075 霧降高原天空回廊(赤薙山撤退) [Aug 29, 2018]


この図表はカシミール3Dにより作成しています。

6月に上高地でテン泊した後、7月は信じられないほどの酷暑が続き、8月は1週間おきに台風が来た。定期的に山に行きたいのに、そんなこんなで2ヵ月、間が開いてしまった。

10月には第9次のお遍路を予定していて、あと2ヵ月を切った。今回の区切り打ちでは横峰寺、雲辺寺と標高の高い札所があり、締めくくりに金毘羅さまにお参りする予定である。相当綿密に足慣らしをしておかないと、息切れをしてしまうおそれがある。

ということで、8月の終わりに涼しくなる日がありそうだったので、急きょ山に行くことにした。目的地は日光・霧降高原。ここは登山道まで延々と続く階段、天空回廊があることで有名である。ここを歩いておけば金毘羅さまの練習をすることができる。

当初は、前泊して女峰山まで足を伸ばすつもりだったが、主として経費面の問題から日帰りにすることになった。そうすると女峰山まで行くのは無理で、途中の赤薙山までという計画とした。それでも標高差は700mあり、しばらくブランクがあったので結構きついだろうとは思っていた。

8月29日水曜日、栃木県北部の降水確率は午前10%、午後30%である。大気の状態が不安定で、方々で雷雨の心配があるというから、正午過ぎたら下山するくらいでないと危ない。とはいえ、7月以来続いている35℃にはならないというのは、汗っかきの私にはたいへんありがたい。

千葉ニューから北総線と東武線各駅停車を乗り継いで、東武日光駅に着いたのは午前8時過ぎ。電車を下りると涼しい風が吹いていた。鹿沼あたりで水たまりがあったのは心配したが、日光駅前では雨は落ちていなかった。

しかし山の方に目を向けると、中腹あたりから雲に覆われていて頂上を見ることはできない。上が濃霧で見晴らしがないのは仕方ないとして、この春の奥多摩のように、登って雨だと辛いことになる。

8時45分に霧降高原行のバスが来た。乗客は3人。2人はすぐに下りて、私一人を乗せてバスは山道を登って行く。霧降の滝あたりで雲の中に入ると、やっぱり雨だった。降水確率の低い午前中にこれでは、午後はどうなってしまうのだろうか。

30分ほど乗って霧降高原バス停に着くと、辺りは霧の中で真っ白、雨は小止みなく降り続いている。さすがに霧降高原名前のとおりと感心したが、家から4時間かけて来た結果がこれでは泣きそうになる。

レストハウスに入って身支度をしていると、「バスで来られたんですか」とビジターセンターの人に話しかけられた。「こんな天気ですから、危ないと思ったら引き返してくださいね」ということである。とはいえ、ここまで来たのだから天空回廊だけでも登りたい。上半身だけレインウェアを着、リュックカバーを付けて、9時30分レストハウスを出発。

レストハウスのすぐ横から天空回廊は始まっている。階段の段数は1,445段だから、1,368段の金毘羅さまより多い。足慣らしとしては十分ではあるが、計画ではそこから標高差300mの赤薙山まで登ることになる。それがどうかという状況である。

ともあれ、1400段の階段をこなさなければ始まらない。ステッキを持ちレインウェアのフードをかぶって登り始める。始めはなんということもない登りで、100段、200段とすいすい登れる。雨は止む気配はなく、メガネが水滴ですぐ濡れてしまうが、とりあえず快調である。丹沢でも奥多摩でも階段は苦手なのだが、この日はすいすい登れた。

ちょうど中間地点に避難小屋があり、雨が降り続けるのでひと息つく。前にも後ろにも人っ子ひとり見当たらない。この避難小屋には屋根があるのだが、壁が2方向しかなくその壁にも大きな窓が開いていて雨が当る。そほど居心地がいい訳ではないので、息が落ち着いたところで後半戦にかかる。

その後半戦がしんどかった。1400段のうち後半700段は、避難小屋から直線で登る一方で、折れたり曲がったりしない。登っても登っても先が見えない感じで、気分的にかなり疲れる。そして、いよいよ雨が激しくなってきた。

階段は18段ずつくらいで踊り場になるのだが、ベンチとか座るところはないし、手すりに寄りかかろうにも雨でびしょ濡れである。結局、ひたすら登り続ける他はなく、そんな具合で1000段を超えたあたりでとうとう息が上がってしまった。

踊り場2つくらい登るとヒザに手を当てて息を整えて、という連続で、なかなかペースが上がらない。体も熱くなってきて、休むたびに汗が雨と一緒に踊り場に落ちるのだった。

1300段までは100段ごとに階段に「XX段目」の表示があって目印になったのだが、なぜか1400段目はなくて、まだかなあと思いながら登って行くと、いきなり1445段目に到達した。汗と雨でびしょ濡れなのだが、終点の小丸山展望台には屋根がなく、おまけに1445段から展望台までさらに20段ほど登らなければならなかった。

東武日光駅で山の中が雲に隠れていたので嫌な予感はしたのだけれど、標高1300mの霧降高原は雨。見通しはほとんど利かない。


天空回廊はスキー場のリフトを撤去した跡に建てられたという。段数1,445で標高差は237mある。


前半は軽快に登ったのだが、1000段目あたりから完全にへたばる。中間地点にある避難小屋から残り700段は、直線コースを登る一方となり大変きつい。

 

1445段を登り切ったら休憩所があるだろうから、しばらく休みつつ天気の具合を見ようと思っていたのだが、登ったところが屋根のない展望台というのは予想外であった。仕方がないので、雨が落ちてくる中をベンチに腰掛ける。じっとりお尻が濡れてくる。フードをしたままだと暑いので、頭も雨に打たれるままである。

リュックの中からモンベルの軽量折り畳み傘を出す。改めて周囲を見回すと、深い霧に覆われて視界がほとんどない。キスゲ平という場所なのたが、ニッコウキスゲは時期が違うし、他に花も見当たらないし下界も見えない。ただ、この雨の中、トンボがたくさん飛んでいるのが妙な景色だった。

雨の中じっと座っているのも何なので、息が整ったところでもう少し上まで登ってみる。天空回廊は終わったが石畳の登り坂に続いて擬木の階段があり、鹿除けのゲートをくぐったところに小丸山の山名標が立っていた。標高1601mというから、塔ノ岳よりも丹沢山よりも高い。

そういう高さなのだが、東屋もなければベンチもない。晴れていれば下草に腰を下ろしてのんびりできるのだけれど、雨はいよいよ本降りである。ピークの少し先で赤薙山方面と丸山方面の分岐があり、湿った砂地に赤薙山に向かう足跡があるのだが、どう見ても一つだけで心細い。

ここにも天候の回復を待つ場所がないということは、この先もおそらくないだろう。降水確率は午後の方が高く、この先ますます雨が激しくなる可能性が大きい。初見の山でエスケープルートも避難できる場所も分からないとすれば、先に進むのは危険である。

と考えて、ここまでで撤退することにした。引き上げるとなると、帰りのバスの時間が気になるが、11時台は20分と45分。それを逃してしまうと午後1時台までバスは来ない。ということで11時台のバスを目指すことにし、10時40分に下山開始した。

それまで誰とも会わなかったのに、下山を始めると次々と登ってくる人達とすれ違った。最初は中高年の女性2人組で、リュックを持った登山装備だったので、おそらく私と同様女峰山方面に足を伸ばすつもりだったと思われる(私のすぐ後にレストハウスに戻ってきた)。

次にすれ違ったのは、西洋人の女性2人組で、傘を差して展望デッキからあたりの風景を見ていたが、霧以外何も見えないのは気の毒なことであった。最後は中国人の男女で、日本語が読めなかったらしく鹿除けゲートが開けっ放しだった。

この天空回廊は、1990年頃まで営業していた霧降高原スキー場の跡地に作られているもので、若い頃に子供を連れて来たことがある。季節は忘れたがスキーシーズンではなく、にもかかわらずリフトは営業していて、リフト乗り場のすぐ脇に沢の水を引いていたのがたいへん冷たかったことを覚えている。

リフトの乗り継ぎ地点に開店休業状態の食堂兼売店があって、いま駐車場になっているあたりがその建物だったようである。現在のレストハウスも2階がレストランになっていて、こういう天気とは知らずに車で来た家族連れが何組か上がって行った。

私はバスの時間があるので、濡れた服を着替えてからホットコーヒーをお願いして、ようやくひと息ついた。この夏はたいへん暑かったので、この時期に寒くて冷たい思いをするとは思わなかった。

東武日光駅まで下りて来るとやっぱり雨は降っていなかった。夕飯は食べて帰ると奥さんに言って出てきたものだから、駅弁を2つ買ってお土産にした。

この日の経過
霧降高原レストハウス 9:30
10:05 小丸山展望台 10:40
11:10 霧降高原レストハウス
[GPS測定距離 2.1km]

[Oct 23, 2018]


小丸山展望台はこの状況。上まで登って東屋がなかったのは予想外で、雨に降られながら休憩して天候回復を祈る。


この日は小丸山まで到達したところで、雨が本降りになり撤退。初見の山でこの天気ではやむを得ない。


天空回廊には何ヵ所が展望スペースが設置されているが、この天気だし、手すりはびしょびしょで休むことはできませんでした。この天気でも登ってくるのは外人さん。