860 八十六番志度寺 [Oct 5 , 2019]


この図表はカシミール3Dにより作成しています。

繰り返しになるが、今回の区切り打ち後半は体調が悪かった。それで、撮ったはずの写真がなかったり、画面が10度くらい傾いて撮影されて使い物にならなかったりする。ピント調整や露出その他うまくいかないことがあるのでデジカメと携帯両方撮っているはずが、片方しかなかったりする。

本来であれば、1日ゆっくり休んで体調を整えなければならないところ、来る日も来る日もハードスケジュールで、歩き始めるとその日の日程がこなせるかどうかばかり心配していた。

前日の夕食はガストで温かいすき焼き御膳を食べ、メモには「今回遠征で初めてゆっくり眠れた」とあるのだけれど、その次に「コンビニで買うものリポビタンD」と書いている。やはり、1日寝ただけで回復は難しいのである。

前日までホテルだったので、今回遠征ではじめての和室だった。洗濯をご接待していただいてゆっくり眠れて、朝食も心づくしの和食。しかし、一度崩れた体調は相変わらずよくない。顔は発疹があり腫れているし、肩も腰も足も痛む。

しかし、弱音を吐いていてもこの日は八十八番まで登らなければ宿がない。計画段階では、志度に泊まればそんなに苦労しないだろうと思ったのだが、前日までの道のりを考えるとそんなに簡単なものではなさそうだ。

最悪の場合は、この日のうちに八十窪に着きさえすれば翌朝に大窪寺という逃げ道はあるけれども、せっかくだから結願してゆっくり泊まりたい。午後4時に大窪寺に入るためには、11時には長尾寺を出発しておきたい。

朝食は7時からと言われていたけれど、少し早く6時半過ぎに準備ができましたと声をかけられる。塩じゃけ、卵焼きに海苔・梅干しがおかずの和食である。温かいご飯を食べていけるのは何日ぶりだろう。本当にほっとした。

支度して8時前に出発。志度寺までは昨日のガストへの道を、駅の方に曲がらずにまっすぐ進む。すぐに着くかと思ったのに、なかなか着かない。歩き始めたばかりなのに、すぐに息が切れる。平賀源内記念館の前にベンチがあったので、思わず腰を下ろす。こんな調子で、大窪寺まで登れるのだろうか。

記念館から少し歩くと五重塔が見えてきた。志度寺の山門である。時刻はすでに8時を回っている。宿から1km近くあっただろう。遍路地図では、どう見ても500mほどしかないのだが。

志度寺は高松市内からは東にあたるので、この時刻には背後から日が昇って来てほとんど逆光である。写真はあきらめて、まず境内に向かう。なぜか手水場が見当たらない。足腰だけでなく、頭もまともに働いていないようだ。

この後も注意力がまったく散漫で、山門から見えている五重塔を近くで見ることもせず、「十一面閻魔大王」の幟も、帰って写真を見て気づいたほどである。納経所で「閻魔大王納経印あります」と書いてあったのに、何のことだろうと思ったくらいだから、完全にぼんやりしていたのである。

話のタネに、閻魔大王のご朱印をいただいておけばと思っても、後の祭りなのであった。


たいや旅館の朝食。まともな朝食も今回遠征で初めて。ホテルばかり続くのもよしあしだと感じた。


15分歩いて志度寺。途中に、平賀源内記念館がある。五重塔のある札所は珍しく、善通寺以来。


志度寺本堂。

 

補陀落山志度寺(ふだらくさん・しどじ)、山号は観音菩薩の補陀落浄土からとられている。海沿いであることから補陀落渡海との関連も考えられるが、補陀落浄土は南海にあるとされるし、北はすぐに本州である。補陀落渡海の本場とされるのは、紀伊半島とか土佐など南に海しか見えない場所である。

創建は藤原不比等とされる。律令国家創設の立役者であり四国に地縁があるとは意外であるが、すぐ近くに房前(ふささき)という地名もある。房前は不比等の息子で藤原北家の祖であるので、この地域に何かの地縁があったのかもしれない。

たびたび引き合いに出す五来重氏の「四国遍路の寺」によると、もともと志度寺と長尾寺は一つの寺で、だから山号も補陀落山で一緒なのだという。

そうなると、五重塔はじめ伽藍も多い志度寺が本山で、規模の小さい長尾寺が奥ノ院という位置づけになるのかもしれないが、二つの寺をお参りしてみると整然として建物も立派な長尾寺が本山で、志度寺は海の奥ノ院に見える。

本堂まで歩いて読経。草むらばかりで虫の多いお寺だと思ったけれど、ぼんやりして五重塔を見ていなかった。本堂のすぐ横に大師堂。やはり草木が繁茂していて虫が寄ってくる。たいていのお寺は砂利や砂が敷かれているものだが、ご住職のお考えなのだろうか。

納経所は本堂・大師堂から山門の近くまで少し戻る。やはり虫が多くて、納経所の扉を閉めないと私に続いて虫が入ってくる。納経所の中は売店を兼ねていて、奥に庫裏が続いているようだ。

普段の体調だったら見逃すはずがなかった十一面閻魔大王も、見ていない。幟にそう書いてあったこと自体に気づかないのだからどうしようもない。

そういえば、納経印をもらう時に「閻魔大王納経印もあります」と書いてあったような気がする。惜しいことであった。何しろこの時、早く長尾寺に行かなければとばかり考えていたのである。

お寺を出てから志度のセブンイレブンで、リポビタンDとクーリッシュバニラ、行動食用のチョコクロワッサンと元気一発ゼリー、いろはすの2㍑を買う。リポビタンDだけが税率10%、あとは8%で合計751円。

いろはすは冷えているうちに、リュックのテルモスに400ml入れる。前の日まではホテルだったのでお湯を沸かして入れていたのだけれど、この日は旅館だったので湯沸かし器がなく、天気も良かったので冷たい水を入れようと思ったのである。

これが結構重宝した。ペットボトルの水がぬるくなってしまってもテルモスなので冷たいままで、暑い中を助けられた。雨に悩まされた後は連日真夏日並みのすごい日差しが続いて、体調も悪くてつらかったのである。

この日の経過
たいや旅館 7:45 →[0.8km]
8:00 志度寺 8:25 →

[Nov 4, 2020]


本堂から大師堂へ向かう。草木が繁茂していて、たいへん虫の多いお寺だった。


志度寺大師堂。


納経所へ向かう。ここも虫が多い。十一面閻魔大王の納経印もあるのだそうだ。