004 続・職業訓練編 [Jul 6, 2017]

Ⅰ.ポリテクセンターの収支計算

さて、1月から6ヵ月通った職業訓練所について、その得失を考えてみたい。まず、経済的な収支。ポリテクセンター千葉に通うにあたって、強制・半強制でいくつか避けられない出費があった。改めてまとめると、以下のとおりである(金額は概算)。

傷害保険料           4,000円
講義で使用するテキスト代  12,000円
二級ボイラー技士試験費用  12,000円
ボイラー実務講習費用    23,000円
危険物取扱者試験費用    24,000円
二級電気工事士試験費用   30,000円
雑費(交通費・郵便代)   25,000円
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合計               130,000円

上の金額には、これから結果が出る危険物乙1・3・5の免許申請費用と、二級電気工事士の実技試験・免許申請費用は含まれていない。それでも10万円を軽く超えている。ポリテクに通うと受講手当が上限2万円出るが、それでは全然足りない。(あとつけ加えると、二級電気工事士試験費用には、工具セットと受験準備用資材が含まれる。)

正直なところ、ボイラーの実務講習を受ける必要があったのかどうかいまだに疑問だし(試験だけ受かっていればあとは就職に必要なら受ければいい)、他の資格にしても受講生が必要だと思えば取るし、どれが必要かは自分で考えさせればいい。強制・半強制にするのがおかしいのである。

一方で、ポリテクに通う間は失業保険の受給期間が延長されるので、その分収入も増える。だから、増えた分の収入と上にあげた必要な費用との兼ね合いとなる。私の場合、若干のプラスとはなったものの、6ヵ月の間拘束されたことを考えれば、それほど率のいい取引だったとも思えない。

というのは、聞かなくてもいい講義があり、関わりになりたくないような人間も少数ながらいた。失業者相手だと思うのか横柄な講師もいるし、常識のない職員や受講生もいる。そもそものきっかけは失業保険が余計に出るということで志望したのだが、もし8ヵ月前の私にアドバイスするとすれば、収入に見合っただけの負担は覚悟しなければならないということになるだろう。

もちろん、ポリテクセンターに通わなければ勉強できなかった(しなかった)ようなこともあったけれど、6ヵ月間あれば別のこともできたのである。どちらがよりプラスだったのかは時間がたってみないと分からない。とりあえず確かなのは、6ヵ月間拘束されて時間に自由がほとんどきかなかったことである。

資格ということでは、ボイラー、危険物取扱者、電気工事士を取れる見込みではあるが、家にいて役立つとすれば電気工事士くらいで、他の資格は知的好奇心を満足させる以上のメリットはいまのところない。空調工事や配管工事も習ったけれども、家でエアコンの取り付けや水道工事をするためには、それなりの機械や工具が必要だということが分かっただけである。

そうした分野に知的刺激を受けるならば講義を受ける意味はあるけれども、そうでなければ1日拘束される苦痛だけが残る。なぜかポリテクの人達は受講生を時間一杯拘束することに異常に執着しているので、本当に1日中拘束されるのである。

かたや、職業訓練所の倍率はそれほど高くはなく、私がいる間にも定員割れが続いて閉鎖になるコースがあった。コースが閉鎖になれば講師も減るし、ポリテクの使えるカネも減る。だったら講習内容を充実させてより魅力あるコースにすればいいと思うのだが、厚生労働省だから就職率の向上にしか関心がなく、特に後半になると講義もいいかげんである。

ポリテク同士で就職率の競争をしているようで、ポリテク千葉の場合も就職あっせんに力を入れているのだが、ポリテクで紹介するのは6人体勢のシフトで24時間保守しているような過酷な現場ばかりである。受講生は就職率より資格・知識の取得に関心があるのに、ポリテクは資格はおまけであり、ともかく失業者を就職させることにしか関心がない。

ポリテクセンターの宣伝文句が「急がば学べ」(ポスターとかにそう書いてある)なのだが、一番そう考えていないのが厚生労働省なのである。彼らは労働者の側に立っているのではなくて、求人してくる企業の側に立っている。国や地方公共団体がそれでいいのかと思うが、そういう考え方で彼らの中で競争しているものだから、どうしようもないのである。

ということで、いろいろな意味で思ったほどの効果はなかったけれども、 もちろん有形無形のプラスはあった。その最大のものは、60年間経験がなかったことを勉強できたということである。これまで使っていなかった脳の部分を使うことができ、間違いなく「ボケ」からは二、三歩遠のいたのではないかと思う。

 

Ⅱ.いよいよ卒業

6月28日、ポリテクセンター千葉、ビル設備サービス科1月生は修了式を迎えた。

先週書いたようにいろいろ言いたいことはあるにせよ、受講料無料でいろいろ勉強できたことは確かである。そして、6ヵ月間過ごした仲間ともいよいよお別れ。すでにビル設備サービス科は半数近くが就職して退所、30名中最後まで残った16名の多くも次の職場が決まっていて、厚生労働省的にはたいへん優秀な講習生ということになるだろう。

私はというと、6月まで失業保険期間が延長された上に就職もできるなどといううまい話はなかった。とはいえ、50代半ば以降でも努力して次の職場を見つける人が少なくなかったので、努力とやる気が足りなかったのは否めないところである。講義や資格試験には相当やる気を出したのだが。

いつものように9時半に教室に集合する。この日は修了生以外のポリテク生は訓練休にあたるため、校内は閑散としている。担任の先生は普段の作業服ではなく、ワイシャツにスーツの下というサラリーマンスタイルである。

入所式のときは200人ほどいたイベントホールには、半分ほどしかいない。3人とか5人、あるいは1人しか残っていないコースもある。入所式では代表で1名だけが名前を呼ばれたが、修了式は全員の名前が読み上げられ、返事をして起立する。代表者1名が前に進み、訓練所長から修了証書を受け取る。

続いて所長からの祝辞である。「半年間、慣れない環境で新たな分野の勉強、お疲れ様でした」から始まり、ここでの経験を新たな職場で生かしてほしい、とおそらくそういうことを言うだろうと思われた内容だった。

意外だったのは、最後に、「これはお願いですが、もし機会がありましたら、ぜひポリテクセンターについて多くの人にPRしていただけたらありがたい」と述べたことである。厚生労働省的にも、職業訓練希望者の減少には頭を痛めているようであった。修了式は20分足らずで終わり、再び教室へ戻る。

修了式が無事終了し、必要な書類(代表以外の修了証書と受講証明書)をもらうと、ハローワーク千葉に行って最後の失業保険手続きとなる。こちらはちょっと長くなるのでまた次回に。


半年間の苦労が報われて手に入れた修了証書。

Ⅲ.終了後手当でエクストラ30日

修了式が終わり、ポリテクセンターからハローワーク千葉に向かう。われわれは電車通学なので、車通学の人に乗せてもらって千葉みなとへ。11時半に着いたのでさっそく書類を提出するが、半ば予想していたとおり手続きは午後からしか行わないということだった。ひとまずお昼を食べに出て、午後1時前にハローワークに戻る。

午後1時を過ぎてもなかなか手続きは始まらず、待合室はポリテク修了生で一杯になった。みんな同級生だから話し声が半端なく大きく、ハローワークの人が「静かにしてください」と言いに来たくらいである。こうなる事態を見込んでいったん帰った人もいたけれど、それでも数十人集まっていたはずで、ハローワークの側も、もう少し工夫が必要であろう(一般の受給者や相談者もいるのだ)。

1時間近く待って1時40分頃から手続きが始まる。手続きといっても雇用保険受給資格者証を返すのと今後の手続きを説明するだけだから、ひとり30秒もかからない。それもまとめてでなく、一人ずつ呼ぶものだから、結構な時間がかかる。私はというと、出した書類に不備があって同じタイミングで出した人達よりちょっと遅く、2時15分くらいまで待たなくてはならなかった。

ようやく私の番になって名前が呼ばれた。てっきり受給資格者証を返してもらい、「受給期間はこれで終了です」と言われるのかと思ったら、書類の中に失業認定申告書がある。これは何だろうと思う間もなく、「終了後手当が30日間認められましたので、1週間の間に求職活動をして、ハローワーク成田に行ってください」と言われたのである。

瞬間的に「めんどくさいな。またハローワークか」という思いと、「あと30日失業保険がもらえる」という思いが交錯する。でもそんなことは顔に出さず、「わかりました。そうします。ありがとうございました」と席に戻る。この時残っていたのは7月から就職することが決まっていた連中ばかりだったので、相談もできずに電車に乗って家に帰った。

帰って調べてみると、この終了後手当は正式には「公共職業訓練等を受け終わった者に対する延長給付」というようで、職業安定所長の指示により2年以内の職業訓練を受けた者であって、訓練終了時点で支給残日数が30日未満であり、かつ公共職業訓練等を受け終わってもなお就職が困難であると安定所長が認めた者に対して支給されるものであるしい。

就職が困難であるかどうかは、職業指導の状況、求職活動の状況等を踏まえ、ハローワークが慎重に判断するということだそうなので、何とかその基準を充たしたようである。

はじめは、ポリテクセンターに休まず通ったご褒美かと思ったが、よく考えるとポリテクセンターからハローワークにそんな報告が上がっているはずがないのであった。必要書類すら受講生に持って行かせるくらいだし、最後にもらえる成績表は全員全科目「B」で、出席数さえ書いてない。

この終了後手当、ネット上での情報がきわめて乏しく、ハローワークでも積極的に情報提供していないようである。こういう制度があれば急いで就職しようという意欲が削がれると考えているからかもしれないし、あるいは全員に出るのではないからかもしれない。「慎重な判断」についても、かなりの部分がハローワークの裁量に任されているような感触である。

もしかすると終了時点で就職が決まっていない者に自動的に出るのかもしれないし、年齢や過去の支給実績が考慮されているのかもしれない。予算との兼ね合いも考えられる。いずれにしても、これにて一件落着かと思ったハローワーク通いは、まだしばらくの間続けなくてはならないようである。

ただ、落ち着いて考えると30日間の延長がありがたいことは確かであり、ハローワークへの交通費を差し引いてもお釣りがくる。そして、ポリテクセンターのように朝7時に出て夕方6時に帰るなんてこともない。これから払う予定の免許申請費用等を考えても、たいへんにありがたい話なのである。

[Jul 6, 2017]