097 ロマチェンコ、元王者クロラを相手にせず [Apr 12, 2019]

WBA/WBO世界ライト級タイトルマッチ(2019/4/12、米ステイプルズセンター)
Oワシル・ロマチェンコ(12勝9KO1敗) 1.01倍
  アンソニー・クロラ(34勝13KO6敗3分け) 19.0倍

金曜日夜のタイトルマッチというのは珍しい。英国への放映を考慮したのだろうか。

昨年リナレス戦で予想したとおり、ロマチェンコはライト級で相手を探すのに苦労している。12月のペトラザ戦では「ロマチェンコ勝ち」こそできなかったもののワンサイドでWBO王座を吸収、次の相手はリナレスに敗れているクロラを選ばざるを得なかった。オッズ通り、勝敗のスリルはほとんどない試合である。

ロマチェンコがオールタイムでどれくらい強いかという記事が、ボクシングマガジンに載っていた。相手として選ばれていたのがロベルト・デュランだが、デュランのベストがライト級であることはそのとおりとしても、ロマチェンコがライト級でベストかというと現時点では首をひねるところがある。

まだライト級は2試合、しかもスーパーフェザー時のように圧勝を続けて来た訳でもない。リナレス戦ではダウンを喫し、ペトラザ戦では決めきれなかった。マルティネス、ウォータース、リゴンドーと強豪を相手にしなかったスーパーフェザー時の迫力には及ばない。

デビュー直後にオルランド・サリドに苦杯を喫したように体力で押してくる相手を苦手にしているのもあるだろうし、あるいは年齢的な問題があるのかもしれない。ロマチェンコもすでに31歳、スピードと反射神経が売り物のテクニカルなボクサーには、少し年齢が行き過ぎているような気もする。

ロマチェンコの歳には、デュランはすでにウェルター級だった。年間6~7試合もやっていた時代と比較することはあまり公平ではないが、ロマチェンコがアマチュアで200戦以上戦っていることを勘案すると、共通する要素は少なくない。

一方のクロラ。リナレス戦連敗の後、同じ英国のリッキー・バーンズに勝ち再浮上してきた。世界ランクでは各団体上位に位置するが、ライト級の人材がそれだけいないということである。

リナレスと戦った際も、攻勢はとるものの的確さに欠け、相手も疲れていたのに押し込めなかった。リナレスよりさらに的確でスタミナのあるロマチェンコをたじろがせる場面は、想像しがたい。

クロラにアドバンテージがあるとすれば、デビュー以来ずっとライト級で戦っているという体力的な強さである。とはいえ、いくら体力で上回ったとしてもパンチを当てられなければどうしようもないし、実際ほとんど当てられない可能性が高い。

久しぶりに「ロマチェンコ勝ち」を予想するけれども、ここで手こずるようならいよいよライト級が合わないのか年齢的な限界ということになるだろう。

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WBA/WBO世界ライト級タイトルマッチ(4/12、ロサンゼルス・ステイプルズセンター)
ワシル・ロマチェンコ O KO4R X アンソニー・クロラ

リナレスを物差しにすればこういう結果が出て当り前なのだが、ロマチェンコがクロラにほとんどパンチを当てさせず4Rでキャンバスに沈めた。

3Rは米国では珍しくジャック・リースがダウン扱いにして、ロープダウンなしの統一ルールだから関係者が入ってきてしまった。私もダウンのジェスチャーをとっていたのが見えたけれども、慣れない関係者だったのかもしれない。3分計れない日本の関係者よりはましだが。

ロマチェンコはこれまでボディで倒すか、あまりに一方的な展開で相手がギブアップしてしまう「ロマチェンコ勝ち」が多かったが、今度はテンプルの一発で決めた。実力差もあり、クロラにダメージがあったこともあるが、ロマチェンコ自身ライト級のパワーがついてきたということかもしれない。

それと、今回驚いたのは、個人的に「闘牛士スタイル」と呼んでいる相手のフックの軌道を懐でよけてしまうロマチェンコ独特のスタイルが健在だったことである。

あのよけ方は、本来ガードしてカバーすべきところ、動きが早くて肩の動きが柔軟なので両手を浮かしてどこも当てさせないというすごいよけ方なのである。自分と同じか身長の低い相手なら軌道も低いのでまだしも、自分より上背のあるクロラにあれができるとは驚きである。

それだけ、ロマチェンコがナチュラルに構えていて、クロラが前傾して相手を見ずに振っているということになるが、それにしても、もともとの体重差・体格差を感じさせない芸当であった。

さて、WBA1位のクロラとこれだけ差があると、次の相手を探すのはたいへんである。WOWOW(今回、再契約)ではIBF王者のコミーの名前が挙がっているが、ケガなのでしばらく無理だろう。

コミーに勝ってマイキーに敗れているロバート・イースターとやればマイキーと比較できるが、今月末にランセス・バーテルミーとWBAレギュラーの決定戦があるので勝てるかどうか。イースターでもバーテルミーでも、ファイトマネーでは折り合いそうだ。

あとは、ウェルターまで上げたマイキーが12ポンド落とせるかどうか、タンク・ジャボンテ・デービスが負けそうな試合をやるかどうかだが、今年秋のタイミングでは難しい。もっとも、今日のような試合を見せてくれれば、イースターでもバーテルミーでも中谷でも文句はない。

[Apr 14, 2019]