118 藤井棋聖、王位も奪取して二冠達成 ~第61期王位戦 [Aug 21, 2020]

第61期王位戦七番勝負(2020/7/1-8/20)
藤井聡太棋聖 O 4-0 X 木村一基王位

今年の藤井棋聖の勝率8割は難しいだろうと予想していたのだが、王位をストレートで奪取。タイトル戦番勝負を7勝1敗で通過し、ノンストップで4年連続勝率8割が現実味を帯びてきた。4年連続勝率8割は、過去には達成されていない。

木村王位も意地を見せ、特に第2局ではほとんど勝勢と言っていい将棋にしたけれども、終盤の1分将棋で悪くした。他の3局は紙一重との評判だが、評価値的には序盤から藤井リードは変わらなかった。ベテラン木村王位を気遣っての形勢判断であろう。

とはいえ、王位戦以外の対局では木村王位は今年ここまで勝ち越しているので、決して弱い相手ではない。現在の藤井棋聖が強すぎるのである。まさに、手合い違いの強さである。

大山十五世名人の全盛期、同じプロ棋士から大山に香落ちでは敵わないと言われたそうである。木村十四世名人は平手の勝率が8割近かったとされる。当時はいまのように平手以外だと公式戦にならないということはなく、名人が駒落ちで戦うのは普通のことだった。

いま現在の藤井棋聖改め藤井二冠も、平手で勝負になる相手はほとんどいないと言っていいかもしれない。特に、持ち時間の長い将棋の安定感は抜群で、デビュー直後のような逆転勝ちすらこの頃はあまり見なくなった。

こういう状態が長く続くと、香落ち将棋が復活するのではないかと期待してしまう。プロ棋士は奨励会時代に香落ちの真剣勝負をしているので、指せと言われれば先後問わず指せるはずだし、駒落ち将棋には独特の面白さがある。

まあ、それは何年か先の夢物語として、これで藤井二冠は最年少の八段に昇進となる。しかし、少なくとも来年中にはタイトルを獲得ないし防衛して最年少九段に昇進することは確実であり、藤井八段と呼ばれることは一生ないのであった。

(ちなみに、叡王戦または王座戦を防衛すると永瀬も九段となり、永瀬八段と呼ばれた時代は全くなかったことになる。)

さて、番勝負で藤井二冠に勝てる棋士はいるのだろうか。現在、可能性があるとすれば永瀬叡王の持将棋・千日手ワールドだけだろう。過密日程でない渡辺名人との勝負も、改めて見てみたいが、豊島竜王を含めあとの棋士では難しいのではないか。

むしろ、苦手としている大橋六段とか、朝日杯3連覇を阻止した千田七段の方が可能性があるような気がするが、いずれにせよこれからA級に上がって名人に挑戦する残り3年間で、どのくらいタイトルを集めることになるのか、楽しみである。

そして、とりあえずの目標となるのは、秋に行われる王将戦リーグである。シード組の広瀬、藤井、豊島、羽生に加え、二次予選勝者も相当強力となる(まず、永瀬二冠が通過)。番勝負で藤井有利は間違いないが、一発勝負のリーグ戦では波乱は当然ありうるのである。

[Aug 21, 2020]


七番勝負第2局、この場面では藤井棋聖(当時七段)は劣勢を意識してうつむいていることが多かった。銀捨てから決め手があったものの、1分将棋の木村王位は見逃してしまった。ならば2八の成香を取ればと思うのは、私だけだろうか。