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511 安曇野・碌山美術館 [Oct 5, 2011]

先週の長野は、十七、八年ぶりの訪問だった。最初に行ったのは定番の大王わさび農園、しかし以前とは全然違って観光バスがたくさん止まる観光地になってしまっていた。雑然とした雰囲気と人込みに疲れてしまって早々に退散し、次に向かったのは碌山(ろくざん)美術館。ここは逆方向で予想に反した静かな雰囲気で、しばし日頃の疲れを忘れたのでした。

碌山美術館は、安曇野出身の彫刻家・荻原碌山こと守衛の作品を所蔵した美術館である。日本の美術というと、江戸時代以前は仏像はじめ浮世絵、襖絵、建築物、庭園などなど近代の西洋美術にも影響を与えた作品が数多くある。ところが明治時代になって西洋美術に影響を受けるようになってからは、逆に優れた作品をあげるのが難しくなる。

それでも絵画の方では、竹久夢二がいて岸田劉生(麗子像)がいて、現代ではCOMICSが海外進出を果たしているのでまだしも、彫刻の方はちょっと困る。もしかしたら”爆発”岡本太郎の「太陽の像」が代表作かと思ってしまうくらいである。(浅野祥雲のコンクリ像という訳にもいかないだろうし)

その意味で、美術の教科書によく載せられているのが高村光太郎と「碌山」荻原守衛であり、近代彫刻の代表選手と言っていいのかもしれない。碌山美術館のメインの作品である碌山の作品「女」は日本近代彫刻の最大傑作とパンフレットに書かれているが、なるほど格調高い作品である。

それ以上に印象深かったのは、美術館全体の静かな雰囲気である。教会建築風の本館の他にもいくつかの建物があり、それらが白樺をはじめとする高い木立に囲まれている。ちょうどいい頃合の場所に深くて大きい木のベンチが置かれていて、座って空を見上げていると時間の過ぎていくのを忘れるほどである。

安曇野には昔から美術館が多く、最近さらに増えていることから、一ヶ所にあまり人が集中しないのがいい。美術館と通りを隔てたすぐ前にはおいしい蕎麦処があり、大盛りざるそばは大鳥居・セガ前のそば屋さんの「富士山盛り」を彷彿とさせるが、こちらは手打ちなのでさらに食べ応えがある。

さらに美術館から500mほど国道方向に戻ったところには、わさび漬の名店「花岡本店」がある。こちらのわさび漬も、酒粕・わさびとも他で食べるものとは一味二味違う。北アルプスの山々を望みながらお散歩するにはいいコースである。


安曇野のシンボルと呼ばれる碌山美術館本館。1958年の開館だというから、半世紀を少々超えたことになる。


美術館前の蕎麦処・寿々喜(喜は七3つ)の大盛ざるそば。手打ちです。わさびはもちろん土地のものです。

[Oct 5, 2011]