006 なんちゃって初優勝(ポーカーの奥深い世界第6話) [Aug 1, 2005]

話は先々週のストラドル杯に遡る。あしたのためにその1「玉砕オールイン戦法」で25人中4位というその時点での実力以上の成績を収めたのであるが、同時にその限界も分かったので、次のステップに進む必要性を自覚したのである。とりあえず、試してみたいことがいくつかあった。

その一つは、さばきというかしのぎというか、ゲームにおける大局判断である。前にも書いたように午後のセブンスタッドは2時間かかって11人中8人が残っているという大変な消耗戦となったのだが、実はそのとき、私自身ずっとチップリーダーないし2、3番手につけていたのである。一方、優勝したnicoさんとはずっと同じテーブルであったのだが、彼女のチップ量は私が3連続ブリングインを機会に飛んでしまうそのすぐ前の時点まで、私より少なかったはずなのだ。しかし、優勝と7位という大差がついた。その時の彼女の打ち回しを見ていて、ちょっとこれは勉強しなければならないな、と思ったのである。

もう一つは、ショートハンド、つまり少人数の対戦となった場合の打ち回しである。人数が少なくなってすぐにブラインドが回ってくる場合、いい手以外をすべてフォールドしていると、参加すれば下りられ、それ以外はすべて相手にチップをとられてしまう。残念ながらまだブラフやセミブラフは使えない。ならばどうすべきか、またもや電車の行き帰りでいろいろ考えた。

また、もう一つはもっといろいろなゲーム、シチュエーションに挑戦して視野を広げるべきだ、ということである。幸い、DUKEではセブンスタッドハイロー、オマハハイローを教えてもらえたし、今週はJSOP(Japan Series of Poker、ポーカー日本シリーズ!)でリバイありのホールデムトーナメントがあるという。リバイありというのはどういうものなのか、いきなりやるのも何なので、昨日は同様にリバイのある上野の金曜日イベント、STEPに挑戦することにした。

参加者はディーラーのDさんを含め7名。2000点持ちでスタート。このイベントはリバイがあるので、8:30までに来れば参加できることから、スタートでは4人。まさに勉強したいと思っていた状況となった。最初は50-100、次は75-150であるが、すぐに順番が回ってくるのであっという間にチップが削られていく。何周か回ったところで、22という手が来た。

リバイありだから、ここは行ってみんな下りてくれればそれでよし。仮に受けられて負けてもリバイすればいいところなのではないかと思い、オールイン。すると、2人もついてこられてしまう。特にDさんはKKだ。2が落ちないと負けなので、残り2枚の4%×5枚に希望を託すが、こんなところで出る訳がない。1トビである。

しばらくして2度目のオールインでも敗れて2回目のリバイ。開始30分ほどでリバイチップはすでに4枚(1枚につき2000点の追加。所持点0になると4000点のリバイができる。1枚につき500円の参加費追加となる)となった。「リバイはいくらでもできますよ。最高記録は20枚」と言っていただくが、参加費の追加はともかく、なくなった分のチップは他人に行っている訳だから、リバイを繰り返して自分に有利になるとも思われない。

考えるに、リバイをするということは貨幣を増やしていることと同じだから、経済的にいうとインフレを起こしていることになる。つまり、リバイで得た4000点はゲームの始まった時点の4000点よりも実質価値は低いのである。それは、テーブル全体の平均チップ量がリバイによって必ず大きくなっていることからも明らかである。リバイを繰り返すことにより自分の持っているチップの実質価値はどんどん下がることになる上、インフレが起こるということは、ブラインドの実質価値も下がっているということだから、勝負は先のラウンドまで持ち越されるはずである。であれば、下手にとって不利になることにならないか?

そうであるならば、下手の戦略としてはやはりできるだけ手を絞り、4000点を首尾よく平均チップ以上にできればそれ以上勝負せずに、リバイができなくなってから勝負を掛けるべきであろうという結論に達した。実際、その後のオールインは成功し(リバイ可能なので結構みなさん受けてくれるのだ)、その後は時計を見ながらリバイができなくなる8:30を待った。

[注.このあたり、いろいろな意見があるようで、特に複数のテーブルがある場合、あるテーブルだけリバイが少ないと、テーブル整理となったときに他のテーブルのチップ長者たちに粉砕されてしまうので、そういう不利を回避するため積極的にリバイすべきであるという考え方もあるようだ。]

8:30になると、ここで手持ちチップに関わりなく8000点のチップがアドオンできるという(やはり参加費にハネる)。ここまでの所持点は約8000点。アドオンはする人としない人がいたが、今回はリバイの勉強をしに来たのであるから少し考えて最高額をアドオンした。これでアドオンチップは8枚、スタートの2000点に16000点の追加である。手持ちチップは約16000点。7人の内では2、3番手につけている。

再開後のスタートは600-1200。何もしないでいると1周で1800点削られるので、仕掛けなければならない。Axや絵札2枚でメイク5000点を打つが、さすがにリバイできないので結果的にスチールという形になる。それでも手がこないことの方が多いから、徐々にチップが減っていく。そろそろオールインかなという状況のSBで、AKoが来た。流れ的にそれほど確信はなかったがオールイン。だから、BBでありチップリーダーのSさんがコールしてきた時は、やっぱり早かったか、と思った。

Sさんが開いたカードは同じくAKo。正直言って、引き分けなら上等と思った。しかし、プロップで2枚がクラブである。手を見ると、私のAがクラブ、SさんのKがクラブである。ターンもクラブ。ディーラーのDさんがリバーを返すと、なんとまさかのクラブ!オールインの1万数千点が倍になり、2番手に浮上したのである。いま思うと、今回の勝負の分かれ目はまさにここであった。

これだけのチップ量があれば、5000点くらいのベットならコールできるし、チップが厳しくなってきた人のオールインだって受けられる。実際、何度かそうしたシチュエーションになったのだが、Kx対QxをKハイで勝ったり、Q2対Q7でリバー2が落ちたり、Kx対AQでやはりリバーKが落ちたり、もちろん負けもしたのだが、勝負どころできわどく勝ちあがって、チップ量は5万点に近くなった。

最後の勝負はGさんとのヘッズアップ。1500-3000のブラインドだが、必ずスモールかビッグになる。現時点でのチップ量は私の方が多いが、1回の勝ち負けで何千点か差が縮まる。特に、BBを取られた時のダメージが大きい。かと言って、プロップを見に行ったりしたら、やはり実力の差が出るだろう。やはり、早めにじゃんけんに持ち込むしかない。

2、3度、オールイン・フォールドの応酬があった後、BBでQxのときのオールインをGさんがコール。ついにじゃんけんである。GさんはKTかK9、ちょっと不利な状況ではあるが、この程度のビハインドに贅沢は言っていられない。さすがにこのあたりはあまり冷静ではなくてよく覚えていないのだが、確かプロップでQが落ちた。ターンでは何も起きず、リバーでKが出ないでくれ、と祈っていたら出たのは私のローカードの方であった。なんと、初優勝である。

生意気なようだが今回の最大の収穫は、どういう流れなら勝てるかということが分かったことにある。逆に言えば、どういうところで勝てなければ今日はダメという見極めができるので、これから割り切った戦い方ができる。それと、実を言うと今回、AA、KKはおろか絵札のペアすらも来ていない。そんな寂しい(普通の)配牌でもボードとマッチすればなんとかカバーできる、ということが分かったことも大きい。

ちなみに、今回の表題「なんちゃって初優勝」の意味は、お分かりいただいているとは思うが相手が少なかったことを言っているのではない。なにしろ、世界ランカーのBさん、Dさんをはじめたいへんなメンバーである。それは、1トビなのに最後まで残ってしまったというのが自分でも悔しいというか、恥ずかしいというか複雑な気持ちだからである。今後これだけの好成績を2度と残せるかどうか全く自信はないが、できれば次回は飛ばないで優勝したいものである。

[Aug 1, 2005]