125 遍路地図の誤表示で苦しんだ四国お遍路結願 [Oct 17, 2019] ~せいうち日記125

今月初めに四国歩き遍路の第10次区切り打ちを行い、七十六番金蔵寺から八十八番大窪寺、さらに一番霊山寺まで歩いて四国一周を果たし、高野山奥ノ院で弘法大師にご挨拶して、5年越しのお遍路が結願となった。

とはいえ、とても「無事に」とはいえなかったのは残念であった。今回の遠征中に体調をくずし、後半戦はかなり悪い状態で歩かなければならなかったのである。

なぜそうなったかというと、年々体力が落ちているのに計画がハードすぎたことがあげられるのだろうが、天候面の要因や、参考書である「遍路地図」の距離表示の違いもかなり影響したように思う。

振り返ってみると体調悪化の直接の要因は、高松近郊で4時起きして5時台に行動開始、そのまま午後6時まで歩くということを2日続けたことだろうと思う。かつてはカシノで徹夜しても平気だったことを思うと、体力が落ちたことを痛感する。

そして、どうしてそういう日程になってしまったのかというと、別格札所の海岸寺にお参りした際、遍路地図の表示と実際の距離があまりにも違っていて、それが原因でスケジュールが大幅に押してしまったのであった。

遍路地図(「四国遍路ひとり歩き同行二人」地図編第10版)の記載があてにならないことはこれまでもたびたび感じたのだが、今回の誤表示はひどかった。別格霊場の場合、道順案内や距離表示が八十八ヶ所ほど整備されていないので、遍路地図を参考にすることが多い。そして遍路地図には、「道隆寺から海岸寺まで2.9km」と書いてあるのである。

それも、道隆寺のところと海岸寺のところ、ご丁寧にも2ヶ所に書いてある。だから、金蔵寺から道隆寺の途中に海岸寺を経由しても2時間程度かかるくらいだろうと思って計画していた。ところが、それが全然違ったのである。

そもそも、それぞれのJR最寄り駅である海岸寺・多度津間の区間距離は3.8kmである。そして、それぞれのお寺は駅と反対側に1km程度離れている。さらに、道は線路に沿っている訳ではなく東西南北の碁盤目に走っているので、四角形の二辺と対角線くらい余計に距離がある。

実際に、私が歩いた距離をGPSで測ると7km以上あった。土地勘があれば多少短縮できるとしても6kmより短いことはありえない。そもそも、JRの区間距離に駅からお寺までの距離を足しただけで5km以上あるのである。

下調べしていないお前が悪いのだと言われればそれまでだが、片道2.9kmと7km以上では違いすぎる。結局これがスケジュールを圧迫した上、翌々日の朝一番から活動した五色台では大雨に遭遇し、大窪寺の登りはほとんど休みなく歩かなければならなかった。

天気が悪かったり道を間違えたりするのは修行の一部であり、一つ二つのアクシデントで予定どおり進まないのは計画の方がおかしい。とはいえ、お遍路歩き唯一といわれる参考書で、片道1時間以上所要時間が違うというのは想定をはるかに超えていた。

遠征後半、一番霊山寺への最後の登りである卯辰越の峠まで来た時、あと2時間もすればお遍路歩きが完結するのだけれど、これで最後という感慨はほとんどなかった。この日のルート選択が悪くなかったことで、少し安心しただけであった。

5年越しとか、四国八十八ヶ所とかいうロングレンジではなく、その日の予定以上のことは考えられなかったのである。

その日は大麻比古神社にお参りしてから霊山寺まで歩き、翌日は高速バスと南海電車で高野山に向かった。高野山に着いてようやく、秋らしく肌寒い気候になった。雨でレインウェアを着なければならなかったけれど、冷たい空気を吸うととても心地よかった。

そういえば、屋島寺をお参りした際、外人さんを連れたガイドさんにいろいろ質問されて、その中に「また来たいですか」というのがあった。あちらとしては、お遍路に来る人はまた来たくなるという先入観があったのだと思うが、私はとてもまた来たいとは言えなかった。

「これからまだ八十八番まで歩かなければならないし、その後一番まで長い道のりを歩かなければなりません。何とか無事に最後まで歩くことで精いっぱいで、その先のことはまだ考えられません」と答えた。歩き遍路のほとんどの人は、私と同じように思うのではないだろうか。

[Oct 17, 2019]


八十八番、一番をお参りした後、高速バスと南海線を乗り継いで高野山奥ノ院へ。