521 はとのす荘(鶴の湯温泉) [Oct 4, 2017]

今回の山行は鳩ノ巣発着となった。休日パスなので奥多摩まで行っておくたま号に乗るつもりだったのだが、あいにく下り電車が出たばかりだったので、そのまま線路を越えて川沿いに出た。日帰り入浴のできる「はとのす荘」までも歩いて5分と看板に書いてある。

集落の名前が棚沢なのに、なぜ鳩ノ巣というのかというと、江戸時代、振袖火事として有名な明暦の大火(1657)の際、建て直しのため材木が必要となり、ここ多摩川上流から多くの木々が伐り出された。

それだけ人手も必要だったことから、このあたりに人足の飯場が置かれ、神社も作られたのだが、その神社に鳩が巣を作り、それを見た人足たちが鳩ノ巣と呼んだのが始まりという。地名由来としては比較的新しく、それで集落の名前(当然江戸時代よりずっと前からある)と地名が違うのであった。

現代こそ小河内ダムがあり白丸ダムがあるのでここまで材木は流れてこないが、江戸時代のことであるから遮るものは何もなく、水量もいまよりずっと多く、それこそ鷹ノ巣山の麓のあたりから丸太をたくさん流してきたのだろう。想像するだけで雄大な景色である。

その鳩ノ巣渓谷に面して、つい最近、2015年にリニューアルオープンしたのが「はとのす荘」である。確かに、建物も駐車場周りもたいへん新しい。この宿はもともと国民宿舎として営業されていて、数年前から建て替えのためクローズとなっていたが、こうして新築されたのである。古い1/25000図には「国民宿舎」と記載されている。

雨除けになっているエントランスから入ると、まるでホテルのようなフロントがある。「日帰り入浴はできますか?」とお伺いすると、

「時間は3時までとなりますが、それでよろしいですか」

おっと、時間制限があるとなると登山帰りには気を付けなければならない。幸い、この日はまだ2時15分なのでまだ十分時間がある。1130円の入浴料を払って入場。

「正面を進んで左側になります。いまさっき10人ほど学生さんが入れられたので、ちょっと混んでいるかもしれません」

ということだったが、中には露天風呂と内湯があり、スペースにはまだ余裕があった。さすが奥多摩。日帰り入浴のできる施設は必ず客足が伸びる。時間限定だとそれほど収入はないかもしれないが、長く続けてほしいものである。

さて、こちらの温泉は「鶴の湯温泉」である。「鶴の湯温泉」といえば、小河内ダムの湖底に沈んだ源泉であり、ポンプで引き上げて奥多摩町の旅館・民宿にタンクローリーで配湯している温泉として有名である。泉質はアルカリ性単純硫黄泉、硫黄の匂いはほとんど感じられないが、奥多摩の他の温泉と同様にすべすべ感がある。

まだ新しいので、施設は清潔で手入れが行き届いている。先客の学生さんたちも大騒ぎするでもなく常識的で、早い人達はすでに洗面所を使って身支度を整えている。一安心して、空いていたカランを使って体を洗い、湯船で手足を伸ばす。この日は久しぶりの山歩きで結構しんどかったので、太ももやふくらはぎをマッサージする。

「もう3時だ。急ごうぜ」と撤退する学生さん達の後、スペースのできた脱衣所で着替える。CW-Xから普通の下着に着替えると、いっぺんに手足が開放的になった。この日の朝は乗り継ぎ不調で奥多摩まで4時間かかったけれど、帰りは順調に3時間で家に着いたのでした。


はとのす荘エントランス。鳩ノ巣に下りる場合便利だが、日帰り入浴は午後3時までなので注意。