094 雪入山 [Mar 25, 2020]


この図表はカシミール3Dにより作成しています。

2020年3月は非常事態宣言は出ていないもののコロナウィルスの影響は大きくなり、公共スポーツジムの臨時休館が続いていた。歩いて運動不足を解消するしかないが、近所ばかりではちょっと飽きる。1週間前に行ったばかりだが、再び茨城の山に登ることにした。

もう二十年以上前のこと、まだ筑波山に有料道路があった頃、表筑波スカイラインでつつじヶ丘を目指したことがあった。その時車で走っていて、筑波山もすそ野がかなり広いと思ったものだった。すでに、有料道路沿いに営業していない施設がかなりあった。にもかかわらず風返峠から先は数珠繋ぎの大渋滞で、結局あきらめて引き返したのだった。

調べてみると、あのあたりに小町山・雪入山という筑波山の前衛峰があるらしい。らしいというのは、1/25000図に山名も載っていなければ三角点もないからである。WEBを探すと、麓の公園から登れるようだ。

さっそくプリントアウトしたのは、雪入ふれあいの里公園の出しているハイキングマップである。ただ、ネット上の情報では、この公園の駐車場は時間外はきっちり閉まっていて使い勝手がよくないという。その場合は近くに森林公園があるが、駐車場情報は不明である。

家を午前6時に出発して8時前に雪入周辺に着く。途中の道路にふれあいの里公園の道案内があるのだが、かなり狭い上に左右から枯草が侵食してきている道である。なんとか登り切ったけれど、入口ゲートにはロープが張られていた。

ゲート近くのスペースに止めている車もあったけれど、そこはただの草むらであり、そもそも2台くらいしか止められない。切り返すのも困難なくらいである。これでは無理と引き返す。来る途中に、「三ツ石森林公園」への分岐があったのを確認していた。

ここもまた狭く一車線しかないが、すれ違い可能なくらいの道幅はある。5分くらい進むと、道路沿いに6~7台止められる駐車場があり、さらに上に「もりの家駐車場」というものもあるらしい。すでに止まっていた車の隣に駐車した。

身支度を整え、8時ちょうどにスタート。来た道を雪入集落まで下って行く。森林公園までの道は林道で、雪入山の中腹を通っている。時折現われる桜の巨木に、「眺望大桜」とか「白妙桜」とか名札が付いている。すでに花びらが一杯あるものもあり、山桜のせいか花芽の見えないものもある。

ふれあいの里との分岐に戻ると、そこからは下りである。せっかく山の上まで来ているのに、下ってからまた登るというのはつらいところであるが、この日登るのは標高300m台、まあよしとしよう。麓まで下りて、集落の方に右折する。

前の週もそうだったが、この日も風もなくいい天気だった。のどかな春の日差しを受けて、集落の中を歩く。昔からの道を、家々をぬうように曲がりながら進む。右手奥には、これから登る雪入山の稜線が見える。登ってしまえば、それほどのアップダウンはなさそうだ。

さて、道の要所にはハイキングコースの案内図があるのだけれど、道は曲がっているのに案内図は直角に描かれているので、実際にどの道が正しいのか分かりにくいのが難点である。いちばん太い舗装道路をひたすら進むと、交差点に出た。

そこには立て札があって、「この道はウォークラリーコースではありません。引き返してください。中央青年の家」と書いてある。中央青年の家とは、ハイキングコースのとりあえずの目標点で、案内表示にもずっと書いてあった。

ウォークラリーは関係ないけれど念のため方向を確認すると、なんと正反対の東方向に向かっている。これは道間違いだ。どこで間違ったんだろうと思いながら戻る。間違えたとすると、心当たりはあそこしかない。

15分ほど前に通った場所に「ハイキングコース」の手製の看板があったが、その奥は舗装してなくて私有地のように見えた。仮設トイレに、ペンキで「キジ射ち場」と書いているのも不気味だった。気になったものの通り過ぎたが、まさかあそこを入るのだろうか。

そこまで戻ってみると、来た方向からV字型に戻って登る道があるのに気が付いた。アスファルトのちゃんとした舗装から簡易舗装になって、見えにくい道である。中央青年の家は開けた平地にあると思っていたから、なおさら盲点であった。ハイキングコースはここから登って行くのであった。


三ツ石森林公園の駐車場に車を止める。園内の坂道を上がった所にも駐車場がある。


来た道を戻って雪入集落へ。背後の稜線が雪入山。


ここで道を間違えて30分ほどロスした。そのまま舗装道路を進んでしまったが、正解はV字型に戻ってこの道を山の方に登る。

 

簡易舗装の道に入ると、「中央青年の家→」の道案内が復活して安心したが、坂をどんどん登るばかりである。中央青年の家は平地にあるものだとばかり思っていたから、これを下って登り返すのはたまらないなと思っていた。

登り坂の途中で何回か右に登山道が分岐していて、「剣ヶ峰近道」とか「パラボラ山近道」と書いてある。ハイキングマップには、その道は書いてない。登り返すくらいならこのまま登山道を直行しようかと誘惑にかられるが、我慢して正規のコースを進む。

さらにスイッチバックの道を登って行くと、上の林の向こうに大きな建物が見えた。その時、ようやく納得がいった。ハイキングマップだけ見ているから分からなかったので、中央青年の家は山の上にあったのだ。

正確にいうと、雪入山から分かれた稜線の高台の上にあって、朝方、道間違いして進んだ道はこの丘の麓を歩いていたのである。つまり、最初は方角が正しかったのに、登るべきところで下りたということだったのである。

中央青年の家は、想像していたよりずっと立派な建物だった。体育館があるので最初は廃校になった小学校かと思ったのだが、近くに住宅もないし、駐車場も広い。茨城県が研修施設として整備したもののようだ。

グラウンド横に植えられている桜が満開で、後ろの稜線はすぐ近くまで迫り、頂上のパラボラアンテナがすぐ近くに見える。工事の人が何人か入って工事をしていた。

すでに時刻は10時前、予定していたより30分余計にかかっている。道間違いの影響である。計画では、小町山まで往復して雪入山に向かうことにしていたが、小町山はまたの機会にすることにした。

中央青年の家からすぐ上が稜線のように見えたが、さすがにそんなことはなかった。まず、青年の家から峠にあたる県道合流まで、砂利道の長い登り坂である。峠の頂上にホテルがあり、舗装道路がそこから下っている。下ってもまた登ることは明らかなので、右に分かれている「直登コース」を選ぶ。

これがまた、残り標高差100mとは思えないくらい長くてきつい坂だった。何しろ、傾斜が半端でない。この急傾斜の登山道に、電柱と三相三線の電線が走っているのだから、工事した人達はたいへんだっただろう。

それでも、15分ほど登ると稜線に出た。稜線には3基のアンテナ塔があって、最も高いのが一番奥のバラボラアンテナである。地元ではパラボラ山と呼んでいるようで、道案内にはそう書いてある。

急坂を稜線まで登ると、そこから先は舗装こそされていないものの車も通れる幅の平らな道である。10分ほどで一番奥の一番大きなパラボラに突き当たり、そこから先は本当の登山道になった。

緩やかなアップダウンを登り下りすると、最後のパラボラから5分もしないうちに、景色の開けた場所に出た。「剣ヶ峰広場」と立て札があり、ベンチとテーブルが何脚かある。そして目の前に、霞ヶ浦を屏風のようにして、土浦と千代田の風景が広がっている。

すぐ下に見えるのは、間違えた道である。ここに来たくてあそこを進んだのでは、とても着かないだろうと思った。テルモスのお湯でコーヒーを淹れ、桃デニッシュとランチパックつぶあんマーガリンでお昼にする。

時刻は11時前である。中央青年の家まで苦戦した割には、その後が早くてまだ時間は十分ある。もう少しゆっくりしてもよかったのだが、11時を過ぎると後続のシニア夫婦が2組登ってきたので、11時10分過ぎに席を空ける。


茨城県立中央青年の家は山の中腹にある。平地にあるとばかり思っていたので道間違いをしてしまった。


青年の家の桜は満開。すぐ後ろにアンテナが見える。地元では、パラボラ山と呼んでいるようで、道案内にそう書かれている。


剣ヶ峰広場からの眺めはすばらしい。雪入山のピークはここより低い344mの独標点で、登山道の脇まで採石場の土地のようだ。

 

剣ヶ峰の標高が360m。1/25000図によるとパラボラ山の標高は390mくらいあるから、パラボラ山の方がやや高い。そして、剣ヶ峰から5分ほど歩いた先にある雪入山の山名標には、346mとある。さらに低い。

この346mという数字は、1/25000図の独立標高点の高さである。確かにピークではあるが顕著なピークではなく、山と呼ぶには物足りないような気もする。

想像するに、古くはこの稜線全体を雪入山と呼んでいたのではなかろうか。そう呼んだのは雪入集落の人達だったか、あるいは周辺の村の人達だったか、いずれにせよ雪入の背後の山をそう呼ぶのは自然である。

ところが、高度成長期のいつ頃にか採石場ができた。山のかなりの部分は採石場の持ち物になり、山自体も切り崩された。稜線もアンテナを立てるには好立地なので、次々と建てられそのために道路も作られた。

もともと三角点もなく、麓からみて明らかなピークもない。はっきりしたピークであれば隣の浅間山(344m)のように頂上に神社や祠も置かれるだろうが、それもない。もっとも、神社があったとしても天祖山のように崩されてしまう山もあるが。

この雪入山独標点から少し行くとパラグライダーの飛行場跡で、いまも助走に使ったマットが残っている。その先で、林道と交差する。地元ではあきば峠と呼んでいるようだ。峠を登ってすぐのところに青木葉山の小さな山名標がある。これも、はっきりしたピークではない。

むしろ景色がよかったのは、青木葉山の少し先にある見晴台で、黒文字平の立て札がある。北側に筑波山から続く稜線を見渡すことができる。「雪入探検隊」と名前の入ったベンチが置いてある。

この雪入探検隊は、ボランティアで雪入地域の自然を保護している団体のようで、この日たびたび見た青く塗った道案内も、この方々の整備されたもののようだ。ありがたいことである。登山道は、整備しないとすぐに廃道になってしまう。日々の管理が欠かせない。

この黒文字平から5分ほどで、浅間山の急登になる。いままで下り基調の稜線を歩いてきただけに、かなりきつく感じる。ただ、標高差はおそらく50mほどであり、パラボラ山までの急登ほど長くはない。

浅間山の頂上には一ヶ所に集められた祠と、小ぶりのアンテナ塔がある。祠の集まり方が不自然なので、おそらくアンテナ工事の際に周辺に祀られていたものをまとめたのではなかろうか。道路工事の際に、よく見るやり方である。

ここからの眺望は木々に阻まれてほとんど望めないが、剣ヶ峰展望台よりも多くの人が休んでいた。ベンチが埋まっていたので、アンテナ塔のコンクリに腰掛けて少し休み、登ってきたのと別方向の細い道を下る。裏参道というようだ。

まだ時間が早かったので、稜線に合流してもう少し進んでみる。20分ほど進むと広場になっていて、道案内に「閑居山」と書いてある。麓に閑居山大師というお寺があるので、古くからこの名前で呼ばれてきた山のようだ。

この日は閑居山まで引き返し、さきほど浅間山から下りてきた地点に戻る。ここから三ツ石森林公園まで標高差100mくらいあるので、どんな道なのかちょっと心配したが、すぐに森林公園の遊歩道が始まっており、安心して下りることができた。

後から思うと、雪入山を歩くのであれば三ツ石森林公園の駐車場に止めるのがベストで、結果的にはいい選択だった。ふれあいの里公園はむしろ便が悪いようである。駐車場に下りてきたのは午後1時半。茨城の山歩きでは珍しく、早い時間の下山となったのでした。

この日の経過
三ツ石森林公園(137) 8:00
9:45 中央青年の家(180) 10:00
10:45 剣ヶ峰(360) 11:10
11:20 雪入山(344) 11:20
11:45 青木葉山(274)・黒文字平 11:55
12:20 浅間山(344) 12:25
12:45 閑居山(225) 12:50
13:30 三ツ石森林公園(137)
[GPS測定距離 13.4km]

[Jun 15, 2020]


パラボラ山から先の稜線はゆるやかで歩きやすい。稜線から分かれて浅間山に登る時だけが急登となる。写真は雪入山山名標のあるあたり。


黒文字平と書かれた見晴台から、筑波山への眺めが開ける。ここからケーブルカー乗り場まで、稜線が続いている。


この日の稜線歩きは閑居山まで。227mの独標点で、下りの稜線を歩いていたのでピークには感じられなかった。