060 チンドン屋はどこに行った [Sep 24, 2020]

チンドン屋といっても、いまの若い方はご存じないかもしれない。言葉として知ってたとしても、実際に見たことがある人はは多くはないだろう。

家の奥さんも今年還暦であるが、子供の頃チンドン屋が嫌で嫌で仕方なかったそうである。それと関連あるのかどうか、今は着ぐるみが大嫌いである。ともに、広告宣伝に従事していて、顔が見えないという共通点がある。

半世紀前には個人商店の開店が頻繁にあった。いまだと、イオンとかショッピングセンターのテナントだからいつの間にか開店していつのまにか閉店してしまうけれど、昔は住む家も店舗も同じというのがほとんどだから、盛大に開店祝いをしたものである。

チンドン屋さんが周囲を触れ回るのもその一環で、小さい商店でも店を構えれば一国一城の主だし、長年商売を続ければそれだけ信用もついたのである。

チンドン屋の語源にはいくつかの説があるが、鉦(チン)や太鼓(ドン)で人目を引いて、何かの広告宣伝をする人達と単純に考えていいのではないだろうか。

ほとんどの人がTVを持っておらず、もちろんパソコンもなかった頃、大勢の人達に告知する手段は限られていた。新聞だってすべての家が宅配している訳ではなかったから、折り込み広告も対象が限られる。

となると、車で宣伝して回るか、アドバルーンを上げて空中から広告するか、でなければチンドン屋さんを使うしかない。考えてみれば、のどかな時代である。実際に声を出して動くしかないのである。

盛り場に行けば当り前のようにサンドイッチマンがいたし、プラカードを持って立っている人も大勢いた。現代でも交差点とかに案内板を持って一日座っている人がいるけれども、あれは固定看板が置けないからやっているだけで昔とは違う。

チンドン屋さんを見なくなったのは、個人商店がどんどん減って、近所にあるのはコンビニばかりという時期と重なるように思う。セブンイレブンにしろローソン、ファミマにしろ、店舗の周知と見込み客の発掘はフランチャイズのノウハウであり、チンドン屋さんに頼ることはなくなったのである。

検索すると、今でもチンドン屋さんは見つかるのだけれど、どちらかというと伝統芸能的な位置づけで、古き良き日本文化を次の世代に受け継ぐという面が強いように思う。生業として、商売として成り立つものではなくなっているのではないか。

[Sep 24, 2020]


チンドン屋さんは私の育った千葉県でも多く見かけたのですが、すでに伝統芸能となってしまったのでしょうか。