034 国会図書館 [Feb 13, 2020]

リタイアしてから、2~3ヵ月に一度国会図書館に行くことにしている。地元の図書館に置いていない本もあるし、たまには電車に乗って都心の様子をみておきたいからである。1月の終わりに、2020年になって初めて行って来た。

国会図書館は、普通の図書館のように資料が開架しているのではなく、コンピュータの端末で所蔵資料をリクエストし(3冊以内)、出してもらって図書館の中で閲覧するというシステムである。

年末とか連休前でない限り、混んでいることはほとんどない。国会図書館というと、議員秘書とか役所の担当者が調べものをするというイメージがあるが、そういう風体の人はほとんどいない。役人にそんな時間はないし、議員秘書は勉強などしない。

来館者の半分以上は私同様リタイアしたじいさんである。平日のスポーツジムと似ているが、残り半分が学生院生とおぼしき若者である点が違っている。国会図書館でシニア女性を見たことがない。小さい頃は読書が好きなのは女の子だったのだが、どこで逆転したのだろう。

所蔵資料を検索するのは家のパソコンでもできて、それをリストに入れておけば現場で呼び出すことができる。この日は予定した資料のうち一冊が貸出中で(個人に貸し出すことはしないが、図書館相互ではあるようだ)、残りの資料を何時間かかけて読んだ。

前回来たのは昨年の秋だった。その時は工事中だった閲覧室に近いトイレが、新装されてオープンしていた。まるで、JALのラウンジのように新しくてきれいだ。というよりも、これまでが古色蒼然としすぎていたのである。

古色蒼然といえば、閲覧室の机もしばらく前からかなり黒ずんで汚くなっている。素手でさわるのにちょっと気が引けるほどで、国の施設なのにどうにかならないのかと思う。おそらく、役人や議員が使う訳でもないのに、あるだけありがたく思えということなのだろう。

資料調べの後、せっかくなので八重洲ブックセンターに足を伸ばす。東京駅の八重洲側はこれまで以上に何もなくなっていて、八重洲ブックセンターも取り壊されたかと思ったほどだった。オリンピックに向けての再開発だと思っていたが、おそらく今年中にできあがるのは無理だろう。

八重洲ブックセンターも経営は苦しいようで、地下1階のレジに行くと「お会計は1階でお願いします」と言われる。アルバイトが集まらないのか、あるいは人件費削減のあおりなのか。できて40年近く経つので、そのうち本当に再開発されてしまうかもしれない。

オリンピックといえば、東京駅だけでなくいろいろな駅で構内の工事が進められている。多くは、バリアフリーとショッピング街の新装のようだ。バリアフリーにするのはいいことだが、かえって歩かされる距離が長くなっているように感じる。

電車に乗っても、時間帯のせいか外国人の姿を多く見かけた。大体は、席を詰めて座らないし、荷物を動線上に置いて平気である。こういう連中をみると、カネ儲けのためにオリンピックを誘致して何がいいのだろうかと思う。

「1Q84」に、ポイントを切り替えるとこちら側に来てほしい人だけでなく、ほしくない人も同じ列車でやってくるというような表現があったが、まさにそういうことである。ヨーロッパの多くの国は、いままさにそれで苦労している。

四国お遍路を歩いていると、要所にある遍路宿のいくつかがここ数年で廃業しているのに嫌でも気がつく。日本の総人口は減っているのだから、総需要も減っているのが当り前である。以前はこういう場合、輸出を増やして売上を確保しようとしてきた。

ところが日本の人件費は高く、価格競争で太刀打ちするのは困難である。観光、宿泊、飲食サービスの売上を確保するためには、理屈からいうと、景気のいい国から来てもらって消費してもらうしかない。

でも、多くの場合それは、もとからいた人の住みやすさを犠牲にしなければならない。そんなことをするよりも、小さくなった需要に合わせて経済も小さくすればいいように思うのだが、そうではないと思う人が大勢を占めるのだろう。

[Feb 13, 2020]


国会図書館のエントランスからは、国会議事堂が間近に見える。