631 番外霊場石槌神社 [Oct 11-12, 2018]


この図表はカシミール3Dにより作成しています。

氷見郵便局前を午後4時半前に通過できたので、夕食前には石槌神社会館に入れる見通しが立った。ただ、雨は全然止まないし、早く屋根のある場所に入りたいのだけれど、あとどのくらい歩けばいいのか正確なところがよく分からない。

これは、遍路地図(私の使っているのは「四国遍路ひとり歩き同行二人」第10版)に石槌神社会館の情報が全く掲載されていないからである。石鎚神社頂上山荘の位置や連絡先は何ページかに書かれているのに、もともと宿の少ない小松近辺での候補先である石槌神社会館を載せないというのはよく分からない。

距離が分からない時に頼りになるのは、国道のキロポストである。若干遠回りなのかもしれないが、国道11号に出てしまう。これまでの山道とは違って、両方向とも多くの車が行き交っている。前神寺まで3kmほどだからそれより少なく、2kmくらいで右に入る道が指示されるはずだ。

1km歩く。石槌神社の案内は出てこない。車で来る人のために「あと信号5つ先」とか書いてあるかと思ったけれど、特にそういうものはない。道は合っているし近くになれば何かあるだろうと思ってあと1km歩くと、ようやく大きな鳥居が見えてきた。「次の角を右」の案内も出た。

大鳥居をくぐると、神社に向けて緩やかな坂を登る。一日歩いてきて最後にまた登りはつらいが、先が見えてきたのでがんばる。二の鳥居を通ると、すぐ先が神門、お寺でいうところの山門である。両側に大きな狛犬が構えている。右に車道が続いているが、これは神社会館まで続いている(後から分かった)。

神門をくぐっても、まだ結構歩く。石畳の道と石段で、ずいぶん高くまで登る。いくつめかの石段を登ると駐車場といくつかの施設が建っていて、そのうちの一つが石槌神社会館であった。楽天トラベルの写真で見ていたとおり、鉄筋3階建の立派な建物である。

「今日はおひとりなんですよ。」

到着すると、会館の方に言われた。

「お風呂は、湯之谷温泉に送迎します。タオルなどは向こうにありますので、着替えだけ持って行けば大丈夫ですよ」

「帰りは歩きます。私ひとりのために行き帰りは申し訳ないです」

「いやいや、歩くと20分ほどかかりますし、街灯があまりないですし、お墓があって寂しいところですから」

1日雨の中を歩いたので温泉はたいへんありがたいが、湯上りに20分歩いたら湯冷めしてしまいそうだ。

「それでしたら、お言葉に甘えて。私一人のためにすみません」

湯之谷温泉は私でなくても宿泊者は無料となるようだが、これは車で来た人を想定していると思うので、私のように遍路歩きで来た客の送迎まで通常やっていないはずである。ありがたいことである。

それにしても、この大きな宿泊施設に一人だけである。楽天トラベルには「相部屋プラン」というのもあり、参拝客で一杯になることもあるのかと思って「個室プラン」(1泊2食9,300円)にしたのだが、正直、すいている方が私としてはありがたい。

施設は新しく、トイレもきれいで、湯沸室の冷蔵庫を共用で使えると書いてある。コインロッカーがあるのは、「相部屋プラン」の人のためのものだろうか。

部屋は8畳の和室で、トイレと洗面所は共同だが、一人なので誰に気を使うこともない。ずぶ濡れの荷物を廊下に置いて整理する。着替えなどは大きなビニール袋(印西市指定のゴミ袋だ)に入れてあるので問題なく、ネストウェストガーデンの時よりも被害は小さくて済んだ。ぐっしょり濡れた千円札をテーブルの上に広げて乾かす。

荷物を整理したらさっそく洗濯である。コインランドリーは地下にあり、コイン式ではなく使った分を置いてある貯金箱に入れる。夕飯の間に洗濯機が終われば、温泉に行っている間に乾燥機にかけることができる。普段だと、機械が止まったら速やかに取りにいかなければならないが、他に誰もいないので問題なかろう。

夕飯は、刺身も天ぷらもついた豪華な仕出しのおかずに、ご飯とお味噌汁である。もちろん、瓶ビールで一日の苦労を自らねぎらう。

そういえば、西予のホテルで、レストランが休みなのでバイキングでなく仕出しということがあったが、歳をとると席を立ったり座ったりがおっくうになるので、かえってその方がありがたかった。その時のおかずと今回とよく似ていたので、その時のことを思い出した。

お風呂については、いつか書いたのでそちらをご覧ください。宿に帰って乾燥機から洗濯物を回収し、整理したら眠くなってしまった。ハードな1日だったので、バンテリンを丹念に塗り、9時には寝た。この日の歩数は55,495歩、GPSで測定した移動距離は28.6kmでした。


国道11号から大鳥居が見えてきたら右折。石槌神社へは緩やかな坂道を登って行く。写っているのは二の鳥居。


神門で車道から分かれ参道に入る。まだずいぶん歩くのと、階段があるのでなかなか着かない。


石段をいくつか登ると、石槌神社会館前に出る。車道を通るとここまでは上がってくることができる。

 

翌朝は、石槌神社の朝拝に出るため午前5時前に起きる。前の日に会館の方にお伺いしたところ、

「朝の神事で、外の方にお見せするものではないのですが、宿泊者はお祓いを受けることができます。6時ちょうどに始まりますので、遅れずに本殿までいらしてください」

とのことであった。神前に「南無大師遍照金剛」ではどうかと思ったので、無地の白衣を着て15分前に会館を出る。あたりはまだうす暗い。石段を登っていちばん奥まで行くと、灯りは点いているのだが建物が小ぶりである。「祖霊殿」と扁額がかかっているので、ここは違う。石段を下りて引き返す。早く出て来てよかった。

途中で直角に折れる階段と鳥居があった。こちらだろう。登り切ると広い空間になっていて、社務所と奥に大きな建物がある。石槌神社本社である。

本社を口之宮とも呼び、石槌神社四社の一つである。他の三つは、頂上社、成就社と土小屋遥拝殿である。おごそかな雰囲気で、すでに中には明かりが灯っている。宿泊が1人だけということなので、置かれている椅子の最前列に座る。

6時になった。神職が1名現れ、祝詞を唱え始める。「かけまくも畏き・・・」ご神体が違っても、祝詞の文言はほとんど変わらない。天下の安寧と五穀豊穣を祈願する。一段落すると、大幣(おおぬさ)を手に神前からこちらにみえられた。頭を下げてお祓いを受けた。

道中の安全を祈念して、お祓いいたしました。お戻りいただいて結構です」

その後も神事は続けられ、神職は再び祝詞を上げはじめたのだが、ここまでで会館に戻る。本社を出ると、明るくなってきた。前庭からは瀬戸内海を望むことができる。こうしてみると、ずいぶん高いところまで登ってきたことが分かる。遠征3日目で、ようやくいい天気になりそうだ。

石段の横に置かれている神馬の像やら、神社の説明書きを見ながらゆっくり会館に戻る。阿波一ノ宮で神前に馬の銅像が置かれているのにかなり違和感を感じたが、こうしてみると神社と神馬はセットだということがよく分かる。もっとも、馬の腹の下をくぐって参拝するというのはいまだによく分からないが。

会館に戻って白衣から普段着に着替えると、ちょうど6時25分。テレビ体操が始まる時間であった。こちらの会館では部屋にTVは置いておらず、2階のロビーで見ることになる。体操はできれば毎日したいのでありがたかった。この日一人だけの宿泊客なので誰に気を使うこともない。

体操の途中で館内放送が入り、朝食の時間となった。朝食のメニューはご飯とお味噌汁、焼き海苔、たらこ、梅干し、切干大根といったスタンダード和食メニューに、グリーンサラダとヨーグルトが付いているのがうれしい。この日は長丁場になるので、ご飯はおかわりした。

再び身支度を整え、会館の方にご挨拶して出発。お遍路宿では宿泊客が一人だけという事態は少なくないのだが、私一人だけのためにお手数をかけて申し訳ないと思う一方で、他のお客さんに気を使う必要がないのでリラックスして過ごせるので個人的にはうれしい。寂しいとか心細いと思うことは、この歳になると全くないのであった。

この日の経過
氷見郵便局前 16:20 →[3.4km]
17:10 石槌神社会館(泊) 7:40 →

[Jul 6, 2019]


石槌神社本社。口之宮とも。石槌山をご神体として祀っており、頂上社と登山口の成就社、土小屋遥拝殿、こちらの本社を石槌神社四社と呼ぶ。


お祓いを受けて本殿を出ると、明るくなってきた。瀬戸内海方面への展望が広がる。ようやくいい天気になりそうだ。


歩いて5分ほどの会館に戻ると、ちょうどテレビ体操の時間。体操をしていると館内放送が入って朝食になった。サラダとヨーグルトがうれしい。