019 電力自由化対応・東京ガスに切り替え [Mar 29, 2019]

1.なぜ東京電力の料金が高いのか

さて、年金収入のみ月20万円で暮らすというコンセプトの年金生活、今回は電力会社の切り替えについて。

年初の「年金生活2019」で書いたように、東京ガスの単価増が1.1%なのに東京電力が7.5%に及ぶことから、このまま今の契約を続けていると東電の思う壺のような気がしてきて、年も明けたのでいろいろ調べてみた。

改めて私のスタンスを説明すると、短期的な損得でものごとを考えるのではなく、メリットデメリットを総合的に判断し自分自身のこだわりも勘案して決めたい。だから、「なんたらシミュレーション」だの「なんたらキャンペーン」などに関心はないのである。

まず最初に知りたいことは、なぜ東京ガスだと安くて東京電力だと高いかということである。そういう一番知りたいことを、東電も東ガスもすぐ分かるところに書いていない。だから、ホームページを行ったり来たりして、自分の求める情報を探さなければならない。

ポイントになるのは、料金表である。東電も東ガスもすぐ分かるところには載せていない。「自由化前」だの「お得なキャンペーン」だのをスルーして、ようやく目指す料金表にたどり着いた(東電は適用中の「電灯B」、東ガスは「ずっとも電気1」)。

40Aの基本料金は東電も東ガスも1,123円20銭で変わらない。違うのは、電力量に伴う料金である。これをみると、第1段階(1段)料金が東電19.52円/kwhに対して、東ガスが23.24円、2段料金が東電26.00円・東ガス23.45円、3段料金が東電30.02円・東ガス25.93円である(2019年1月現在)。

これまであまり疑問に思ってこなかったが、東電では1段と3段の間に10円以上の開きがあるのに対し、東ガスでは2円ほどしか違わない。電力を供給するのに使用量によって製造原価が違うとは考えられないし、新規参入の東ガスが23~26円だから、本来東電もその単価が本来つけるべきまともな単価であると思われる。

では、なぜ東電はそんな傾斜料金を適用しているのか。まず、低い方について考えられるのは政治的配慮である。1段というのは利用量が少ない人で、おそらく低所得水準の人が多いと思われるから、社会福祉的観点から料金を低く抑えているのであろう。悪いことではない。問題は、それと引き換えに3段料金がきわめて高い水準に設定されていることである。

平均的な戸建住宅の使用量より節電しているわが家にして、夏冬の需要期には3段料金まで間違いなくかかる。そして、1段料金のみで済むことは年間通して皆無である。つまり、一般家庭の大多数に対して、原価の2割以上上乗せした3段料金を取っているということになる。

好意的に考えれば、「多く使う人のために設備投資が必要になるんだから、負担してもらわざるを得ない」ということなのかもしれない。それにしても取り過ぎである。新規参入の東ガスにして2円程度の上乗せで済むのだから、すでに長年営業している東電がそれほど上乗せしなければならないとすれば、何か他に原因があるはずである。

それがおそらく、福島原発の不始末に関わる諸々なんだろう。福島原発の事故は、大地震による津波が原因で引き起こされたものではあるが、まじめに危機管理対策をとっていれば防ぐことのできた事故である。尻拭いまでわれわれの懐ろを当てにされるというのは、不愉快である。

利用量の多い契約者に対する割増し料金は、それによって必要となる追加の設備投資や原材料の手当てまで含めても、東ガス程度の単価増に収まるはずのもので、それ以上の負担は東電が身銭を切ってやるべき筋合いである。(個人的には、東電は一旦会社整理すべきであったと考えている)

そんな人をバカにした料金をいつまでも払っているのは、お人よしが過ぎる。事故が起こるまでいい加減な原発管理をしていた東電が、いまさら再生可能エネルギーだの言ったところで信用できる訳がない。そして、おそらくは原発の尻拭いで高い料金を取っているのならば、電気事業者を東電から他の会社に移すのは私にとっては当然ということになる。


東京電力の電気料金表。利用量が少ない1段料金が単価19円台なのに、3段料金は30円台になる。節電しているわが家でさえ、夏冬は3段料金になる。これが「高さの秘訣!!」である。

 

2.料金表をもとに、わが家の電気料金を試算してみた

なぜ東京ガスだと安くて東京電力だと高いかという問いに対する答えは、東電は利用量に基づく傾斜料金方式をとっており、3段料金がきわめて高い。したがって、利用量の少ない家庭に有利、普通の利用状況の家庭に不利となっているためであった。

東電がこのような料金方式をとっている理由についてホームページを探したけれども、分かるところには書いていなかった。きっと、有価証券報告書のどこかに小さい字で書いてあるんだろう。書いてあるのは、自由化料金の損得ばっかりである。ということは、利用者にも損得で判断していただいて結構ということである。

私のこだわりとして、若干高い料金であったとしても、それなりに納得できる理由が示されていれば損得だけでは判断しない。電気の安定供給のためどうしても必要とか、脱原発や再生可能エネルギー利用のためとか、その気になればいくらだって説明できるはずだ。それをしていないということは、説明する気がないということである。

次はどれほど料金に違いがあるのかということである。料金表で示されている基準で計算すると、1ヵ月あたり300kwhが分岐点で、それ以下であれば東電が安く、以上であれば東ガスが安い。料金表以外にもポイントサービスとかいろいろあるが、単純に料金表だけで計算してどれくらい違うだろうか。

わが家の昨年・一昨年の利用量をみると、300kwh以下の月は5ヵ月、ということは東電の方が安くなる月は5ヵ月で、金額は月にして100~150円である。一方、300kwh以上の月は7ヵ月で、そちらは東ガスが安くなる。そして、その金額は月300~700円である。

つまり、ピーク月1ヵ月分で、東電が安くなる5ヵ月分をカバーできることになる。年間にすると、3,000円ほど違う。これは大きい。年間数百円程度と考えていたら、とんでもないのであった。プラスしてポイントサービスがあるけれども、これはどこの事業者でも同じようなものである。

東ガスがどうやって電力を供給するかというと、自らの主力商品であるところの液化天然ガス(LNG)による火力発電である。原料の確保にも供給力にも、それほど問題はなさそうだ。昨春の北海道地震のようなことになれば止まるけれども、それは東電を使っていても同じことである。原発を使わなくても、これだけ安く供給できるのである。しようと思えば。

あとはNTTの光フレッツのような契約期間の縛りがないかどうかだが、ホームページをいろいろ見たけれどもそういう契約条項は見たらなかった。してみると、NTTとかプロバイダ、携帯各社の2年縛りとかいうシステムは、非常にインチキくさいということになる。

という訳で、東京ガスのホームページから電気切り替えの手続きを行った。その後になって、CMを深キョンから浜口親子にしたのは気に入らなかったけれど、黙って原発事故のツケを利用者に回す東京電力に比べればまだましである(出演料もかなり節約されるだろう)。

あわせて、「電気料金15%OFFキャンペーン」の対象となった。これは、電気を東ガスに切り替えた利用者の電気料金を2ヵ月間15%割引しますという太っ腹なキャンペーンである。初期費用が必要ならともかく、手続きだけでこういうメリットがあるとは、何か妙ではあるが断るのも何である。ありがたくおまけしていただく。


東京ガスの電気料金表。使用量による単価の違いは小さく、2円ほどしか違わない。2段料金で約2円50銭、3段料金で約4円東電より安い。それで料金が安くなる。

 

3.すぐには終わらない東ガス切り替え

さて、切り替え手続きは東京ガスのHPで済ませ、受付完了のメールも届いたけれど、電気を使う上で何が変わる訳でもない。替わるのは支払い方法だけである。

わが家の電気検針日は月半ばである。東電最後の検針が終わると、東京ガスから契約内容変更案内のハガキが届いた。小さい字でいろいろ書いてあって分かりにくいが、主旨はこれから東京ガスの電気となりますということのようだ。

老眼に鞭打って小さい字を読むと、「当社は、送配電事業者が計量した電気ご使用量を計量日以降に受領し、その値をもとに電気料金を計算します」と書いてある。つまり、われわれが使う電気は、これまで同様に電線から伝って来た東京電力の電気ということである。

そして、契約変更となった電力量を計算して、事後的に東京ガスから東京電力に電気が供給されるという仕組みであるらしい。電力自由化というと、例えば灯油をガソリンスタンドから買っていたのをホームセンターにするようなイメージであるが、やってみたら代金を払う相手がホームセンターになるだけで、仕入れるのは同じガソリンスタンドという感じである。

とはいえ、多くの家庭用電力供給業者がそれぞれ電線を引いていたらきりがないし、地下の共同溝を使うならともかく空中に引かれたら景色もよくない。個別家庭への供給はこれまでどおり東電が行い、それぞれの使用料に応じて事後的にやりとりするというのが電力自由化ということだと理解した。

さて、東電最後の検針票には「次の検針予定日19日」と書いてあったが、19日には検針票が入っていなかった。いつもだと検針票の右半分が領収書になっているのだけれど、領収書だけ別にハガキで届いた。ということは、わが家の検針結果はわが家には知らされず、まず東京ガスに連絡されるということである。

ガスの検針日はたいがい月終わりである。その時に電気のお知らせが来るのかと思ったが、ガスの検針結果しか入って来ない。電気の使用量と料金はいつ分かるのだろうと不安になる。そんなことはないと思うが、料金も知らせずにいきなり引落しになるのだろうか。

いくらなんでもそんなことはないだろうと思って、再び東京ガスのホームページを探してみると、あった。「電気料金の請求時期~ガス・電気セット割の場合」という箇所である。

これをみると、電気料金の請求はガス検針時に併せて行うこととなっていて、ガス検針日が月の下旬の場合は(うちの場合だ)、電気の検針日がその月の上旬までの場合は当月分が合算され、それ以降の場合には前月分が合算される。

ということは、わが家の場合は前月分が合算されることになり、2月の電気代は3月のガス代と一緒に払うということになる。電気の検針結果が東京ガスに送られている間タイムラグが発生していることである。

なるほど、いつまで待っても電気代の請求が来ない訳である。こういう大事なことはきちんと書面で説明してほしいものだが、あまりこだわる人はいないのだろう。

ともあれ、表面的にみると、今月の電気代支払いはなしということになり、それだけ資金繰りが楽になった。ありがたいことである。一方で、電気代がどうなったかは次のガス検針日まで1ヵ月待たなくてはならない。


東京電力検針日の後に、東京ガスから契約変更案内のハガキが届いた。これによると、検針は引き続き東電がやるらしい。

 
4.実際に請求されてきた金額は

さて、前回書いたように2月の電気料金は、東京ガスに移したことによって1ヵ月遅れの3月支払いになった。そして、ガス検針日の26日、ガス代の請求と一緒に電気代の請求が届いた。

まず請求額を見てみると、2018年2月の電気代が405KWh使用で11,085円だったのに対し、2019年2月は324KWhで7,926円、単純計算では3,159円の減となっている。よしよし、東京ガスに代えただけの効果があったとまず思った。

ところがよく中身をみると、それほど効果があったとも言えないことが分かってきた。検針日のずれにより日数が少なくなっているのである。昨年が31日分だったのに対し、今年は26日分で5日少ない。

仮に日数が昨年と同じ31日分だったとすると、今年の電気代は単純計算で9,450円となる。それでも昨年より約1,600円安いけれども、これはキャンペーン割引1,450円の効果が大部分で、それを除くと150円ほどしか違わない。

これは限定2ヵ月分だけ15%割引となるキャンペーンなので、再来月にはこの効果がなくなる。ということは、通常月には150円しか違わない。確かに、昨年時点で私が想定していた電力自由化効果はそんなものであった。

ではなぜ、電力自由化によりそんなに得になるという試算となったのだろうか。その大きな理由として、東京ガスと東京電力の料金表を分析して試算したので、「燃料費調整」という項目を考慮に入れていなかったことがある。

燃料費調整は、年間を通じて上下する為替レートや原油・LNG市況の変動率を料金に反映させるために設定しているもので、航空会社の燃油サーチャージと似た性格である。料金体系は役所の認可とかいろいろ面倒な手順があるが、燃料費調整は基本的に、3ヵ月前の為替レート、原油・LNG・石炭市況から算出される。

(もとになっている数字が役所から出ている貿易統計等の数字であるため、東電でも東ガスでも結果はほとんど変わらない。どこの電力事業者でも同じだろう。)

そして、昨年2月の燃料費調整額は-1,227円と大きなマイナスであったのに対し、今年は-116円と1,000円以上少なくなっている。東電でも東ガスでもこの傾向は変わらない。つまり、電力会社をどこにするかよりも燃料費調整の要素の方がずっと大きかったということである。

もっとも、東電のままにしていたとすれば、2ヵ月だけとはいえ15%割引ということはなかったから、その点だけみても電力会社を代えた効果があったことは間違いない。それにプラスして、1ヵ月支払時期が遅れたことによる資金繰り効果も結構大きい。

いずれにしても、年間通して締めてみないと電力会社切り替えの効果はよく分からない。それはそれとして、どこの料金プランがお得かということより、原油価格やLNG価格、為替レートによる影響の方がはるかに大きいということを実感したのでした。

[Mar 29, 2019]

 2018年2月2019年2月増減
使用量(KWh)(405)(324)(-81)
基本料金1,1231,010-113
1段料金2,3423,253911
2段料金4,6804,315-365
3段料金
3,1520-3,152
燃料費調整-1,227-1161,111
再エネ賦課1,069939-130
割引-54-1,475-1,421
料金合計11,0857,926-3,159

楽しみにしていた東京ガスの電気代。昨年との比較で請求額は下がったものの、中身をよく見ると喜んでばかりいられないことがよく分かりました。