083 憲法改正は天が見放したか [May 28, 2020]

2月以来、めまぐるしくいろいろな事件が起こった。先週はきゃりーぱみゅぱみゅまで巻き込んだ検察庁法改正が、文春砲一発で吹き飛んだ。

私が思うに、定年延長は世の中の流れであり、改正案そのものより人格・識見に問題があっても官邸に受けのいい人物をルートに乗せるという検察庁の組織的な劣化が問題と思うのだが、それはさておき。

あまり世間で言わないのだけれど、今回のコロナウィルス、オリンピック延期、検事長の問題等々でいつの間にか多くの人の関心の外になってしまったのが、憲法改正である。

安倍政権が憲法改正をしたくて仕方がないのは、結党以来自民党の党是であること、祖父の岸信介が熱望して果たせなかった夢であることに加え、首相自身が未来の教科書に名前を残したかったからだと言われている。

そして、公明党・維新の党など改憲に前向きな勢力を含めれば、現在の衆参両院の議席数は国民投票に持っていけるだけの数的優位を確保している。この状況は、戦後75年で初めてのことなのである。

昨年暮れまで、今後2年近く残っている衆議院議員の任期満了までに国会手続きを終え、憲法改正の国民投票を行いたいという意欲は明らかであった。コロナ騒ぎが起こってからも、憲法がこうだから非常事態宣言の実が上がらないのだという主張までしそうであった。

ところが、今般の検察庁法改正の一連の手続きの中で、著名人を含む何百万人が改正案反対の意思表示をした。こうした動きがマスコミ等で取り上げられたのは、政権への忖度をしすぎたという反省があったのかと思うが、明らかに流れが変わってきたのを感じる。

マスコミの対応変化は、例のアベノマスクがきっかけになったように思う。コロナ対応が必ずしもうまくいっていないアメリカにせよイギリスにせよ、だからといって政権支持が目に見えて揺らいだ訳ではない。ジョンソン首相などはかえって評価を高めた。(トランプの場合、マスクもしないしゴルフ三昧なので別の問題)

すでに数ヶ月にわたり全世界でヒトやモノの移動が制限され、経済活動は急ブレーキがかかっている。南半球はこれから冬であり、パンデミックの収拾にはまだまだ時間がかかるだろう。今後、経営が立ち行かなくなる企業が続出することは避けられない。

見当違いの上おとといやっと届いたアベノマスク、補償措置のない長期間の自粛要請で、すでに安倍政権は国民の支持を失っている。秋の臨時国会でも来年の定例国会でも、憲法改正案など出せる状況にないことは間違いない。そして、東京オリンピックが中止となれば先行投資した企業は目の前真っ暗だし、すでに入場券を買っている人も多いので大混乱になるだろう。

こうなると、憲法改正は天が味方しなかったということである。平成上皇は憲法改正に反対だったとみられているが、やはり、天皇が味方しないものは天も味方しないということのようである。

来年秋までに行われる次回の総選挙では、現政権がいまの議席数を確保することはまず無理である。公明党あたりは、機をみるに敏だから政権内にとどまるかどうかさえ疑問である。

だからといって民主党が頼りにはなる訳ではないのだけれど、自民党ではダメということになるのは確実である。改憲に前向きな勢力が絶対安定多数を占めることは、いまの国会が最後になるだろう。

半年前まで、都合の悪いことは役所が過去の書類を改ざんしてまで守ってきた絶対政権が、あっという間にレイムダックである。そういう連中しか味方しなかったという安倍首相の不徳のいたすところではあるが、もし、憲法改正を声高に主張したことの報いだとすれば、まさに天罰ということになる。

わが国では、権力におごる人物は、高転びに転ぶことになっている。おりしも、今年の大河ドラマは明智光秀が主人公である。何かいろいろなことが符合して、こわいくらいである。

[May 26, 2020]


国会の絶対安定多数を占め憲法改正に突き進んでいた安倍政権ですが、天が味方しなかったようです。