こしあぶらを求めて

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若い頃はまったく好きでなかった山菜だが、中年になってからよく食べるようになった。今年も、奥さんのお友達から送ってもらったこしあぶらや蕨、シオデをおいしく食べさせていただいた。

聞いたところによると、冬の気候が妙に暖かくて山菜の生育が例年と違い、大きくなりすぎてしまったということだが、奥さんの友達のいる新潟は北関東と違って、原発の影響をそれほど受けなかったのは何よりのことであった。

以下は2010年5月の記事。その後間もなく起こった東日本大震災で、北関東の山菜は食べられなくなってしまった。
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今年のゴールデンウィークは、5月1日しか休めなかった。その5月1日は5連休の初日で、各地で渋滞が予想されていたものの、その渋滞のすき間を抜けて栃木県まで遠出をしてきたので、そのご報告を。ばたばたしている間に、もう一月近く前のことになってしまいました。

目的は山菜の入手である。鬼怒川からさらに会津方面へ進出すると山の中の直売店みたいな店があり、ここで山菜を売っている。春先のこの時期には、わらび、ぜんまい、うど、たらのめ、ふきのとう、こしあぶらといった、この時期でしか味わえない春の味覚を手に入れることができる。値段も、新鮮度も、スーパーとかで売っているものとは比較にならないのである。

ただ、その店は結構遠いため、登山におけるベースキャンプのように、腹ごしらえのための中継地が必要と思われた。そこで今回は、今市にある小百(こひゃく)田舎そばを第一目的地として、まずそこを目指すこととした。普段であれば夫婦だけだが、この日は社会人の息子・娘も連れて、本当に久しぶりの家族旅行となった。

さて、今市に向かうとはいっても、普通に首都高速から東北道、日光・宇都宮道路を経由するのでは、何時間かかるか分からない。下手をすると、一日かかってようやく目的地ということさえ考えられる。予定は日帰りである。午前6時に出発して、昼までには小百田舎そばに着きたい。

そこでちょっと工夫して、柏インターから東京方面に向かわず、水戸方面に向かうことにした。水戸の前の友部から北関東道が分かれていて、これで栃木県まで行ける。東北道に合流する前に高速を下りて、あとは一般道という方法なら、危機的渋滞にはならないだろう。もちろん一般道も渋滞している可能性はあるが、下を通っていれば抜け道はある。

そう思っていたら、予想がずばり当たって、やや渋滞していたのは利根川を渡るくらいまでで、あとはすんなり流れている。もちろん距離的には東北道経由より大幅に遠回りではあるが、なにしろ高速一律1000円だから、遠回りでも早く着けばその方がいいに決まっている。

常磐道から北関東道に入るとさらに車が少なくなり、「GWの渋滞って、何の話だっけ?」という状況になった。PAでゆっくり休憩して、今度は一般道に下りたけれど、こちらも全く順調である。結果的に、柏インターを7時頃に入って、今市の田舎そばに10時に着いてしまった。

残念ながら、田舎そばの開店は11時である。中からわざわざおばさんが出てきて(ここは地域の方々がやっている店である)、「11時からなんですけど」と言われてしまったが、「すいません。早く着きすぎちゃいました。近くを散歩してきます」と車を停めて、付近を散策し、11時の開店を待つ。

11時前には他のお客さんも現われ、いよいよ開店。家族4人いるので、注文したのは最も大きい「1升ぶち」。大きなざるにそば粉1升分の打ちたて・茹でたてのそばが入っている。この他に手作りの天ぷら(玉ねぎ、にんじん、ごぼう)を計6つ。食べきれるか心配されてしまったが、余裕で完食し、満ち足りた気分で田舎そばを後にしたのでありました。

春の小百田舎そば。遅い桜が満開でした。

開店前に着いてしまったので、近くをお散歩。この年のGWは好天が続き、いいお散歩日和でした。遠く日光連山を望みます。

小百(こひゃく)田舎そばで腹ごしらえした後は、鬼怒川から会津西街道を会津方面へ向かう。現在は野岩(やがん)鉄道が会津田島まで通っているけれど、昔は東武鬼怒川線の新藤原が終点で、そこから先の五十里湖や会津方面へ向かう公共交通機関はバスしかなかった。

めざす山菜直売店は、この街道沿いの龍王峡、五十里(いかり)湖、上三依(かみみより)を20kmほど抜けて、塩原方面への分岐点のあたりにある。今市・鬼怒川あたりと比べても標高が高く、ゴールデンウィークの時期にもかかわらず長袖1枚では寒いくらいである。

さて、ゴールデンウィーク初日だというのに、鬼怒川あたりからほとんど混むことはない。鬼怒川の旅館・ホテル街にも、「本日空室あり」の看板があちらこちらに見られる。日本の景気はどうなってしまったのだろうか。もちろんそれに加えて、老舗温泉街の知名度にあぐらをかいてサービスがよくなかったという要素もあると思われる。

このブログでも、何度か鬼怒川近辺の旅行記を書いたことがあり、以前は普通にホテルに泊まっていたのだけれど、行くたびごとにどんどんサービス水準が落ちてきたのを実感した。最近では、「泊まるのは東横インで十分。いいものを食べたかったらそれなりの店へ」というポリシーになってしまったが、これは旅館・ホテルが営業努力を怠っているせいである。

それはそれとして、山菜専門店である。今年は4月に入っても朝晩冷え込む日が続き、まだ早いかもしれないと心配していたのだけれど、そんなことは全然なくて、春の味覚が満載であった。

中でも私の一押しはこしあぶらである。「山菜の女王」と呼ばれるこしあぶらは、たらのめと同じ低木の新芽で、春のこの時期出てきた直後に収穫しないと、大きくなって(枝分かれして)からでは食べられない。これを天ぷらにすると、たらのめやふきのとうほど「えぐく」なく、なんともいえない苦味と香りを楽しむことができる。

それが、大きなパックに入って500円とか1000円で売っているのだから、本当にたまらない。わらびに至っては、一束200円である。おひたしにすると最高である。他にも、たらのめ、こごみ、ふきのとう、しいたけ、エシャロットなどを仕入れる。新鮮なうちが華なので、あまり保存できないのが難点であり、この時期限定の楽しみである。

山菜を仕入れた後は鬼怒川に戻って、かご岩温泉でアルカリ単純泉に浸かり、日光ゆば「まつたか」で激安ゆばを仕入れるといういつものコース。帰りも北関東道から常磐道経由で帰った結果、きちんと6時過ぎには家に帰ることができ、予定通りの日帰り旅行をほとんど渋滞なく終えることができたのでありました。

まあ、つらい毎日が続いているので、1日くらいご褒美があったということで。楽しい1日でした。

ご興味がおありの方は、こちらに全文。
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手前から、わらび、こしあぶら、行者にんにく、山うど、こごみやふきのとうも見えますね。