313 京都の思い出 [Jul 8, 2020]

WEBを巡回していて、「京言葉で学ぶ英会話」というページがあった。「ぶぶ漬けでもどうどす?」を英訳すると”Get out of here.”、「考えとくわ」が”No thank you.”、「みんな怒ってはる」が”I’m angry.”などなど、確かに英訳するとそのとおりになるので結構笑える。

若い頃は京都・奈良によく出かけた。その後に大阪勤務になった時は忙しくてそれどころではなかったのだけれど、学生時代から社会人なり立ての頃は、夏は北海道、冬は京都奈良というのが定番だった。

今から四十数年前、京都市内・奈良市内にはほとんどビジネスホテルなどというものはなかった。特に奈良市内には修学旅行生以外の宿はないと言っていいほどで、現在のようにビジネスホテルが何軒もあるような時代ではなかった。

京都市内も同様で、お寺や観光地回りに便のいい烏丸、河原町あたりには皆無といっていいほどだった。唯一、京都駅前にタワーホテルの第一・第二と法華ホテルがあるくらいで、あとはよく分からない小さなホテルだけだった。

そんな具合だったから、京都というのは観光都市というけれども、ひどくよそよそしい街だと思ったものである。確かに、修学旅行生など団体客向けの宿はたくさんあるし、観光バスで回れば不便は感じないけれど、個人客が路線バスで回ろうとするとたいへん不便だったことを覚えている。

当時は地下鉄もなく、京都駅前に目立つのは定期観光バスの発着所だけで、いまのように分かりやすい路線図などなかった。まして、路線バスのターミナルはJR京都駅ではなく三条京阪(京阪の三条駅)だったのである。

東京だって皇居前から上野に行って原宿や渋谷まで遠出するのは大変だが、それでも山手線があるし、銀座線や丸の内線など古くから地下鉄がある。しかし京都では、JRは市内移動には使えないし、京阪も阪急も近鉄も直接乗り継ぎできなかった。

JR京都駅付近から東山なり嵐山なり金閣寺に行くのはまあいいとして、東山から嵐山や金閣寺に向かうのはひと苦労なのである。おそらく、四条烏丸なり河原町に泊まっていれば難しくないだろうけれど、そこには宿がないときている。

だから、方向が違うと移動に2時間も3時間もかかるのは当り前で、どこに行った時か忘れてしまったが、JR駅を横切って南下し、かなり大回りして東山に行ったことがあった。

値段の高い店などには行けなかったので「一見さんお断わり」なんてところは無縁だったが、一人でふらっと食べ物屋に立ち寄るような雰囲気ではなかった。夕食というと、近鉄京都駅のレストラン街で定食を食べたものである。

地下鉄が通った時期に様変わりして、JR京都駅はホテルやデパート付の高層ビルになったし、市内を移動するのに路線バスだけに頼ることもなくなった。四条烏丸にも河原町にも、いまでは全国チェーンのビジネスホテルがたくさんある。

いまでは、「一見さんお断わり」とばかり言っていられなくなったかもしれない。それが普通と言うのが一般的な感想だが、何となく寂しいような気もする。

[Jul 8, 2020]


どこかのサイトで見つけた京都イングリッシュ。「ぶぶ漬け」が”Get out of here.”、「考えとくわ」が”No thank you.” 笑っちゃいます。