090 井上、衝撃KOでスーパーシリーズ緒戦突破!! [Oct 7, 2018]

WBA世界バンタム級タイトルマッチ(2018/10/7、横浜アリーナ)
O井上 尚弥(大橋、16戦全勝14KO) 1.04倍
ファン・カルロス・パヤノ(ドミニカ、20勝9KO1敗) 15.0倍

井上の初防衛戦としてより、階級最強を決めるワールド・ボクシング・スーパーシリーズの緒戦として注目を集める一戦。バヤノも世界チャンピオン経験者だが、ここから先勝ち進むと相手はすべて現役の世界チャンピオンとなる。

井上の実績についてはもはや多言を要さない。正真正銘の3階級王者であり、戦ってきた相手もそれぞれの階級を代表する強豪である。亀田3男を2度にわたって退けたジェイミー・マクドネルを1RTKOに破っていることからして、これまでの3階級制覇とは格が違う。海外のオッズも大差が開いている。

もともと弱い相手を防衛戦に選ぶつもりもないし、そもそも相手の方から避けられる存在となっているが、スーパーシリーズということで、緒戦から手ごわい挑戦者との対戦となった。

ファン・カルロス・パヤノはWBA4位、WBC7位、WBO1位にランクされる上位ランカーで、元WBAのスーパーチャンピオンである。山中と2度戦ったアンセルモ・モレノに勝ってタイトルを奪取、ラウシー・ウォーレンに負けて失っている。

そのウォーレンは初防衛戦でザキヤノフに敗れ、ザキヤノフも初防衛戦で現王者のライアン・バーネットに敗れていることからみて、バヤノの実力はマクドネルよりやや落ちるとみている。しかし、そういう相手であれば真正面から向かってくることは考えられず、サウスポーの利点を生かして距離を置きポイントアウトを狙うだろう。

この間WOWOWでドミトリー・ビボルとアイザック・チェンバのWBAライトヘビー級戦を見たが、パワーも切れ味もあるビボルであっても、技術がありタフで、とらえどころのないチェンバのような相手だときれいに決めるという訳にはいかなかった。

パヤノも老練のテクニックがあるので、のらりくらりと攻勢をかわして序盤に爆発的な威力を持つ井上をやり過ごす可能性がないとはいえない。そうなると、井上の課題である中盤以降の攻め手という点がクローズアップされることになるだろう。

一方で懸念される点は34歳という年齢で、中南米の選手は急速に老け込むことが多い。ロレンソ・パーラにしろアレクサンデル・ムニョスにしろ、全盛期には無敵ではないかと思われた強豪選手が、30過ぎて日本選手のカマセになり果ててしまった。井上相手にカマセということはないが、若干の懸念があるのはやむを得ないところである。

井上の成長を見たいという希望的観測を含めて、井上の終盤KO勝ちを期待するが、もしかすると序盤に決まってしまうかもしれないし、判定勝負になるかもしれない。パヤノの出来次第で振れ幅の大きい試合である。

WBA世界バンタム級タイトルマッチ(10/7、横浜)
井上尚弥 O KO1R X ファン・カルロス・パヤノ

何もさせないうちにというか、最初のワンツーで試合が決まってしまった。1分10秒KO勝ち。バンタム級2試合で5分かかっていない。

アンダーカードのケンシロウ君も小気味よいワンツーを決めてメリンドにほとんど何もさせなかったが、井上はそれ以上に何もさせなかった。相手は元スーパーチャンピオンである。これまで、日本にこんな離れ業をするボクサーがいただろうか。

ほとんど解説できなかったこの日のTV解説者、長谷川も山中も序盤KOで何試合も勝っているが、相手はそれなりの相手だった。モンティエルやモレノといったチャンピオン級とやれば、逆に序盤KOされたり苦戦したりするのである。それを一発KOである。

サウスポー対オーソドックスでは、相手の体が半身になり、しかも利き腕を後にして距離があるのでそう簡単にワンツーは当たらない。だから、ジャブの差し合いが続き、その差し合いを制した方が次のストレートを決めやすくなるのである。

それを容易に決めてしまうのだから、おそるべしである。試合開始直後で、パヤノに距離が読めてなかったという面はあるとしても、読めなければ余計に距離を置くというのが当り前だから、それをさせなかった井上がすごいということである。

試合前の予想でも書いたように、序盤の強烈さと比べて井上の中盤以降には課題があり、しぶとい相手と戦う場合は苦しむこともあるかもしれない。とはいえ、元チャンピオンをこれだけ圧倒してしまうのだから、視界は良好といえそうである。

反対側の山からはドネアに上がってきてほしいものだが、きっとバーネットなんだろうなあ。