・・・」と切歯扼腕する将軍の前に現れたねこ神さま、「どーん」と登場させたのはボンテージに鞭をもった「大変態」の方でした。

このあたりはまあ普通に面白いのだけれど、だんだんあちらの世界に近づいていく。個人的に一番この作者の性格を表しているように思うのは、きれいなお嬢さんがねこ神さまを見て、「まあ、かわいいにゃんこ。うちにもにゃんこがいるのよ。みーこっていうの」と言われてねこ神さまがお屋敷に行くと、そこにいたのは蛇の化け物で、「それ、にゃんこじゃないよ」「しーっ。こいつ、なんか普通じゃないよ」という話。

ちょっと飛んでる作者のちょっと飛んでる作品なだけに、これを心底面白いと思える貴方はちょっと飛んでいる、かもしれない。


作品中に非合法薬物が頻出するので、その影響が作品にも現れているといわれる。多分その通りなんだろう。

[Oct 24, 2006]