062 震災直後の北海道 [Sep 26, 2018]

震災直後の北海道に行ってきた。もちろん、地震が起こったから行った訳ではなく、以前から計画していた旅行に予定通り行っただけなのだが、静かでたいへんよかったと思う反面、これでは地元はたいへんだなあと思わざるを得なかったのであった。

予定していた日程は、9月16日から3泊4日。エアは釧路発着なので地震による直接の被害はなかったものの、停電と節電の影響は北海道全域に及んだので1週間前だったら危ないところだった。往路も復路も飛行機には空席が目立ったが、がらがらという訳ではなく半分以上埋まっていたように見えた。

今回は釧路から屈斜路湖、知床、霧多布、根室を回って釧路に戻るという行程だったが、ここしばらく北海道に行くたびに目にしていた中国人観光客の大群と出会うことは全くなく、どこへ行っても静かだった。道中も釧路市街を除くとほとんど車通りがなく、道の両側にひたすら続く牧場を眺めながらドライブすることができた。

心配した地震の影響も、ちょうど行った日に節電20%が解除されたそうで、ホテルの照明も通常どおり。ガソリンスタンドも通常営業しており、ひと気がないことを除けばほとんど影響はみられなかった。

美幌峠や知床五湖では、これぞ北海道という雄大な眺めを堪能して、胸がすく思いがした。昔に比べると道路も施設もよくなって最果てという印象こそなくなったものの、地平線まで人工物が何も見当たらないという景色は北海道でなければ味わうことが難しい。

途中、知床半島でゲリラ豪雨に遭遇したものの、その1~2時間を除けば晴れて見晴しもよく、国後島・択捉島など北方領土も望むことができた。特に、羅臼の高台にある国後展望台はたいへん新しく眺めもよく、しかも無料というのがうれしい。

一方、かなりがっかりしたのは納沙布岬である。ここを訪れるのは3度目で、前回は20年ほど前のことであったが、岬に近づくとこれまでなかった巨大な構造物が建っていて、なんとかタワーと書いてある。しかも、灯台まで行こうとすると通行止め。立て看板には、「納沙布岬灯台には行けません」と書いてあった。

ここ納沙布岬は、南鳥島を除く日本の再東端である。昔はそう書いた看板が立っていたはずである。ところが、そこまで入れないという。最東端に来る以外の目的で、根室に、まして納沙布岬に足を運ぶ人がいるのだろうか。

通行止というだけあって灯台の周囲にはブルドーザーが見え、何か工事をしているようである。そして、駐車場の周辺には、北方領土館と土産物店しかない。北方領土館からは北方領土を望遠鏡で見ることができるが、子供の背丈で調整されており腰が痛くて長くは見ていられない。ホスピタリティのないことである。

そんな具合だから車はほとんど止まっていないし、土産物店にお客もいない。「かに直売」の幟を立てた店がいくつかあるが、茹でたての蟹があるようには見えず、品物自体いつ仕入れたのだろうと思うくらいである。食堂のメニューには「ライダー歓迎」「撮影禁止」と大書してあり、どうやら観光客は歓迎していないようである。

お客さんが一人入った店に続けて入りカニ丼を注文したのだが、海鮮ラーメンを頼んだ家の奥さんが、厨房から卵をかき混ぜる音がするのに気が付いた(私は気が付かなかった。たいしたものである)。

「すみません。カニ丼って卵が入るんですか」

「卵でとじてあるんですけど」

「うちの人は卵ダメなんで、卵なしで作ってもらえますか」

というやり取りがあって、出てきたのはタマネギ丼であった。醤油で炒めたタマネギに、申し訳程度にカニのかけらが入っている。これを卵でとじたら、卵丼になるだけである。そんなものを食べに、北海道の最東端まで来たのではない。

1300円という値段を見て気づくべきだったが、帰りに空港で買った1250円のカニ弁当は立派なカニ飯だったので、この値段だってちゃんと作れば作れないことはないはずである。こんな商売をしていたら、一見の中国人以外誰も来なくなってしまうだろう。

そんなこんなで、楽しいこともそうでないこともあった4日間であったが、主な費用は以下のとおりである。

エア(羽田・釧路往復2人分、おともでマイル利用) 26,580円
宿(3泊) 約70,000円
レンタカー&ガソリン代 約23,000円
雑費(自宅・羽田往復その他) 約20,000円 合計 140,000円

金額そのものをみると大きいが、釧路まで普通運賃だと飛行機代だけでこの金額になる。もっと節約しようと思えばできるだろうけれど、せっかく行くのだからこのくらいは地域に貢献したい。(と思っても納沙布岬のようになるのだが)

つましい年金暮らしとはいえ、ごくたまにこうして旅行できることはありがたいことである。

[Sep 26, 2018]


美幌峠から眺める北海道らしい広大な景色。


羅臼国後展望塔から見る羅臼市街。雲で霞んでいましたが、国後島も望むことができました。