120 竜王戦挑戦者は羽生九段 [Sep 20, 2020]

第33期竜王戦 挑戦者決定三番勝負(2020/8/17-9/19)
羽生善治九段 O 2-1 X 丸山忠久九段

第33期竜王戦決勝トーナメントは、開幕早々大波乱となった。中心になるとみられていた藤井聡太棋聖が、緒戦で丸山忠久九段に敗れたのである。

丸山九段は名人経験者であり、昨年はB2順位戦をトップで勝ち上がり、B1復帰を果たしている。昨今再び流行している角換わりを昔から得意としていて、藤井なにするものぞと本人は思っていたであろう。

対藤井戦、先手番でもちろん角換わり。中盤で膠着し千日手となったが、この時点で持ち時間には2時間半差がついていた。藤井棋聖相手に夕方近くまで互角の形勢ということ自体、簡単にできることではない。

指し直し局は丸山後手番で、もちろん一手損角換わり。やはり互角の形勢で進んだが、中盤の難しいところで藤井棋聖が秒読みに入った。丸山九段は1時間以上残っている。藤井棋聖が生まれる前から角換わりを指している丸山九段のペースである。

銀交換を角で取るのか飛車で取るのかという難しい場面で1分将棋。藤井棋聖は攻撃重視で角で取ったが、ここで形勢が傾いたようだった。藤井棋聖は最後まで逆転狙いのきわどい手を連発したが、時間のある丸山九段があわてず読み切ってきわどい勝負をものにした。

これでほっとしたのは手合い係だろう。ただでさえ各棋戦で勝ちまくる藤井棋聖、順位戦さえ定例日に組めないイレギュラー日程である。永瀬二冠、渡辺二冠(現名人・三冠)もランキング戦で敗退しているので、竜王戦決勝トーナメントは日程上の問題がほぼなくなった。

挑戦者決定戦には、まず丸山九段が勝ち上がった。藤井棋聖を下した余勢を駆って、1組2位の佐藤和俊七段、3位の久保九段を連破、2組2位から3連勝で挑戦者決定戦進出を果たしたのである。

もう一方の準決勝はパラマス方式。5組優勝の梶浦六段が4連勝で勝ち上がり、5組から初の挑戦者決定戦進出かと思われたが、立ちふさがったのは1組1位の羽生九段。横歩取りからの玉の薄い攻防をしのぎ、こちらも挑戦者決定戦に進出である。

羽生九段・丸山九段は1970年9月生まれの同い年で、今月50歳となる。いずれが進出しても竜王戦七番勝負に50代の棋士が進出するのは初めてとなる。

同年配の実力者同士なので、過去三十年にわたり数多くの対戦がある。三番勝負開始時点で羽生38勝、丸山19勝。羽生九段の2勝1敗ペースである。

挑戦者決定三番勝負も、計ったようにこの展開で進み、第1局丸山、第2局羽生の後、第3局を羽生が制して2年ぶりに竜王戦七番勝負の舞台に戻ることとなった。

現状の力関係からすると豊島竜王有利は動かしがたく、ひと頃の過密対局も峠を越えて波乱要因は小さくなっているように思う。とはいえ、羽生九段もタイトル100期の最後のチャンスかもしれず、防衛戦に弱い豊島なので、カド番に追い込むか、第7局までもつれさせればチャンスはある。

竜王戦七番勝負は、10月9日、例によって渋谷・セルリアンタワー東急能楽堂で開幕となる。

[Sep 20, 2020]


今回の竜王戦決勝トーナメント、白眉といえばこの一局。後手番の丸山九段が伝家の宝刀・一手損角換わりで向かうところ敵なしの藤井棋聖を破った。