712 2012年の鬼怒川周辺 [May 8, 2012]

さて、天気の良かったゴールデンウィーク前半に鬼怒川周辺をドライブしてみたのだが、このあたりは栃木県と福島県の県境にあたる。間に阿武隈山地をはさむとはいえ、原発とは距離的に近い。日光あたりもかなり観光客の足が遠のいていると聞くし、どんなもんだろうと思っていたのだが予想以上だった。

初日の午前中に行ったのは「小百田舎そば」。ここはおいしくて早くに行かないと一杯になってしまうのだけれど、今回は開店前に並んでいたのは私達だけ。2年前と同じ時期なので桜が満開で、店のおばさんにシャッターを押してもらうほどの余裕だった。

鬼怒川ライン下りの休憩所で鮎を食べてから向かったのは「かご岩温泉」。ここはどちらかというと穴場に属していてあまり混むことはないのだが、それでも行ってから帰るまで他にお客さんがいないというのは初めてである。たいてい地元の人が何人か来ているのだが。

その日は宇都宮に泊まり、翌朝は高速に乗り西那須野塩原で下りて塩原方面へ。塩原温泉は基本的に駐車場が少なくて、川に下りる駐車場はいつも満杯なのだけれど、何と今年はどこも何台分かのスペースが空いている。次もその次も空いているので、予定にはなかったが車を止めて遊歩道に下りていったくらいである。

さらに奥に進み、国道121号と交差する上三依(かみみより)には、昔からよく行く山菜売場がある。この季節になるとこしあぶらやふきのとう、わらびといった春の山菜が一杯に並ぶのだが、近付いても何だかひと気がない。おじさんが一人で、きゅうりを袋詰めしながら店番をしていた。そして、大量にあるはずの山菜がない。

山菜はないのか聞いてみると、麓で取れる山菜はどれも放射能の基準を超えていて売れない。いま、山の深いところに取りに行っており、農協で数値を調べてからになるので、しばらく先にならないと売れるかどうか分からないとのこと。何ということか、原発事故の影響がこんなところに出ているとは。

原発からこのあたりまで、直線距離で100km以上あるし、しかも山をいくつか越えなければならない。それでもこれだけの影響が出ているのである。「がんばろう、日本」と言うのは簡単だが、実際にこれまでの生活が成り立たなくなる人はどれだけいるのだろうか。


塩原温泉から渓谷に下る遊歩道。いつもは駐車場が一杯なのに、今年は空いていました。

[May 8, 2012]