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053 逃げてばかりじゃ勝てない。カネロvsララ [Jul 12,2014]

スペシャル・アトラクション12回戦(2014/7/12、ラスベガスMGMグランド)
O サウル・アルバレス(メキシコ、43勝31KO1敗1引分け)1.6倍
エリスランディ・ララ(キューバ、19勝12KO1敗2引分け)2.6倍

ララの持つWBAの暫定タイトルは懸けられず、ミドル級特別試合12Rとして行われる予定である。ご存じのとおり、「カネロ」アルバレスの1敗はメイウェザーに喫したもので、一方ララの1敗はポール・ウィリアムス。ただしこのウィリアムス戦の判定はダウトフルなもので、実質的にはまだ負けていないと言って過言ではない。

ララがやりづらい選手であることは言を待たないところであるが、それでは圧倒的なテクニックの差があるのかというとそうとも思えない。ウィリアムス戦はともかくとして、マーティロスヤンとは打ちつ打たれつの負傷判定引分け。アルフレッド・アングロは負傷でストップを呼び込んだものの、2度のダウンを喫している。

そのアングロを、カネロはあっさり完封しているところからみると、この両者にはある程度力の差があるとみるのが妥当である。オッズもそれを反映してカネロ優位。だからカネロ乗りの見解ではあるのだが、ララの場合は誰がやっても噛み合わない優劣のはっきりしない試合になることが多いので、不安があるとすればそこである。

スーバーウェルター、ミドルあたりのテクニシャンの場合、このクラスの相手の強打を受ければまともに食わなくても効いてしまうので、ガードを高くしてブロックしないとダメージが重なってしまう。マルクス・バイエルなどディフェンシブな選手がしばしば攻防分離してしまうのは、そのためである。

もう一つテクニシャンがダメージを避ける方法として、足を使うという方法がある。ただし相当卓越したフットワークがないと全く被弾しないことは難しい。アンドレ・ウォードはそうしたタイプの数少ない成功例であるが、「Son of God」と名乗るくらいの才能がないとなかなかあそこまでは行けないだろう。

そうしたことから考えると、ララのボクシングへの評価が「やりづらい」から「強い」になるには、まだ少々距離があるのではないかと思っている。その最大の理由は、ディフェンスはともかく攻撃力にいまひとつ迫力がないことである。相手に一撃でダメージを与える攻撃力を持たないと、このあたりのクラスではなかなか厳しいだろう。

カネロの場合は、ミゲール・コットのデビュー当時と同様にディフェンスから組み立ててきたスタイルであるけれど、一発の攻撃力も兼ね備えているのはこれまでの戦績が示している。メイウェザー戦では手数があまり出ないという弱点を突かれた格好だが、最初の一、二発が当たらなくとも四発、五発と攻撃を続けられれば、もう少しいい試合になっただろう。

その意味ではまだ23歳、発展途上の選手である。今後、ミドル級に上がって行かなければならないことを考えると、ここで苦戦している訳にはいかない。メイウェザー戦の反省を踏まえ、一発で当たらなくても連打で当てる、相手の攻撃にいちいちひるまないということができれば、それほど苦しまなくても勝てるはずである。カネロの判定に一票。

全く話が変わるけれど、亀3こと和毅の試合がPPVに入らないundercardでやるらしい。undercardとはいえカネロと同一興行というのは大したものであるが、果たしてこれで落札した数千万円が回収できるのだろうか。

スーパーウェルター級(+1lbs)スペシャル・アトラクション12R(7/12、ラスベガスMGMグランド)
サウル・アルバレス O 判定(2-1) X  エリスランディ・ララ

私の目には、カネロのワンサイドに見えた。ララは自分の資源のすべてをKOされないことに費やしたように思われ、あの戦い方は評価できない。私の採点は117-111カネロでジャッジの一人と同じ。「マラソンしに来たんじゃない。ファイトしに来たんだ」というカネロのインタビューに尽きる。

亡命仲間であるリゴンドーもそうだけれど、キューバのボクサーはボクシングで生活を立てるという意識が強すぎるのか、勝つことよりも負けないことに力を注ぎ過ぎである。ファイター相手に打ち合えとまでは言わないが、試合をコントロールする、パンチで相手を止めるという意識をもっと持つべきだと思う。だからPPVはキューバ人の試合をやりたがらないのだ。

ああいうボクシングをアマチュア連盟のプロ組織でやるのだとすると、誰がああいう試合を見たいというのだろう。ボクシングがビッグマネーに結びつくのは大金を払って見る人がいるからであり、チャンピオンになると自動的にカネが入ってくる訳ではない。ああいう試合をずっとやりたいのなら、ララはずっとキューバにいるべきであった。

亡命したのはビッグマネーが欲しいからで、ただしボクシングはアマ仕様というのは二律背反である。プロボクシングでは、WOWOWの採点基準で言われているように、「攻撃に結びつかない単なる防御は、評価しない」のである。確かにララのカウンターは入ったが、追い打ちをかけて倒すつもりのない打撃は、攻撃とみなすことはできない。出合頭のジャブだって、ほとんど出さなかったのである。

一方のカネロ。打たれても前進してボディ攻撃をするという点は、メイウェザー戦の反省として改善されたといえそうだ。リーチの差をあまり感じさせなかったことも評価できる。ただし、詰め切ることができなかった点はちょっと不満。とはいえ、ララがほとんど攻撃姿勢をみせなかったのだからやむを得ない面もある。

もしかすると、カネロにミドル級は厳しいのかもしれない。まあ、コット相手なら問題ないとしても、それ以上に体格差のある相手に、得意の打ち合いスタイル以外で対抗するのは現時点では難しいような印象を受けた。

最後にもう一度ララについて。WBAのタイトルを持っているだけではカネにならない。あのスタイルでビッグファイトしたいのなら、ゲンナディ・ゴロフキン以外に相手はいないだろう。

ちなみに、undercardの亀3はボディフック一発でKO勝ちしたらしい。本場でこの成果は大したものであり、本来は特筆すべきことなのであるが、ほとんど注目されていないのは自業自得。このまま北米で試合するのが彼らにとってもいいことでしょう。

[Jul 13, 2021]

[ミッチーさんからのコメント]
『マラソンをしに来たんじゃない』

同感ですね。
サークリングするのが悪いわけじゃないですが、あれではあからさますぎます。
手もほとんど出さずに逃げ回っている選手にポイントは振れませんね。

ただし、アマボクがみんなそうかといったらそうではないので、そこは理解してほしいですね。
AIBAのWSBもグローブがでかくて柔らかいのでKO率は低いですが、打ち合う選手だってちゃんといる。

和毅選手の試合は…
まだPPVまえということもあって、会場はガラガラでした。
ただ、彼は経験さえ積めばいい選手になりますよ。
兄二人とは明らかに異なるボクシングをする。

[ボクマニさんからのコメント]
ララの試合は、もう見ません。面白くないです。マラソンより競馬の方がスリリングだし、ボクシングはバンチの交換を見たいのであり、走りはパスです。共産主義ボクシングは、プロには向きませんね

[再度ミッチーさんからのコメント]
亀田和毅がアル・ヘイモンと契約したそうですね。

ヘイモンは世界一の敏腕マネージャーですから、今後ビッグマッチが訪れる可能性がグッと縮まったことを意味します。
和毅は『1~2戦したらSバンタム級でビッグマッチをやりたい』って言っていましたね。
『サンタクルス』や『リゴンドー』の名前を挙げたうえで…

サンタクルスはヘイモン傘下の選手です。
そして、今週末試合を控えているリゴンドーは、トップランクとの契約がこの試合で切れますね。
再契約に至らなければ、ヘイモンとの契約の可能性もあるのでしょうが……

どんな手を使ったのか!? 世間から何を言われようが、カネロプロモーションの興業に潜り込んだ和毅。
そして、最高の形でチャンスを物にした現実があるわけです。

アル・ヘイモンが、『ヘイモン傘下』という“にんじん”をちらつかせていたのは確実で、結果的にスタートラインに立ちましたね。

コネやロビー活動を駆使してのことかもしれませんが…
だったならなぜ亀田にできて他の日本人にはできないのか!?
『内山や山中だって、本場で通用する!!』
なんて声が聞こえてきそうですが、そんなの負け惜しみに聴こえてしまいませんか?

だって彼らはスタートラインにさえ立てていないのですから。

日本のボクシング界全体で、もっと真剣に考えてもらいたい。
ちまちまと国内では亀田問題ばかり騒がれて、そんなどうでもいいことなんて海外では取り扱ってさえいない。
世界の流れから日本が取り残されている現実を、もっと議論してもらいたい。

まぁ、こんなところで言ったって仕方のないことなんですが。