065 伊予ヶ岳 [Dec 23, 2017]


この図表はカシミール3Dにより作成しています。

昨年末は寒くなるのが早く、ほとんど秋らしい日がないうちに冬になった。歳とったせいで夫婦そろって寒さは体に響くので、朝晩はエアコンなしではいられないくらいである。山歩きも、本仁田山で寒気がしたのが気になって、今年は12月から房総となった。

房総については、何ヵ所かが気になっていた。ひとつは、2013年に奥さんと一緒に行ってロープ場で断念した伊予ヶ岳。ここは房総で唯一「岳」の付く山なので、ぜひ頂上まで行きたいと思っていた。もうひとつは昨年、下山途中で廃道に入ってしまい、最後は危ないところを下りてしまった市界尾根からロマンの森のルートである。

2017年12月23日、庭に工事が入るので車で出かけてよろしいという奥さまのご指示である。寒い日が続いていたがこの日は暖かく行楽日和という予報なので、午前中は伊予ヶ岳、車で移動して午後市界尾根という計画を立てた。房総は車を止める場所があまりないけれども、この二ヶ所は近くに駐車場がある。距離はだいぶあるが、車で移動すれば両方とも登ることができる。

5時半に出発して京葉道から館山道へ。家から1時間走って市原SAというのは例年と同じである。冬至の翌日で夜明けは遅く、外に出るとやっぱり寒い。ひと休みして館山道を南下、出口から東向きに走るので、朝日が正面から目に入ってたいへんまぶしい。これもいつものことである。

平群(へぐり)天神社に近づくと、間近に伊予ヶ岳の切り立った岩が見えてくる。7時半過ぎに天神社の駐車場に到着。すでに2台止まっていて、すぐ後からもう2台来た。帰りには20台近くなっていたから、房総ではたいへん人気のある山であることは間違いない。

すでに廃校となっている平群小学校の脇を通って山道へ。四国でお遍路していると廃校はよく見るのだが、首都圏で、しかも車で2時間走れば着くところで、こうやって廃校になるのである。農業や漁業に携わる人達がどんどん減っているのと、少子化の影響なのだろう。かつては名もない峰々に祠が建てられていた房総も、こうやって自然に還っていくのだろうか。

整備されている登山道をゆっくり登って行く。傾斜はそれほどでもない。途中で富山方面への道を分け、麓から40分ほど歩くと展望台のある休憩所に到着。日当りのいい展望台から、いま登ってきた小学校が見える。このピークの陰になっている休憩所から道が2つ。1つは頂上に至る登山道で、もう一つは「嶺岡中央林道」と書いてある。帰路はこちらを歩く予定である。

頂上に至る登山道には、「ここからはハイキングコースではありません。大変危険です。ロープはありますが安全を確かめたものではありません」などと脅かすようなことが書いてある。それで前回、奥様がこわがって撤退してしまったのだ。今回は単独なので、足下を確かめて慎重に先へ進む。

展望台休憩所のすぐ先から、さっそくロープの付いた急傾斜が始まる。前回は地面がぬかるんで滑りやすかった記憶があるが、今回は地面が乾き、赤土が固まった地質のせいでやはりつるつるである。それでも、ロープを使わなくても登れるくらいの傾斜である(下るのはロープがあった方が安心)。

第一陣の急傾斜をクリアした後、第二陣、第三陣と難所が続く。次第に、ロープを頼ることが多くなる。特に急傾斜の岩場がドッグレッグしている場所は手掛りのロープを間違えると全然違う方向にロープが伸びてしまう。そこは細い紫縞のロープだったので、なんだか蛇みたいで気持ち悪かった。

最後はロープと鎖のある急傾斜を登り切ると伊予ヶ岳南峰である。展望台休憩所から15分ほど、鎖場(ロープ場)の連続であった。南峰頂上はベンチやテーブルが置かれ、危険個所は柵で入れなくなるなどきちんと整備されている。わずか336m(実は、これは三角点のある北峰の高さなのだが)とはいえ、結構汗をかいた。


前回断念した展望台の先からはロープ場が連続する。なくても大丈夫なところもあるが、ないと危ないところもある。


鎖が登場すると、いよいよ頂上直下。ここを登るとすぐ先に伊予ヶ岳南峰。


伊予ヶ岳南峰頂上。テーブルとベンチがあり、休憩することができる。336.6mと書いてあるがこれは三角点のある北峰の高さで、GPSによると南峰はそれより低い。

 

南峰頂上からまっすぐの位置に富山が見事である。そして、現在は柵があってその先には進めないのだが、岩場のさらに先端、崖が切れ落ちているあたりが昔の雨乞い場だそうである。北峰の方向からみて鳥のくちばしのように見えるあたりだろうか。

このように南峰は整備されているのだが、頂上から続いている北峰には三角点しかない。麓から見ると伊予ヶ岳頂上は釣り鐘型の南峰とそれに続く2つのピークからなるのだが、ベンチやテーブル、案内板、柵・手すりで整備されているのは南峰だけで、あとの二つのピークは何もない。何もないけれど、景色は同じように大変よろしい。

南峰から下って登ってを2度繰り返して10分ほどの北峰からさらに踏み跡が続いていて、昔の1/25000図には点線が描いてあるのだが、現在の電子国土データには載っていない。WEBによると結構危ない道のようなので自重する。電子国土では、展望台休憩所から嶺岡林道方面への道を下ると、以前の1/25000の道である北峰直下を通過することになっている。

再び南峰に戻ると、後から登ってきた人達がいて結構にぎわっていた。中には、両親に連れられた小学校低学年の男の子もいる。まだ背も低いのに、あの岩場を登ってきたのだから大したものである。下り斜面でも、何グループかとすれ違った。暖かくいい天気で、しかも風もない。房総の山を歩くにはまさにいい季節である。

10時前に展望台休憩所まで戻り、帰路は「嶺岡中央林道」の案内にしたがい東側の斜面を下る。はじめは擬木の階段があり手すりもあるのだが、途中から山道になる。向きを左に変えていったん登り、今度は下る。細い道を抜けて行くと、急に開けた場所に出た。左側の斜面は崩落防止の工事が施され、40~50m上までコンクリで固められている。

その下は芝生が植えられた広場になっていて、ところどころに桜だろうか、まだ細い木が植えられている。建てられている林業事務所の看板によると、南峰から北峰に至る稜線の直下にあたるようだ。あるいは、以前あった北峰から下る道がなくなったのは、この工事によるのかもしれない。

工事地点から先は、かつて車も通ったと思われる太い道になる。年月が経過し道は深くえぐられていて、現在では通れそうにない。その旧工事道をしばらく下る。傾斜は緩やかなのだが、登ってきた道に比べるとたいへんに長く、しかも目的地は南なのに影の伸びる方向をみると北に歩いているようで、たいへん遠回りである。

ようやく太い道が見えてきて、今度はちゃんと現役で車が通れる林道に合流する。でも、車は全く通らない。さらに歩くと、人里近くなって小ぶりのゴルフコースが現われた。伊予ヶ岳TBGの看板が掲げられていて、ターゲットバードゴルフというゲームのようだ。何人かのグループが集まっていて、車も止まっている。そのグループの間を横切って麓に下って行く。

TBGのコースを抜けて、中古車販売店の脇を下って行くと公道に出た。いま下ってきた道の入口に林道標識があって、「伊予ヶ岳林道」というらしい。展望台休憩所の案内表示にある「嶺岡中央林道」は、国道410号線(長狭街道)の南を並行して走る林道で、鋸南と鴨川を結んでいる。伊予ヶ岳林道は、その嶺岡中央林道から南に派生している林道のようだ。

そこから平群天神社へ戻る道では、右手に伊予ヶ岳の全容を望むことができる。北峰に近いところから見えているから、相当に遠回りしたことがわかる。それでも、平群天神社に10時45分に戻ったから、展望台休憩所から下りで歩いた時間は1時間にならない。登りは昔一度通った道だし下りは初めてだから、実際かかった時間より長く感じられたのかもしれない。
この日の経過
平群天神社駐車場 7:50
8:30 展望台休憩所 8:35
8:50 伊予ヶ岳南峰 9:00
9:10 北峰 9:10
9:45 展望台休憩所 9:50
10:30 伊予ヶ岳林道入口 10:30
10:45 平群天神社駐車場
(GPS測定距離 4.9km)

[Jan 15, 2018]


南峰頂上は整備されていて、富山もよく見える。北峰は三角点があるだけだが、やはり景色はいい。


北峰へ行く途中から南峰を振り返る。鳥のくちばしのように切り立った岩が見える。すごい傾斜である。


嶺岡林道方面の道標にしたがって東斜面を下りると、ほどなく大規模に崩落防止工事をした地点に達する。広くて日当たりがいい。