025 地震保険再考 [Sep 11, 2018]

7月のある日、地震保険改定のお知らせというハガキが届いた。中を見てみると、今年から地震保険の保険料が約10%上がり、39,110円になるという。ここ5年ほどで3回目の引き上げである。

たいていの人はそうだと思うが、火災保険は住宅金融公庫を借りる時にローン期間(私の場合30年間)の長期契約を結んでいて、火災保険料は最初に支払済である。ところが地震保険は1年契約なので、保険料が毎年自動引き落としになる。

公庫の借入を完済したのはしばらく前だけれど、火災保険はそのまま掛け続けていた。特に手続きをしなくても30年間継続されるからである。地震保険はペイジーで払わなければならなくなったが、まあそれほどの手間ではない。

ところが完済以降、立て続けに保険料が引き上げられたのである。平成26年、29年と引き上げになり、今度で3回目。5年で3回というのは異常に多い。金額も、31,000円から今度で39,110円というから、目に見える大幅な引き上げである。

それでは地震保険などやめてしまえばいいのだろうか。ところが、それはあまり得策ではない。というのは、地震保険は保険会社にとって全く商売にならない商品だからである。保険会社にとって商売にならないということは、掛ける側にきわめて有利ということである。

なぜ商売にならないかというと、地震のように被害額の甚大なものは、そもそも保険になじまないからである。保険になじまないとは、集まった保険料と支払う保険金を天秤にかけると、保険金の方が大きくなりがちだからである。地震の少ない年があったとしても、大地震が起こればいっぺんで支払い超過となる。

この間の東日本大震災も熊本地震も、支払った保険金は1年間の保険料収入より大きい。戦争による被害を保険がカバーしないのと同じ理屈で、営利企業(保険会社)が扱う商品として、地震はなじまないのである。

それなのになぜ地震保険があるかというと、それは住宅ローンを売るためなのであった。

もしも地震で被災した住宅に保険がかからないとなると、住宅ローンを借りた人はその損失を自己負担しなければならない。そのままにしておけば、銀行にとって不良債権となるだろう。万一、関東大震災級の大地震が大都市で起これば、銀行への影響は計り知れない。ならば、ある程度保険でリスクヘッジしようということである。

地震保険を個人に売っているのは損害保険会社だが、受けた保険は損害保険会社から日本地震再保険という会社に再保険がかけられる。日本地震再保険という会社は実態は国であり、保険料は見込まれる保険金額ではなく政策的に決められる。仮に支払った保険金額の方が保険料収入より大きければ、税金で補填される。

つまり、地震保険の保険料は政策的に低く抑えられているので、利用できるものならば利用した方がいいということである。こうして立て続けに保険料を値上げするのも、できれば解約してほしいという保険会社(国)の思惑が働いている。そういう思惑にのって解約するのも賢くない。

かといって高い保険料を支払うのも業腹である。そこで目をつけたのは保険金額である。火災保険24,600,000円、地震保険12,300,000円でローン設定時と全く変わらない。地震保険の限度額は、火災保険の30~50%の間で契約者が指定でき、デフォルトは50%である。

(なお、通常の火災保険の場合、減価償却に見合って保険金限度額が時価換算されるケースもあるが、公庫の特約火災保険の場合は再取得価格、つまり購入時の価格が保険金額となる。なぜかというと、もともとの目的がローンの債権保全にあるからである。)

ならばということで、保険料の10%アップに見合う金額として、地震保険の限度額を火災保険の50%から45%に引き下げることにした。これで、保険料負担は従前と変わらない水準となる。

もし万一、火災保険でカバーできず地震保険の適用となるような災害でわが家が被害を受けたとする。その場合、二十年前と同じ家を建てる必要があるだろうか。子供も独立して夫婦だけの家にそこまでの必要はない。部屋数を減らして平屋にしたところで、何の不便もないはずである。

その分、受け取るはずの保険金が減るなどということを考えてはいけない。保険というのは想定されるリスクをカバーする範囲内で掛ければ必要十分であり、それ以上掛けるのはおカネの無駄である(それは、保険全般に言えることである)。

むしろ気になったのが、見直しの際に、家財保険が切れたままだったのを見つけたことである。何年か前まで長期損害保険で掛けていたはずだが、税金の優遇がなくなったためなのか、満期になっても継続のご案内がなかった。保険会社は入院保険だの高度医療保険のセールスには熱心なのだが、こういうベーシックな保険には無関心である。

家財保険は、たいした金額入っている訳ではない。家には高価な調度品などないから、エアコン、TV、コンピュータなどの家電製品と、カーテンや照明器具などの内装くらいである。300万円あればお釣りがきそうだが、これまでもそのくらい掛けていたので全労済に試算をお願いしたら月800円の保険料だった。

結局、保険料負担はやや増えてしまったが、長期家財保険が切れたままだったので昨年と比べるべきではないだろう。自然災害や工場の爆発で被害を受けているニュースを見ると、無駄な保険はいらないけれど掛けるべき保険は掛けるのが本当だと思うのである。

[Aug 29, 2019]


地震保険料の引き上げは5年間で3回目。金額も39,110円に増額されるという。しかし、地震保険は政策的に保険料が抑えられているので、継続するのが理にかなっている。