122 第70期王将戦、永瀬王座が挑戦へ。藤井二冠は初のスランプ!? [Dec 2, 2020]

第70期王将戦挑戦者決定リーグプレーオフ(2020/11/30)
永瀬拓矢王座(5勝1敗) O - X 豊島将之竜王(5勝1敗)

第70期王将戦挑戦者決定リーグは、開幕前から激戦が予想された。予選を勝ち上がってきたのは、永瀬王座(勝ち上がり時は二冠)、名人3期の佐藤天彦九段、前王位の木村九段である。シードが広瀬、豊島、羽生、藤井だから、A級順位戦以上の少数精鋭である。

王将である渡辺名人を含めた8人ですべてのタイトルを保持しているばかりか、昨年以来のタイトル獲得者をすべて含んでいる。王将戦リーグは例年レベルが高いけれど、ここまで集中するのは稀である。

そして、二冠を獲得して三冠目の期待を集めた藤井二冠が、なんと開幕から3連敗で早々に挑戦者争いから脱落してしまった。デビュー4年目でいまだB2の棋士がタイトル保持者や九段に敗れても驚くことはないのだが、藤井二冠だけに意外であった。

3敗目を喫した永瀬王座戦で、後手番の永瀬王座が意表をついた四間飛車を採用した。もともと振り飛車党だから不思議はないが、藤井は振り飛車対策が十分でないとみたのだろうか、いずれにせよトップ棋士が藤井対策をとってきたことは間違いない。

藤井二冠は後半3局を3連勝、3勝3敗でリーグを終えたが、順位の差で同じく3勝3敗の広瀬八段に及ばず、惜しくも陥落となった。来期は二次予選からのスタートとなる。

中盤戦を終わって、豊島竜王、永瀬王座、羽生九段が3戦全勝で並び、挑戦権争いはこの3名に絞られた。ところが、豊島・羽生は竜王戦七番勝負の最中。リーグ最終戦は一斉対局なので、手合い係がまたもや大変なことになった。

まず11月3日、竜王戦第3局の4日前に、永瀬・羽生戦が行われた。先手番の永瀬が相掛りに誘導、角交換から羽生が敵陣に馬を作ったが永瀬が1筋に押さえ込む。角金交換の駒得から永瀬が攻勢をかけ、89手で永瀬が勝って4勝目をあげた。

11月18日は豊島・永瀬の全勝対決。こちらも先手番の永瀬が矢倉に誘導。攻勢をかけて豊島玉を不安定にしてから、一転して守りに回って相手のと金を消すというしぶとい指し回しで169手の激戦を押し切り5連勝となった。

11月20日の最終局、永瀬の相手は広瀬八段。永瀬が勝てば全勝で挑戦決定、敗れれば豊島・羽生戦の勝者とプレーオフとなる。広瀬もここを落とすとリーグ陥落なので、簡単に負ける訳にはいかない。

先手番の広瀬が相掛りから圧力をかけ5筋を突破、そのまま力づくで永瀬玉を仕留めた。広瀬は前期挑戦者なので藤井二冠より順位が上で、3勝3敗の同成績ながら残留を決めた。1敗対決は豊島が激戦を制して5勝1敗となった。

プレーオフは10日後の11月30日。叡王戦9番、リーグ戦本割、JT日本シリーズ決勝に続く豊島・永瀬の顔合わせである。振り駒の結果後手番となった永瀬王座は、角交換を拒否して雁木に組む。

低く囲った豊島竜王に対し、永瀬王座は9筋を突き越して9四桂で圧力をかける。駒得の豊島竜王だが、角、桂を窮屈な位置に打たされて苦しい中盤。そのまま永瀬王座が押し切ってプレーオフを制し、挑戦権を手にした。

叡王戦最終局、日本シリーズ決勝と大一番で豊島に敗れた永瀬だが、ここは借りを返した形。そして、自身初の2日制となる。渡辺王将との番勝負は2017年第43期棋王戦以来で、その時は2-3で初タイトル成らなかった。七番勝負は、年が明けて1月10・11日に開幕する。

※ 王将戦は棋譜利用ガイドラインによりブログでの棋譜利用が認められていないため、残念ながら途中図を掲載いたしません。

[Dec 2, 2020]