112 上高地でキャンプ、最後は泣きながらテント撤収 ~せいうち日記112 [Jun 29, 2018]

24日の日曜日から、3泊4日で上高地に行ってきた。上高地というと贅沢旅行というイメージがあるが実はキャンプ山行で、費用の多くの部分は交通費である。最終日の夜中から大雨になってしまい泣きながらテントを撤収しなければならなかったのは辛かったが、それまでは天気も良く風もなく、景色はもちろん最高で、なかなか費用対効果の大きい遠征であった。

ここ数年、春秋は奥多摩・丹沢、冬は房総を中心に歩いて来たのだけれど、夏はどうするか悩むところだった。奥多摩は暑いし、丹沢はヒルが出る。房総は暑い上にヒルが出る。夏山というともっと北に行くのが気候的にはいいのだろうが、半面費用がかさむのは年金生活者にとって厳しい。

ならば、キャンプをしたらどうだろうか。テント一式は笠取小屋で一度使ったきり、あとは災害準備用品になって数年を経過してしまった。これを実戦で使うことができれば、宿泊費は段違いに安くなるはずである。

以前上高地に行った時、バス停からすぐのところにキャンプ場があるのを見た。あそこなら、重い荷物でも無理なく運ぶことができる。あとは天気であるが、6月の終わりに梅雨の中休みで晴れ間があるらしい。ということで急きょバスの切符を手配して上高地に向かったのであった。

交通費として必要なのは、自宅から新宿までの片道1,260円と上高地行き高速直通バスの6,070円、帰りは往路と同じとすると15,000円で行って帰って来られる。丹沢の山小屋泊とそんなに変わらない。もしこれがうまくいけば、夏の山歩きの目的地拡大と費用節減をともに果たすことができる。

6月24日、日曜日の上高地行きバスは空いていて、隣の席はいない。団塊の世代がリタイアしたとはいえ、私のように天気を見てすぐに動ける年寄りばかりではないらしい。とはいえ、みんなが私のようでも混むから困る。高速道路も順調で、定時の12時05分に上高地バスターミナルに到着した。

10分ほど歩いて小梨平キャンプ場へ。創業70周年と書いてあるから、まさに戦後まもなく始まったキャンプ場である。受付で3泊分の使用料2,400円を支払う。キャンプサイトはたいへん広い。それほど混んでいないので、梓川沿いですぐ横に手頃な切り株のある一画に設営することにした。日曜日には20張以上のテントが張られていた。

それほど戸惑うこともなく設営でき、ほっとひと息つく。考えていたよりも少し暑く(あとから聞いたら、この日の東京は猛暑だったそうだ)小さな虫が飛んでいるのが気になったが、天気も良く風もなく、目の前には梓川が流れ、その対岸には岳沢から穂高への景色が広がる。半日でこの景色が楽しめるのだから、言うことはない。

このキャンプ場のいいところは、クラブハウスのお風呂と食堂である。お風呂は1回600円で、ここには毎日来た。上高地でも奥の方では石鹸・シャンプー禁止なのだが、こちらはまだ使うことができ、お風呂場にシャンプーとボディソープが備え付けてある。カランは8つあり、湯船も広くて気持ちがいい。難点は終わるのが早いこと(6時半)だけ。

食堂はやはり終わりが早い(ラストオーダー5時15分!)のだが、トンカツがとてもおいしいし、生ビールが500円と麓と同じ値段で飲めるのがうれしい。ここの食堂を3日中2日利用していたので、食糧(アルファ米やカップヌードル)を余してしまった。

お風呂と食堂で一日の疲れが取れたせいか、夜は結構しっかり眠ることができた。キャンプサイトの地面が柔らかい草地であったことと、サーマレストの伸縮式マットの空気が抜けていなかったこともよかった。今回の目的の一つがテント泊でもちゃんと歩くということだったので(なんたって60過ぎのおっさんである)、その意味では計画をちゃんとクリアしたといえる。

さて、ここをベースキャンプに、デイパックのみの軽装・日帰りで近くの山まで歩いたのだが、その報告は山歩きの記事で改めてお伝えするとして、予想外だったのは出発日の朝である。

天気予報では、出発日の27日は曇りのち一時雨で降水確率は30%、にわか雨があるかもしれないという程度であった。だから、降られる前に引き上げてしまおうという計画だったのだが、なんと夜中の1時前に早くも雨粒が落ちだした。にわか雨ならじきに止むだろうとトイレをがまんしていたのに、2時間経っても止む気配がない。外に出たら土砂降りだった。

前日まで月明りでヘッデンなしでも大丈夫なくらいだったのに、もちろん真っ暗。至るところに水たまりができて、強風でタープの支柱が倒れているテントもある。低い場所に設営してあるテントには、水が流れていってしまっている。風情があった梓川の水音も、大雨と重なると不気味であった。この日の上高地の1日降水量は40mmだから、にわか雨というより大雨である。

前日までは朝の冷たい空気の中、EPIガスでお湯を沸かしコーヒーを淹れてパンを食べたのだけれど、さすがにこの天気では外で食事は無理である。テントの中で、カロリーメイトとトマトジュース、ゼリー飲料という冷たい食事をとる。さすがに中で火を起こす勇気はない。

出発時間が迫るのに、雨は全く止む気配がない。仕方なく、テント以外の荷物をリュックにまとめ、レインウェア上下を装備して外に出る。雨も強く風もある中で、泣きそうになりながらペグを抜き、フライシートを取り、フレームを抜く。フライシートと本体、アンダーシートはいい加減に畳んでゴミ袋(ゴミではない)に入れる。この間、もちろん傘はなし。

リュックを背負い、テント一式の入ったゴミ袋を持ってバスターミナルに向かう道のりは、来た時の倍あるのではないかと思えるほど長かった。朝一番の新島々行きバスは半分以上が埋まり、その中にはキャンプ場で見かけたアメリカ人の若いカップルがいた。夜中からの大雨で急きょ引きげることにしたのだろうか。

新島々から電車、松本から新宿までバスで午後3時過ぎに家に帰ると、猛烈な突風でおそろしく暑かった。わずか3日間の上高地なのに、あちらの気温に順応してしまったらしい。毎日お風呂に入っていたのに、「臭いし汚いから早くお風呂に入って」と奥さんに言われてしまった。毎日お風呂に入っても、同じ服で同じテントにいたのではそうなるのだろうか。

[Jun  29, 2018]


河童橋付近から岳沢・穂高方面。キャンプ場からもこの景色が見えます。


小梨平キャンプ場Lエリア。奥の緑が私のテント。


4年振りに実戦で登場した私のテント。出発日は夜中から大雨で泣きながら撤収。