311 松下竜一「どろんこサブウ」 [Apr 12,2005]

1ヵ月ほど前の産経新聞に、道徳教育の見直しといった論点で、広島県の学校で、20年間ゴミ拾いをした人の話などを題材に勉強している、とあった。多分そうだろうと思ってよく読んでみたら、やっぱり谷津干潟(やつひがた)の話だった。広島県(やたらと教職員組合が強い)でというところはちょっと笑うが、わが千葉県では非常に有名な話である。

昔、私の子供の頃は津田沼のあたりでも潮干狩ができたし(いまは木更津あたり)、船橋(半人工)や稲毛でも泳ぐことができた(いまは内房だと岩井あたりか)。京葉道路がやっと通った頃でその先は海だったし、湾岸道路やJR京葉線などは影も形もなかった。海面だから国の持ち物で、そこはほどなく埋め立てられることが決定していたから、だんだんゴミ捨て場と化していったという。

生まれ育った干潟の惨状を見かねたサブウは、仕事の合間に、ひとりゴミ拾いを始めた。ゴミといってもビンやカンといった小物だけではなく、産業廃棄物のような大物もあったという。雨の日も風の日も、サブウは腰まで泥につかりながら干潟のゴミ拾いを何年も続けた。

初めは、くさいだけの干潟など早く埋め立ててしまえ、と言っていた人々も、徐々に協力してくれるようになった。そして、干潟と海をつなぐ水門(これにより満潮干潮で海の水が循環し、干潟が生きている)をふさぐ予定であった国をも動かし、今日、津田沼高校の裏から船橋競馬場あたりまで続く広大な干潟が、埋立地からすっぽり抜けた形で、公園として残されることになったのである。

このあたりをまとめたノンフィクションが、松下竜一の「どろんこサブウ」である。著者の思想なのか、ややレフティーな色彩が鼻につくけれども、たいていの図書館の児童書には揃えられている(千葉県だけか?)ので、子供の頃の純粋な気持ちを思い出したい方にぜひお奨めしたい。余談だが、サブウこと森田三郎氏は、習志野(谷津干潟がある)市議会議員を経て、現在千葉県議会議員である。

[Apr 12,2005]