60歳になった。リタイアと時期が前後してしまったが、とうとう本当の老後がやってきた。
還暦になったらもっと歳とってしまうかと想像していたら、それほどのことはない。鏡を見るとそれなりに年寄りだけれど、見なければ自分の歳は分からない。まだ40代かと思ってしまうことも多い。
当日は自治会の集まりがあって夜が更けるまで対応しなくてはならず、誕生日なのにばたばたしているうちに過ぎてしまったが、奥さんはケーキを買ってきてくれたし、息子は人形町の卵焼きを土産に来てくれたし、娘からはお祝いメールが来た。家族そろって健康で、住むところがあり、今日明日の食べるものにも困っていない。幸福というべきであろう。
そういえば社会人なりたての頃、将来にわたっての人生設計を試みたことがあった。当時はバブル華やかな頃で、株価が1年のうちに倍になったりした。いまだに日経平均は当時の半分の水準であるが、まさかこんなことになるとは思わなかった。
そんな訳で、その計画では50代前半には1億円の金融資産を持ち、当然仕事などする必要はないから、悠々自適のリタイア生活を送ることになっていた。若干時期がずれたもののリタイアはできたけれども、資産額は2桁違う。将来の不安はないどころか大有りである。
けれどもよく考えると、物価は当時とそれほど変わってはいないし、人口の伸びも止まって人口密度はこれから下がる。外国人観光客が増えてホテルが取りにくくなってはいるけれども、探せばまだまだ穴場はたくさんありそうだ。あまり取り越し苦労をしなくてもよさそうではある。
持つモノもやることも、量的に拡大するのは年齢を考えればそろそろ打ち止めにして、徐々にフェードアウトしていかなければならない時期に来ていると思う。そう考えると、リタイアの時期としては悪くなかったようである。
[Apr 9, 2017]