115 第33期竜王戦決勝トーナメント開幕 [Jul 2, 2020]

コロナ非常事態の影響で、昨年よりほぼ1ヵ月遅れで竜王戦決勝トーナメントが開幕となる。先週までに、出場13棋士が確定した。

昨年のトーナメントとの最大の違いは、藤井七段の組み合わせが格段に恵まれたことである。ランキング3組優勝は4組優勝より1回戦違うということ以上に、藤井七段と当たるメンバーが昨年と比べるとかなり違っている。

豊島は竜王タイトル保持者だし、残る4強の渡辺三冠、永瀬二冠がランキング1組で敗れ決勝トーナメントにいない。広瀬前竜王も早々に脱落してしまった。残る強敵といえば羽生九段、木村王位になるが、二人とも逆の山に行ったことでかなり視界を良好にしている。

もちろん、ランキング戦を勝ち抜いてきた丸山九段、佐藤和俊七段、久保九段、佐々木勇気七段が与しやすい訳はなく、ダブル挑戦中の棋聖戦・王位戦があるので、決して楽とはいえない。

藤井七段がまず当たるのは、2組準優勝の丸山九段。角換わりのスペシャリストで名人経験者、昨年は順位戦B級2組をトップで抜けてB1に復帰した。ただし、先手番なら角換わり、後手番なら一手損角換わりにほぼ一択なので、戸惑うことはないはずだ。

ここを勝ち抜くと1組準優勝の佐藤和俊七段。ここも飛車を振ってくるのはほぼ確実なので、藤井七段得意の対抗形から優位に進めそうだ。

三番勝負へ最後の難関は、久保九段と佐々木勇気七段の勝者。実績では久保九段だが、2組昇級いきなり優勝の勇気七段の勢いは侮れない。そして、勇気七段は3年前の決勝トーナメントで敗れた相手である。二人とも、それ以来毎年昇級して現在に至っている。

もう一つの山では、1組優勝の羽生九段があと1勝で三番勝負となり最も有利である。現状、4強(豊島、渡辺、永瀬、藤井)とは少し差が開いたような気がするが、とりあえずこちらの山では最有力である。

1組4位は佐藤康光九段、1組5位は木村王位で、ともに侮れない相手だが、羽生九段のところまで勝ち上がるのは一人である。木村王位は、二年連続王位戦と挑戦者決定三番勝負の十番勝負になる可能性も残されている。

個人的には、こちらの山からは羽生九段が勝ちあがる可能性が大きいとみていて、藤井七段との三番勝負になるとこれまた盛り上がるだろう。羽生九段が挑戦者になれば、通算100期タイトル獲得がかかってくる。

現状の藤井七段と羽生九段を比べると、藤井有利は動かないところだが、ダブルタイトル戦の展開次第では不確定要素も残されている。何よりも、藤井七段は立ちはだかる3棋士を破らなければ話にならない。

藤井七段がデビュー当時の対談記事を読むと、谷川十七世名人が「藤井クンはタイトル3つ獲って九段になるでしょう」と言っていた。棋聖戦、王位戦を勝ち、竜王戦もタイトル獲得となると、今年中に八段・九段と連続昇進することになる。

第33期竜王戦決勝トーナメントは、7月6日の梶浦六段vs高野五段戦で開幕する。

[Jul 2, 2020]


今期の竜王戦決勝トーナメント、昨年より藤井七段の組み合わせがかなり恵まれた印象がある。