122 須田慎太郎・矢部宏治「本土の人間は知らないが、沖縄の人はみんな知っていること」 [Apr 26, 2015]

WEB上で誰かが薦めていた本なので(誰だか忘れてしまったのだが)、さっそくamazonで取り寄せて読んでみたところ、たいへん驚いた。正直なところ、目からうろこが落ちるとはこのことだろう。観光ガイドブックの体裁をとっているものの、すごい本である。

基本は、沖縄本島・離島に所在する米軍基地の概要・位置・役割・みどころなどの解説である。沖縄県内の基地、港湾、弾薬庫などについて書いてある。2ヵ月前に沖縄に行ってきたのだけれど、行く前に知っていればぜひ見てきたのに、という場所が結構あった。国道58号線を那覇から走っていて、普天間から北はすべて嘉手納基地だと思っていたらそうではないのであった。

まず基地関連で全く知らなかったのは、平安座島の石油備蓄基地が、もともと米軍への供給のために作られたということである。

あの施設は、オイルショックの教訓を踏まえ、石油の安定供給を確保するため国家プロジェクトとして作られたものだと思っていた(備蓄基地のHPにもそんなことが書いてある)。ところがこの本にもともと平安座は米軍関連と書かれていたので、さっそく調べてみると、確かにもともとのスタートが米軍支援目的であった。

計画自体もオイルショックのはるか以前(というより沖縄返還以前)に米国のオイルメジャーが計画し、土地を買収し埋め立て計画を立てたものであった(現在は日本企業の所有となっている)。石油の安定供給確保なんていうのは後付けの理屈であり、今日でも、米軍の使用する石油は、平安座島から対岸の送油基地を経由してパイプラインで各基地に送られているそうである。

施設解説以上に驚かされるのは、表題「本土の人間は知らないが・・・」と題したコラムである。自民党から政権を奪った内閣である細川内閣も、鳩山内閣も、不可解な早期退陣により政権の座から転げ落ちているが、それはすべて米軍絡みというのは、本当に沖縄の人にとっては常識なのだろう。というのは、かつて返還以前の時代に、何人もの首長が米軍のツルの一声で排除されていたからであった。

この本の中で何回か「米国政府はネコで、沖縄はネズミである。ネコの許す範囲でしかネズミは遊べない」という1946年、米軍高官の発言が引用されるが、この構図は戦後70年を経過しようとする現在もなお続いていることを沖縄の人間はみんな知っている。けれども本土の人間は知らないというのが本書の言わんとするところである。

その意味では私自身も同様であり、官僚支配とは何か、基地返還問題がなぜあんなにこじれるのか、この本を読むまで本当のところは分からなかったことを白状しなければならない。


観光ガイドの体裁をとってはいますが、なかなかすごい本です。正直、目からうろこが落ちました。

[Apr 26, 2015]