087 ジョシュア、ポベトキンをKO [Sep 22, 2018]

WBA/IBF/WBO世界ヘビー級タイトルマッチ(9/22、ロンドン・ウェンブレースタジアム)
アンソニー・ジョシュア O 7RTKO X アレクサンドル・ポベトキン

名古屋で行われる日本人選手同士の世界タイトルマッチでライブ中継がないというのに、ロンドンで開催される世界タイトルマッチのライブ中継が見られるとはたいへんありがたい反面、情けないことである。

ボクシングファンが少ないので、首都圏のゴールデンタイムに放送枠を押さえるのが難しいというのは分かるが、ならば安くはない放映権料を払い衛星通信料を払いサーバーを拡張してDAZNが配信できるのはなぜなのだろう。DAZNだって採算はとれている訳はなく、先行投資であるに違いない。

先行投資ができるところとできないところで差が出てくるのは、大規模ショッピングモール対地域商店街と同じことである。ホリエモンがかつて予言したとおり、地上波も衛星放送も、TV放送は近い将来縮小するに違いないと思う。

さて、先週のミドル級戦を終わって、BoxrecのP4Pランキングベスト3は、クロフォード、アルバレス、ゴロフキンとなっているが、これには異議がある。クロフォードはスーパーライト最強ではあってもウェルター最強を証明するのはこれからだし、カネロとGGGを両方あげるのは腰が据わっていない。個人的には、ドーピング疑惑がある選手をP4P上位に推すべきではないと思う。

前にも書いたことがあるが、ドーピング効果を軽視すべきではない。ツール・ド・フランスを何度も勝ったアームストロングはその時点で検査にひっかからなかったが、何年もたってからクロになり優勝記録はすべて剥奪された。残念ながら、検査と検査逃れはいたちごっこであり、検査逃れの技術が一歩先を行っているのである。

それを避けるためには、オリンピックルールのように、検査クロの場合の出場停止期間を長期化する他はない。カネロだって8年出場停止とか永久追放されるとなれば二の足を踏むだろうし、神経質に違反薬物に気を使う大多数の選手がバカをみるのはボクシング全体への興趣を著しく失わせる。

ということで誰がP4Pということになると、個人的にはジョシュアとロマチェンコは外せない。ジョシュアは前の時代に最強であったクリチコをKOしてチャンピオンになっているし、ロマチェンコのボクシングスキルはいまや全階級通じて最もレベルが高い。あとの一人を争うのが、4団体統一ウシク、全勝を続けるスペンスとクロフォードあたりだろうか。

そのジョシュアの防衛戦、相手は長らく世界上位ランカーを続けるポベトキンであった。私は、勝敗よりも試合内容に注目して見ていた。というのは前の試合、3団体統一戦とはいえパーカー相手にフルラウンド戦って、ダウンも奪えず初の判定勝負であったからである。

相手によっては判定勝負になることもやむを得ないが、パーカー相手に前に出られなかったのはいただけない。そのあたりを今回どのように修正できるか楽しみにしていたのだが、結果はみごとなKO勝利であった。

最初の2Rはさすがにポベトキンもゴールドメダリストで、ジョシュアの左に右を被せたりインサイドに入ってアッパーを放ったりしてジョシュアをたじろがせた。ただ、このペースで飛ばすとバテるのも早いのではないかと思っていたら、案の定3R以降ほとんど手が出なくなった。

ジョシュアは試合通じて、右手をアゴの横に置いてディフェンスに使い、速い左でポベトキンを中に入らせないという基本通りの戦略。身長で10cmリーチで20cm違うのだから、これで削って行けば試合を支配できる。丹念にボディを攻めたのもよく、息が上がってきたポベトキンを7Rワンツーで攻めて一気に決めた。

クリチコ兄弟と比べると相手を中に入らせてしまう点は気になるが、左の使い方や右ストレートの決定力はやや上であり、12R戦えるスタミナははっきり上。やや打たれ弱いところがあるので、一発のある相手との戦いはスリリングになる。

対抗王者の「ブロンズ・ボマー」ワイルダーは、12月にかつてクリチコを下したタイソン・フューリーと戦う。ワイルダーの方はオールドファッションのヘビー級スタイルで、まさに一発必倒の破壊力がある。今後のビッグマッチがますます楽しみになった。

[Sep 23, 2018]