091 村田、ラスベガスで大差判定負け!! [Oct 20, 2018]

WBA世界ミドル級タイトルマッチ(2018/10/20、米ラスベガス)
O村田諒太(14勝11KO1敗)
  ロブ・ブラント(23勝16KO1敗)

村田2度目の防衛戦は、ラスベガスで行われる。パークシアターは昔のモンテカルロだから、MGMグランドからはNYNYを挟んで結構近い。私ごとになるが、ホプキンスvsデラホーヤを見てからリゾカジオフ会に向かったルートである。たいへんなつかしい。

HPをみると収容人員5200人というから、そこそこのキャパシティである。村田がこの会場を埋めることができるかどうか注目だが、なんといっても電通所属の総合スポーツタレントだから、日本からも行くだろうし現地駐在員にも総動員をかけて何とかするのだろう。

ボクシングの試合に話を戻すと、相手のロブ・ブラントはWBA3位である。1位はレミュー2位がGGGだから、チャンピオンクラスを除くと最上位にランクされているが、逆に言えばチャンピオンクラスではない訳で、GGGやカネロを目標とする村田にとって勝たなくてはならない試合でもある。

両者の戦績をみると話はそう簡単ではない。ブラントはたいした相手と戦っていないが、それは村田も同じことである。ブラントはヨルゲン・ブレマーに判定負けしているが、村田もヌジカムに1度は判定負けしている。ヌジカムよりブレマーの方が強いが、ブラントは大差負け、村田は論議を呼ぶスプリット・デシジョンだった。

とはいえ、戦績をよくみると、ブラントはラスベガスでの試合は初めてである。村田はアンダーカードとはいえトーマス&マックセンター、MGMグランドで戦っているので、場慣れしているというか、アウェイであることはあまり考慮しなくてもよさそうである。

私はこの試合、村田がどういうスタイルで戦うかに興味がある。試行錯誤でいろいろなスタイルを試してはきたものの、結局はガードを固め体力を生かして前に出るという単純明快なスタイルが村田には一番合っているようだ。

となると、武器としてはまっすぐのパンチ、ジャブとストレートしかないのである。前回のブランダムラのようにそれで恐れ入る選手であればKOできるのだけれど、水準以上のディフェンスと打たれ強さがある選手には通用しない。

同じクラスのチャーロ兄も体力で圧倒するタイプであるが、村田と違ってパンチの種類が多彩だし、インサイド・アウトサイドいずれからもパワーパンチを叩き込める。その分、どんな相手にも対応できるのである。

現在において村田の評価はというと、GGG、カネロ、チャーロ兄とは差があり、レミュー、ジェイコブスあたりにはちょっと足りないというあたりだろう。少なくとも、レミューとかいずれ上がってくるチャーロ弟を上回るくらいでないと、ミドル級頂上決戦を挑むには実績・実力とも今一歩ではないだろうか。

一応、村田判定勝ちと予想するけれども、そんなに簡単に勝たせてはもらえないだろう。

 

WBA世界ミドル級タイトルマッチ(10/20、米ラスベガス)
ロバート・ブラント O 判定(3-0) X 村田諒太

私の採点は116-112だが、ジャッジはそれ以上に差が付いた。村田についていえば、ヌジカムより強い相手とやったことがないにもかかわらず米国のリングで指名挑戦者と戦う訳だから、こういう結果も十分ありえたし村田自身精一杯やっただろうとは思う。

私がたいへん残念なのは、私の生きている間にはおそらく二度と現れない重量級の金メダリストを、こんなキャリアしか積ませることができなかった帝拳の体たらくである。

およそ1年前、山中vsネリ戦の時、こんなことをやっていては帝拳の栄華は長くないと書いた。あれからわずか1年、五十嵐は王座返り咲きを果たせず、リナレスは陥落し、村田も敗れた。ロマゴンとクアドラスもV字回復は難しいだろう。

功成り名を遂げたリナレスやロマゴンはともかくとして、村田はまだ将来があると思われていた選手であった。それがこういうワンサイドの負けを喫したのは、多くの部分がマネージメントの失敗に起因すると考えている。

老害御大としては、村田の実力を過大評価し、ブラントの実力を過小評価したものだろうが、村田が世界的強豪と全く戦っていないのは戦績を見れば明らかだし、もともとヌジカムと接戦するくらいの力では、世界ランキング上位とやれば苦戦は必至なのである。

だとすれば、実力を底上げするためにそれなりのキャリアを積ませるか、さもなければ未知数のままビッグマッチを組んでしまうかどちらかしかなかったのではないか。

ブラントの実力は、「世界に掃いて捨てるほどいる」とまでは言わないが、「両手の指に入るか入らないか」レベルである。あの程度のハンドスピード、パワー、スタミナでは、いまの世界上位クラスの誰とやっても苦戦は免れない。

思い起こせば、竹原からタイトルを奪ったウィリアム・ジョッピーは、当時のミドル級で間違いなく五本の指に入る実力者だった。その後フェリックス・トリニダードと戦って敗れはしたものの、ジョッピーにタイトルを取られたことは竹原にとってマイナス評価にはならない。

ひるがえって、ブラントにワンサイドで負けた村田は20年経ってどう評価されるだろうか。ブラントがチャーロ兄やアルバレスと戦っていい勝負ができるとは正直言って考えられず、結局村田の評価もその下ということにならざるを得ない。

セニョールに選手を見る目、実力評価が適確にできる戦略眼があったとしたら、WBAレギュラーのタイトルなど返上して、GGGとの直接対決をしただろうと思う(そういう予測もあったのだ)。ブラントにタイトルを取られた男と、GGGと打ち合って倒された男、どちらが歴史の評価に耐えうるかという話である。

GGGはカネロ第2戦に判定負けしているので、再起戦の相手として村田は打ってつけであった。東京ドームは無理でも、国技館か武道館くらい満員にできたかもしれない。でも、こういう負け方をした後では、無理である。お客さんも集まらないし、TVも付かない。

強敵だと思ったらせめてホームで戦って地元の利で何とかするか、そもそも足りないと思えばビッグマッチで乾坤一擲の勝負をするか、その程度のことも判断できないマネージメント能力だから、結局すべてが中途半端になってしまうのである。

ロブ・ブラントにワンサイドで判定負けを食らうくらいであれば、まだGGGに粉砕されるべきであったと思う。

[Oct 21, 2018]