760 萩尾望都「ポーの一族」 [May 02, 2005]

「ベルサイユのばら」でマーガレットを買い始めた私が次に向かったのが少女コミック系の人気マンガだった。当時の少女マンガ誌には、週刊でマーガレット、少女フレンド、少女コミックの3系統があり、それぞれ月刊の別マ、別フレ、別コミを出していたし、「りぼん」(マーガレット系)、「なかよし」(だったかな?フレンド系)といった系列誌を持っていた。

少女コミック系には当時、萩尾望都、大島弓子、竹宮恵子といった人気マンガ家がおり、その作品のいくつかは今日でも十分通用するものである。萩尾望都の作品には、「トーマの心臓」とか「十一人いる」とか、短編で「アメリカン・パイ」とか、個人的には一番好きな「銀の三角」(この話はまたいずれ)とかがあるが、代表作というとやはり「ポーの一族」ということになるんだろう。

ポーの一族というのはバンパネラ、いわゆる吸血鬼であり、バンパネラに血を吸われることで自分もバンパネラになる(吸われすぎると死んでしまう)。主人公のエドガーは妹のメリーベルを守るためにいろいろあってバンパネラになってしまう。バンパネラは心臓を杭で打たれると消滅してしまうが、それ以外は不老不死である。だからエドガーは、中・高生くらいの年格好のままかれこれ4世紀ばかり時のはざまを漂っているのである(子供が二人で大層なお屋敷を借りたりするお金をどうやって工面するんだろうという疑問は残るが)。

私がリアルタイムで連載を読んだのは、実質的な最終話「エディス」(エドガーの兄弟の子孫エディスが登場。この子のため、エドガーの数百年の相棒アランが消滅してしまう)だったので、最後を読んでから最初を読むという変則的な読み方になってしまったが、ベルばらと同様初期の作品は絵柄も違うしストーリーもいまいち完成されていないので、かえって良かったのかもしれない。なお、このシリーズの真ん中あたりの作品「小鳥の巣」が「トーマの心臓」に発展し、さらに竹宮恵子の「風と木の詩」に影響を与えたのではないかと思っている。

萩尾望都自身はSF作家としての素質が高く、光瀬龍(百億の昼と千億の夜、少年チャンピオン連載)やレイ・ブラッドベリのSFのマンガ化も手がけているのだが、「ポー」の中でもバンパネラの科学的分析を行っている点は興味深い。いま20代半ばより下の世代は萩尾望都を知らないらしいが、当時の人気マンガ家の中でも最も性別問わず読むことのできる作者であるので、ぜひ読んでほしいと思う。自らの内面世界を広げることができるはずである。


ポーの一族シリーズでは、単行本3巻のギムナジウム舞台の話が最高傑作でしょう。首をかまれた彼はどうなったのかなあ。

[May 02, 2005]